近藤:まず、経営法友会発足の経緯、背景からお教えください。
杉山:経営法友会は、今年発足40周年を迎えました。発足当時は企業法務に関する社会的認知度は低く、また、「法務部」もなく、〝総務部の中の文書課〞レベルの組織が大半でした。そういった状況のなか、商社や素材メーカーなど、国内外の業務で、様々な法律問題に直面する企業の実務担当者が集って自己研鑽し、企業の中で「法務」の認知度を上げ、業務の精度を高めるなど、法務担当者の能力を向上させるインフラをつくる目的で、1971年4月、当会が産声を上げました。
近藤:会員企業数約50社から始まり、現在では1000社を超えています。参加企業の特徴や傾向などはありますか。
杉山:設立当初は、大企業が中心だったと聞いていますが、最近の入会企業は、中堅規模の割合が増えています。中にはいわゆる〝一人法務部〞の会員もいます。現在、上場企業は668社、非上場企業は364社です。
近藤:では、具体的な活動をご紹介ください。
杉山:多様な会員ニーズに的確に応えるべく、幹事会の統括のもと、「総務」「月例」「研究」「研修」「大阪」の5部会に分かれて事業を運営しています。
「月例部会」では、主に法改正、最新実務情報を取り上げ、立案担当官や実務家に解説いただく月例会を開催しています(平成22年度開催数/東京29回・大阪21回)。
「研究部会」では、各社が抱える業務課題を取り上げ、その具体的な解決策を深堀りして検討、研究。その成果をガイドブックなどの成果物にまとめる一方、法改正に関するパブリックコメントへの対応として、実務界意見としての発表も行っています。
「研修部会」では、各社の法務部員の能力底上げのための研修コースを企画・運営。国内基礎、国際基礎、国内養成の各コース(各7回〜10回)と「債権回収」「独占禁止法」などの各種科目別講座があります。経験豊富な企業の法務担当者や弁護士が講師となり、単なる法律解釈ではなく実務に則した講義内容にしています。
また、各コースでは、法務担当者間のネットワークづくりの機会として、名刺交換会や懇親会を行い、各社法務部員の横のつながりをつくるきっかけにもなっています。会社によっては、この研修を自社の研修計画に組み込んでいるケースもあると聞いています。
月例会、研修会などの事業は、大阪部会において独自性を出しつつ、東京と均質の会員サービスを提供しています。
近藤:それぞれ、どれぐらいの人数が参加するのですか?
杉山:昨年度の月例会は、1回当たり平均で東京が234人、大阪で60人が参加しています。
研修には昨年、「法務担当者養成コース」に東京で200人、大阪56名、「国際基礎コース」に東京159人、大阪54名、「国内基礎コース」には東京217人、大阪74名が参加しました。また、科目別講座は人数限定ですが、参加が常に抽選になるほどです。各社の人材育成へのニーズに対応していると感じています。
近藤:事業活動の内容や運営方法はどのように決めるのですか。
杉山:会員企業34社の責任者クラスが参加する幹事会を月1回開いて、全体の運営方針を決めます。また、各部会ごとに幹事のほか運営委員がおり、部会ごとの具体的な事業を立案します。
近藤:会員各社からの反響や、運営の手応えはいかがですか。
杉山:昨年暮れに、全会員に対して「会員満足度アンケート」を実施しました。結果、392社から回答がありましたが、おおむね好評です。一方で、ネガティブなコメントに注目し、各部会においてさらに満足度を高めるために改善の検討をいただいています。