Vol.29
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平均年齢35歳の若い陣営ながら、社内の人材供給部門としての誉れが高い。「会社が新たに踏み出す一歩の支えとなって事業をサポートしていきたい」(廣渡氏)

平均年齢35歳の若い陣営ながら、社内の人材供給部門としての誉れが高い。「会社が新たに踏み出す一歩の支えとなって事業をサポートしていきたい」(廣渡氏)

THE LEGAL DEPARTMENT

#30

日本たばこ産業株式会社 法務部

管理よりコンサルティングを重視。コーポレート部門の“ハブ”として事業部門が求めるソリューションを提供

海外事業進出が法務部のルーツ

日本たばこ産業株式会社 法務部

日本たばこ産業(JT)グループには、国内・海外たばこ事業のほか、医薬、飲料、加工食品の各事業部門がある。主力のたばこは、実は海外の事業規模が国内のそれを上回り、連結売り上げの半分近くを占めている。

本社法務部は、廣渡清栄法務責任者を含め27名の体制。コーポレート部門の企画、財務、労務などを担当するコーポレート支援チーム、事業支援チーム、海外案件を担当する国際チーム、知財チーム、それに国内での〝喫煙と健康の問題に関する訴訟〞に対応する訟務チームからなる。また、ジュネーブに拠点を置く、海外たばこ事業を統括する子会社JTIには、約50名のリーガル部門が別にある。

「おかしな言い方ですが、JTの法務部は、法務部としてスタートしたわけではないのです」と廣渡氏は話す。

「1980年代に、海外メーカーへのたばこ製造技術供与やプラント輸出といった事業に着手しました。当然、国内とは異なる契約交渉が必要になります。それを担う組織が、現在の法務部のかたちに〝発展〞してきたわけです」

その出自が今に引き継がれており、いわゆる典型的な企業法務部のイメージは希薄だ。

「もちろん管理部門としての役割も果たしますし、ブレーキをかけるべきところはかけます。でもそれ以上に、いろんな案件の初期段階からプロジェクトに入れてもらって、法的側面からそれをサポートしクロージングまで見届けるという、コンサルティング的な側面がずっと強いのが、うちの特徴です」

事業のサポートは、法的側面にとどまらない。

「まだまだ発展途上なのですが、今の法務部は、コーポレート部門の〝ハブ〞のような役割を担うことも志向しています。事業部門からすれば、何かをやるのに法務にも人事にも広報にも声をかけて、というのは大変。我々が早い段階から関与することによって、コーポレート部門がやるべきことを調整して、トータルソリューションとして提供することができるように努めています」

日本たばこ産業株式会社 法務部
たばこ事業のほか、食品、飲料、医薬品と扱う商材は幅広い。缶コーヒー「Roots」など人気商品がずらり

優秀な人材を採用し教育し供給する

廣渡氏はまた、「事業部門や他のコーポレート部門に対して、法務のバックグラウンドを持った人材を供給していくことも、企業法務部の重要な任務」だと強調する。

「ここでいう法務のバックグラウンドですが、法的知識だけでは不十分です。それに加えて、情報を統合する能力、ものごとを分析的、論理的に考える能力、現場と積極的にコミュニケーションできる能力などを併せ持った総合力を指します。これらは法務部員として必要なものであると同時に、どこに行っても役に立つ。そんな人材を、一人でも多く育成したいのです」

そうした戦略もあって、サポートは事業ごとに担当分けしたりはせず、〝誰でも、どれでもやる〞のが原則だ。

「たばこと医薬品、食品では関連する法律も業界の仕組みもまったく違います。専門性を高めるというのも一つの方法でしょう。ただ見方を変えれば、それだけ幅広い法律や現場に触れられるということ。事業多角化により学びの場が広がったと、私自身はとらえています」

事業の中に積極的に入っていって、コンサルティングを行う。法務部内にそのスタンスは浸透したが、「コミットメントの深さには、まだ個人差がある」と、課題も口にする。

「自分のつくったソリューションを提案し、相手に納得してもらって推進するという仕事には、大きな個人リスクが伴います。失敗した時には、自らその責任を負わなければならないわけですから。そこが踏み越えられるかどうか。『鼻血が出るくらい考え抜いたものだったら自信を持て』と、常々伝えています(笑)」

法務部の独自の採用も行っており、採用は、ここ4年で8人。「現在は、いい人材が集まるという理由からロースクール卒業生をターゲットにしている」そうだ。

「司法試験に合格しているかどうかは問わず採用をしますが、試験に受かったのに、修習に行かず入社した人材も2人います。『マネジメントはおもしろい』と、生き生き働いていますよ。資格の生かし方は様々ではないでしょうか。事業会社に入るにしても、企業内弁護士にこだわらず、資格をバックグラウンドに、じかにビジネスの世界に飛び込むようなあり方が、もっと増えていいと感じますね」

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