Vol.81
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#19

「リスクをおそれず、自力で未来を切り拓いてきた。チャレンジすることの価値を若い世代の弁護士に伝えたい」(木村氏)

「リスクをおそれず、自力で未来を切り拓いてきた。チャレンジすることの価値を若い世代の弁護士に伝えたい」(木村氏)

SPECIAL REPORT

#19

弁護士と企業双方の海外業務を支援し、クロスボーダー案件を成功に導く

CREEK & RIVER Global, Inc.

法域を超えて。企業・弁護士間の舵をとる

2022年2月にジェトロが報告した「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(21年末調査実施)によれば、日本企業が今後事業拡大を図る国・地域として、米国が中国を抜いて初の首位となった。特に繊維・織物、アパレル、電気機械、飲食料品業界のうち7~8割の企業が米国を挙げている。新型コロナ禍前の勢いには届かないものの、合弁事業やM&Aなどを含めた日本企業の海外事業の拡大・新規展開は今後も続く見通しだ。

一方、すでに海外展開を進めている企業は、各国におけるガバナンス、事業再編・縮小・撤退、紛争対応など様々な「クロスボーダーの課題」への対応を迫られている。法的リスクの観点が必要な複数の国・法域をまたぐ課題解決には、弁護士の力が不可欠。しかし米国の場合は特に、プラクティスごとに優れた当該州の弁護士を見つけるのに骨が折れる。このクロスボーダー案件において、「弁護士の選定サポート」をはじめ、「弁護士など専門家の要否」「各専門家の意見をビジネスにどう生かすか」といったアドバイスなどを行い、日本の企業・弁護士の海外業務をサポートする人物がいる。米国・カリフォルニアに本社を構える、CREEK&RIVER GlobalのCOO・木村剛史氏だ。

木村氏は大手法律事務所勤務時代、クロスボーダーM&Aなどで海外ローファームからアドバイスを得る際に膨大な時間とコストがかかることや、他国で信頼できる弁護士を見つけることはとても難しいのに、それがすべてアナログで行われている実態に疑問を持ち、強い使命感を抱いて独立。「法域を超えて世界中の弁護士をつなぎ、良質かつ適正なフィーのリーガルサービスをすべての国の企業や弁護士に届けたい」||この思いを実現するためのプラットフォーム「ジュリステラ(ジュリスト+テラ)」を、日本国内のリーガルテック草創期に構築し、現在、米国22州と諸外国76の法域、26の法律分野をカバーするグローバル弁護士ネットワークを組織している。

「米国の一定規模のローファームには、ほぼジャパンデスクが設置され、所内の日本人弁護士が案件に応じてチームを組成し対応します。当社の場合、同等以上の満足度と予算に見合ったコストを担保しながら、私と数名の社員で、日米を含む世界的な弁護士ネットワークを活用して対応しています」

CREEK & RIVER Global, Inc. ー法域も言語も超えてー

複数国の専門家のチームアップを実現

実際、木村氏はどんなサポートを提供しているのだろうか。

「例えば、日米英の同時解雇事案です。グローバルに事業を展開する日本本社の執行役員で、英国子会社では取締役、米国子会社ではCEOを兼任する外国人従業員が、ハラスメントにあたる行為を行ったため、各国で同時解雇した案件でした。我々は、各国で労働法に強い弁護士を選別したうえで、依頼者の思いが各国弁護士に伝わるようサポート。結果、訴訟や大きなトラブルを招くことなく、無事解決に至りました」

また、米国公認会計士からの紹介で、日米中国にまたがる債権回収案件にも対応。

「中国の投資家が出資する米国での開発案件で、クライアントである日本企業の米国子会社が納入した複数台の大型重機について、多額の代金回収が滞りました。納入先はすでに資金が尽きてしまっているようで、最後の頼みの綱は中国の投資家のみ。しかし投資家は当然、返済義務を負いません。このようななか、中国の投資家が“欲しいモノとノウハウ”を提供する見返りに、債権回収を図った事案です。米国、中国、日本の弁護士にそれぞれ関与してもらいつつ、債権回収に至りました」

木村氏は、自身でリーガルアドバイスは行わない。法域の壁を越えて、ビジネス、経営、“数字そのもの”にかかわる意思決定を直接サポートする。これができるのは、木村氏自身が経営者だから。

「私自身が経営者として、各専門分野間のつなぎ役・舵取り役の必要性を何度も感じてきました。各国・各分野の専門家それぞれに話を聞いて、正確に理解するだけでも大変な時間とコストがかかる。そこからさらに考えて一つの意思決定をするのが経営。この局面では専門家の助けはない。弁護士・経営者の経験どちらも持つ自分は、企業にとってビジネスの泥臭い部分がわかる相談相手であり、弁護士にとっては共通言語でクライアントのための戦略を一緒に練られる強い味方。それが私自身の大きな優位性だと考えています」

弁護士と経営者両方の視点を持つゆえに、出せる答えもある。例えば、「交渉相手から機材の不具合の迅速な修繕義務を要求された。米国弁護士からはリスクが大きいと警告されたが、どうしたものか」との相談が寄せられた。木村氏が内容を精査して出した結論は、「リスクをとって取引を進めたうえで、後日変更を求めるべき」。結果、この取引は同社最大の収益事業に成長し、義務の見直しも進んだ。「弁護士はリスクの指摘が仕事。私は、取るべきリスクの見極めが仕事」――リスクとリターンを衡量した経営視点での、木村氏のこうしたアドバイスこそが、クライアントから絶大な信頼を得ている一つの理由であろう。

CREEK & RIVER Global, Inc. ー法域も言語も超えてー
CREEK & RIVER Globalは、M&Aや労働法など得意を持つカリフォルニア州弁護士をはじめ世界中の弁護士との協力体制を敷く

海外案件に取り組みやすい環境を提供!

弁護士と企業の間に立ち、多様なクロスボーダーの問題解決を支援する木村氏。企業の法務担当者に向けて、次のように語った。

「日本の企業がグローバル化を推進する過程で、海外企業との取引や契約締結、グループ・ガバナンス、現地企業との連携、紛争解決といった問題が日常的に発生しています。しかし、『事案発生ごとに顧問弁護士とは別の国内法律事務所に相談することになり、出費が増加した』『国内外複数の弁護士間の調整に時間や手間がかかった』といった悩みをよく聞きます。とはいえ、いきなり海外ローファームにアプローチするのは、さらに難しい――そうした時、我々がお役に立てるはず。適正コストで効率よく、決裁者(意思決定権者)にも納得してもらえるような、問題解決のためのアドバイスとサポートを提供できます」

加えて、日本の弁護士・法律事務所に向けては、「グローバルに活躍できる場を、積極的に提供していきたい」と語る。

「例えば、顧問先から『海外で会社を設立したい』と言われた時や、『海外子会社での訴訟について相談したい』と言われた時、『海外案件のスキルがないから』『語学力がないから』と、お断わりせざるを得ないケースがあるかもしれません。しかし我々がビジネスパートナーとしてタッグを組めば、これまでお断りしていた様々な海外案件も、これからは受任できるようになります。そうした協働を通じて、海外案件のナレッジやスキルをどんどん蓄積していただき、ご自身の仕事の可能性や、事務所の業務範囲を拡大するきっかけにしてもらえたらと思います。また、海外にコネクションがある事務所でも、『もっと、この分野に強い弁護士を』と探す場合があるかもしれません。そうした時にも、ぜひ一声かけてください。我々が組織したネットワークから、ニーズに合った弁護士をアテンドします。

そのように、海外案件に直面した時に我々を活用いただくことによって、顧問先・クライアントに対する、皆さんの価値・弁護士の価値を、さらに高める機会にもなれば、これほど嬉しいことはありません」

写真提供/木村剛史