弁護士会の取組み:バックナンバー

弁護士会の取組み

アトーニーズマガジン 弁護士会の取組み

地域司法計画を策定・推進する各地の弁護士会。地域に密着し、よりよいリーガルサービスの推進・向上のために活動を続ける各地の弁護士会の取り組みについて 、各弁護士会の会長よりお話を伺いました 。

新潟県弁護士会

新潟県弁護士会 会長 和田 光弘氏

義と愛の精神による団結力と健全財政を強みに、新たなマーケット開拓に挑む

55期以降が毎年10名ほど増加。目標は「10年以内に300名体制」

日本有数の米どころ、酒どころ。最近は大河ドラマの影響もあり、多方面から注目を集めている新潟県。人口約238万人に対して会員弁護士は183名。新潟本庁に約7割の弁護士が集中する偏在型だが、会員の「団結力」を旗印に独自の活動を展開している。そんな新潟県弁護士会の和田会長にお話を伺った。 当会は新潟本庁と新発田(しばた)、三条、長岡、高田、佐渡の5つの支部で構成されています。本庁の会員弁護士は133名、最も人数の少ない佐渡では3名と偏りがありますが、県全体で見ると1万3000人に1名という割合。司法改革以後の弁護士の増え方からすれば、まだまだ余力はある地域だと見ていますので、昨年度の第二次地域司法計画では「10年以内に300名に」という目標を打ち立てました。特に上越地域では、管轄人口約50万人に対して弁護士9名というアンバランスさ。長岡支部には25名の会員が在籍していますが、湯沢、南魚沼まで含めると80万人近くもの人口がありますから、ここも過疎地となっています。新潟市内だけを見ると3500人に1名という高い割合ですが、将来的には全体で1万人に1名以上の体制にしたいと考えています。 会員構成については55期以降が毎年10名ほど増えており、すでに全体の約3分の1となっています。委員会活動は非常に活発で、当会では総会での委任状出席が許されていないため、常に100人以上が出席。今春の定期総会では最大時でおよそ140名が出席しました。当会では普段から人権や業務問題について皆で活発に議論していることが、全体の意見統一に結びついています。

無料電話ガイドの番号を一本化して今秋からTVCMで大々的に告知

会独自の広報費予算を可決したことも大きなトピックです。法テラスの設置、昨今の経済危機で法律相談が漸減している中、当会も例外ではありません。業務委員会が危機感を持って「地元弁護士の存在をきちんとPRをしていこう」と会員に訴え、9月半ばからTVCMを放映することが決まりました。 これと並行して進めているのが、無料電話ガイドを中心にした相談体制の整備です。今春から始めた無料電話ガイドは平日午後1時から4時までの受け付けで、1日あたり20件近くの相談があります。別枠で多重債務の無料電話相談も実施しており、どちらも大変好評です。新潟県は南北に細長く非常に海岸線の長い地域で、交通手段を利用して面会に行くということ自体が県民にとっては大変です。「電話でちょっと聞きたい」というときに喜ばれている制度なので、この秋からは無料電話ガイドの電話番号を一本化。時間も午前10時から午後5時までに拡大し、『とにかく困ったらこの番号に』というPRをTVCMで大々的に行う計画です。また、生活保護、労働問題、DVなど生活苦にかかわる相談はすべて無料とする制度を立ち上げる予定です。 入る窓口を広く、ハードルを下げる考え方で、「弁護士が身近にいますよ」ということをまずは市民の方に認知していただく。その上で信頼関係を結べた弁護士に事件処理をしてもらう。こうした流れが構築できれば、弁護士が個別で宣伝しなくても会から相談者の依頼が回ってきますので、長岡や上越に弁護士が増えても対応できると考えています。 新潟県弁護士会の法律相談センターの発足は約30年前。東京三会以外では、比較的早く立ち上げた方だと思います。今年はTVCM以外に会館改修も控えていますが、あまり高くはない会員費で費用を工面できるのは、法律相談センター経由の事件については報酬の10%を納めるという特別負担金制度を定めているから。これだけで年間約3500万円もあります。つまり、弁護士会経由で事件紹介を受けた先生たちは年間4億円近い収入をあげているということ。そのほか、日弁連が国土交通省の所管で行っている交通事故無料相談においても、日当の約3割を弁護士会に寄付。当会の相談件数は全国で5番以内の多さですから、年間1500万円もの寄付になります。これをすでに10年以上続けているので、新事業の特別予算を組むことも可能なわけです。皆が少しずつ負担をし、会を支えてきたという思い、ほかではなかなか見られない相互扶助の精神というか、義と愛の精神が当会の健全財政の礎になっていると思います。

市民への認知と受付体制の見直しで法曹ニーズを掘り起こす

訴訟事件率が全国で最も低い新潟県では、我慢に我慢を重ねてという県民性があるように感じます。できれば和解や調停で解決をしたいと考える人が多く、どうしても裁判所の決定をもらいたいという人は少ない。提訴しても判決までいく事件は、弁護士が抱える事件の中で2,3割ではないでしょうか。また、新潟は東京高裁管内である1都10県の中で高裁に最も遠い地域。高裁に行くには時間も費用も考え方もほかの管轄地域とは異なっています。そうした傾向や事情がある一方で、弁護士選任率は全国3位。自分で裁判を起こすのではなく必ず弁護士に頼んで「先生お願いします。お任せします」というのも新潟県民。信頼関係ができれば、その後も同じ弁護士に足を運ぶというのは、過去の例を見ても明らかです。 今後は交通事故、相続、離婚問題など、普遍的に個人が抱えている生活上のトラブルに対して、極めて丁寧に対応することが必要でしょう。それに伴い、依頼者に寄り添って仕事ができるよう弁護士自身がスキルアップを図っていかなければなりません。中小企業においても「今の弁護士は裁判だけ」というイメージから、コンプライアンスや労働問題など、いろいろな場面で使える存在だと理解していただき、弁護士を活用しようという流れを作りだすことが重要です。そのためには、一般市民への認知と受付体制の見直しが急務。この秋、新潟県弁護士会は大きく進化します。

■プロフィール

  • ● 所在地
  • 〒951-8126 新潟県新潟市中央区学校町通1-1
  • http://www.niigata-bengo.or.jp/
  • 昨年リニューアルを行ってから、アクセス数急増のHP。 弁護士紹介など随所に工夫が盛り込まれたページづくり は一見の価値あり。
  • ●会員数 2009 年1 月現在
  • 新潟本庁……………133名 新発田支部…………4 名
  • 三条支部……………9 名 長岡支部……………25 名
  • 高田(上越)支部……9 名 佐渡支部……………3 名