同部での仕事のやりがいを、林田翔吾氏にうかがった。
「当社業務の要であるEPCの契約は、国、規模、期間、取引先の特性などにより、契約上の見るべきポイントが異なります。定型的なものなどなく、案件ごとに法務として様々な取り組み方ができることが仕事の面白さ。印象深かった仕事は、若手の頃、海外の大規模EPCに携わった時のことです。受注前の契約交渉大詰めの場面で、法務部としての意見を経営陣に直接述べ、それを踏まえた経営判断が行われたことがありました。当社事業を左右する場面で、意見を取り入れてもらえた経験は大きな自信となっています」
佐伯氏は、ここに同社法務部の仕事の面白さがあると付け加える。
「経営会議に毎回陪席しますし、法務部員として経営陣に直接意見を述べられるポジションです。経営陣が取引相手との交渉直前に電話をして、アドバイスをすることもしょっちゅう。経営に近いことが当部の特徴だと思います」
PJは国内外にまたがり、特に海外PJは大型かつ長期間のものがほとんど。そのPJに法務メンバーが“チームの一員”として派遣されるケースも多々。例えば佐伯氏は、2013年完工の、サウジアラビア初の重質油分解装置EPC案件のチームメンバーとして、関連契約の交渉や現地でのアドミニストレーションを経験した。
「海外のPJにチームメンバーとして参加するのは、法務部員のキャリアパスの一つ。現在も数名が海外の現場に赴任しています。林田が申したとおり、定型的な契約がないため“教科書的な対応”は不可能。実際のビジネス現場でお客さまとのやり取りから学び、どのように問題解決するかをチームメンバーと協議するなかで力をつけていくことが大切なのです。このプロセスを経験すると、ほかの案件においても契約書レビュー時に新たな視点が得られますし、いわば“血の通ったレビュー”ができるようになる。さらに、リスク可能性が高いのはどこかが、肌感覚でつかめるようになると私は実感しています」(佐伯氏)
PJのチームメンバーになることで、技術者など他部署のメンバーとの交流が深まり、法律的な側面以外のリスクも視野に入れて契約を検討できるようになる。
「契約の細部までカバーしつつ“ワンストップサービス”を提供し、さらなる付加価値を提供していくことを、一人ひとりが目指していきたいと思います」(佐伯氏)