高校卒業後は、物理学科に進学しました。物理学とは自然界を支配する原理原則(ルール)を探究して“数学という言語で表現”する学問――と、私は理解しています。そのように森羅万象を抽象化、体系化する点に魅力を感じ、理論物理学の研究者を目指していたのです。しかし、大学で圧倒的な数学のセンスを持つ友人に出会い、これでは勝負にならないと思って進路を変えることにしました。物理は深く掘り下げるほど、自分が理解し、発見したことを共有できる人が少なくなっていくのが寂しいと感じていたので、せっかく方向転換するなら、もっと人や社会と密接に関係した学問にしようと考えました。そして、当時、ロースクール制度ができたこともあって一念発起。理系を含めた多様なバックグラウンドを持つ人材が歓迎されていたこともあり、弁護士を目指して法学部に転入し、ロースクールに進学したのです。
ロースクール時代、思い出に残っている授業は、森脇純夫弁護士の民事実務の講義です。訴訟での“切ったはったの話”や訴訟のやりがいを聞き、「自分も訴訟に強い弁護士になりたい」という思いがふくらみました。そして修習終了後に、森脇弁護士が所属する石井法律事務所に入所。同事務所では、金融機関や総合建設会社などの代理人となり、訴訟案件に多く関与しました。
米国留学を経て、総合商社の法務部に約2年半出向します。商社では、国際取引や国内外のM&A・JV組成など、英語を含む取引系の案件についてみっちり鍛えられました。弁護士としての幅を広げてくれた貴重な場でしたが、同社で訴訟案件を法務担当者としてアサインされた時、「自分は、代理人として訴訟活動をしている瞬間が一番やりがいを感じる」ことを改めて実感。その会社でたまたまご縁ができた、“企業紛争・企業労務のブティックファーム”として評価の高いAI-EI法律事務所に入所し、現在に至ります。