Vol.93
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業務の公正さ・適正さを保つためのルールはあるが、それを守る限り所属弁護士には自由な活動が認められる。例えば、在宅執務自由、アソシエイト弁護士の個人事件受任自由など。「関係性がフラットなので、人間関係上のストレスはありません。弁護士にとって非常に働きやすい環境です」と、アソシエイトは口を揃える

業務の公正さ・適正さを保つためのルールはあるが、それを守る限り所属弁護士には自由な活動が認められる。例えば、在宅執務自由、アソシエイト弁護士の個人事件受任自由など。「関係性がフラットなので、人間関係上のストレスはありません。弁護士にとって非常に働きやすい環境です」と、アソシエイトは口を揃える

STYLE OF WORK

#194

三宅坂総合法律事務所

セクショナリズムを排して有機的につながり、尊重し合うことで、個々の成長を促す

幅広い企業法務の分野・領域を網羅

1990年に設立された三宅坂総合法律事務所は、上場企業をはじめとする事業会社や金融機関、ファンドなどを主なクライアントとし、国内外の紛争解決、トランザクション、事業再生・倒産処理、国際法務など幅広い企業法務を手がけている。2025年5月時点で、22名のパートナー、1名のスペシャルカウンセル、1名のオブカウンセル、19名のアソシエイトで構成。パートナーそれぞれが異なる専門・得意分野を持ち、事務所として対応できる業務領域が広いため、業種を問わず、リーガルサービスを提供できる体制だ。

近年、取り扱いが増えているユニークな案件の一例を、篠田憲明弁護士が教えてくれた。

「私自身が取り扱うことの多いエンターテインメント分野では、法律上の権利の枠内に必ずしも収まらない事柄を当事者間の合意によって〝権利化〟していく案件が増えています。例えば、著作権が必ずしも発生しない番組のコンセプトや構成などをパッケージングしてライセンス等を行う、フォーマットビジネスなどの権利関係を契約によって処理するといったことです。契約交渉でも文化の違いを特に感じられる点は、コンテンツの海外展開や輸入が日常的に行われている業界ならではだと思います」

また、M&A、ファイナンス、投資関連を得意とする石田宗弘弁護士はこう話す。

「昨今、これまで積極的に投資活動を行ってこなかった事業会社が、資本効率や投資方針の見直しなどを背景に、M&Aによる事業拡大やベンチャー企業への出資、新規事業への参入を検討するケースが増えており、そうした局面でのご相談が増加しています。そのため、従来型の顧問業務にとどまらず、投資ストラクチャリングや契約スキームの設計、投資政策にかかわるアドバイスなど、専門性の高いご依頼をいただくことが多くなっています。こうした案件は私自身が得意とする領域でもあり、より様々な企業からお声がけいただけるようになりました。一方で、事業再生・倒産や相続といった案件については、この分野を得意とする所内のほかの弁護士の力を借りて仕事を進めています」

各弁護士が専門分野をカバーしながら、柔軟にチームアップできることが強みで、「自分の専門外のご相談にも対応できるのは、頼りになるパートナーとアソシエイトがいてくれるから」と石田弁護士。「協力体制をとりながら、多様な案件にワンストップかつスピーディに対応できることが当事務所の特徴です」と続ける。

「実際、依頼者から『どのような事案であっても、当社の事情を踏まえたうえで先回りして対応してもらえるのでありがたい』という評価をよくいただきます。これが私たちにとって大きなモチベーションになっています」(篠田弁護士)

さらに篠田弁護士は、「それぞれが異なる分野・業種の顧問先を有するので、コンフリクトがほとんどない。このことも、多様かつ幅広い案件を事務所として取り扱うことができている大きなポイントといえるでしょう」と語る。

  • 三宅坂総合法律事務所
    「当事務所は弁護士間の人間関係がフラットで、相互を尊重することが前提。そのため、質問もしやすい。先輩弁護士とも気軽にディスカッションができる」と、依田弁護士。
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    広めに確保した図書スペース。弁護士の執務スペースも含めて、近年、大幅に増床した。

セクショナリズムのない風通しのよい環境

〝柔軟なチームアップ〟が可能なのは、同事務所が〝縦・横〟の垣根なく協働すること、セクショナリズムの排除を方針としているからだ。依田渓一弁護士は言う。

「私たちは個々人を尊重し、〝民主的〟な事務所運営を徹底しています。目指すのは、〝EU〟のように個々人が協働・連携する組織。事務所運営に関してはできるだけアソシエイトにも入ってもらって合議し、意思形成を図っています。例えば、新卒採用に関しては、パートナー・アソシエイトを問わず参加できる弁護士は全員面談に参加し、それぞれが評価を行う。それを踏まえて採否を決めています。そのようにパートナー・アソシエイトにかかわらず、相互の長期的な信頼関係の継続を前提に、〝一人ひとりがプロフェッショナルであること〟を認め合い、尊重し合う風土です」

こうした風土や採用方法は、事務所設立当初からの伝統として受け継がれていると言う。

「当事務所は、設立者の山岸洋弁護士が、少人数でスタートさせた事務所でした。だからこそ、一人の弁護士が参画することによる影響力の大きさを創業メンバーも強く意識していたのだと思います。これまで参画してきた弁護士も皆、〝人としての魅力〟を感じて当事務所を選び、〝人こそ資産〟であることを理解したうえで働いています。そうした意識が風土を育て、引き継がれてきたのでしょう」(篠田弁護士)

若手一人ひとりの成長を親身に見守る

同事務所では、パートナーがアソシエイトの志向や業務の繁忙状況などを考慮して案件を割り振り、案件ごとにチームアップを行う。アソシエイトとしては、専門性、仕事の進め方、依頼者対応の仕方などを、偏りなく、各パートナーから学ぶ機会が得られる。こうした環境を支える仕組みとして、2名のパートナーがつくメンター制度をはじめ、様々な育成メニューが用意されており、案件を割り振るだけで終わらせない、手厚いサポート体制が整っている。一人ひとりが自立的にキャリアを築けるよう促しながらもサポートは惜しまない──そんな育成方針が、若手支援の基本姿勢だ。

さらには、企業法務部への出向や海外留学制度といった機会により、実務経験を積みながら視野を広げ、成長できる環境がある。これらの制度は、メンター制度と並ぶ育成の柱として、個々の志向やキャリアプランに応じて活用されている。依田弁護士は言う。

「アソシエイトには、どのような案件でも『自らが主任である』という意識を持って、主体的に業務に関与してもらいたいと伝えています。そうすることにより、自ら考えて案件を取り回し、依頼者からしっかりと信頼していただける、弁護士としての力量を伸ばしていけるはず。当事務所に入所した弁護士が皆、将来パートナーに昇格してくれることを願っています」

なお、同事務所の先輩弁護士が後進を見守るのは事務所内の業務だけではない。例えば、自らの判断で参加する弁護士会活動や公益活動に取り組む時間も、それにあたる。

「当事務所では、いわゆるプロボノという言葉で所外活動をくくってはいませんが、それぞれの弁護士が自分の関心やライフワークとして、自由に公益的活動に取り組んでいます。例えば、私自身も『倒産法研究会』で代表幹事を務めたりロースクールで実務家教員として教えたりしていますし、伊東亜矢子弁護士と下瀬隆士弁護士は第二東京弁護士会の『子どもの権利に関する委員会』で委員長を務めました。伊東弁護士や下瀬弁護士のように、企業法務を専門とする弁護士が、そうした場で中心的な役割を担うことはめずらしいのではないでしょうか。公益的活動は、誰かに指示されて行うのではなく、自分自身がやりたいと思う分野で力を尽くしているうちに周囲の信頼を得て、役割が与えられていくものだと感じています。事務所としても、各弁護士の所外活動を含めて業務の負荷を把握し、案件の割り振りを行っています。各弁護士の自主性を大切にしながら、それが将来、各自のキャリアにつながっていくことも願って、仕事と所外活動の両方に存分に取り組める環境をつくっています」(篠田弁護士)

最後に、どのような若手弁護士を育てていきたいかを伺った。

「興味・関心の分野は問いませんが、将来的には自らの判断で業務を取り回すことが必要となります。法律家としての論理的思考力や文章力があることは大前提として、常に依頼者のため、また自分自身の成長のために何ができるかを考えられる、精神的に自立した方と働きたいですね。一人でも多く、そのような弁護士を育てていきたいと考えます」(篠田・石田・依田弁護士)

Editor's Focus!

新年会や暑気払いなど、事務局を含めたメンバー同士の交流の機会が多々ある。弁護士間の集まりとしては、所内で軽食を食べながら、ざっくばらんに意見交換をしたり、後輩が先輩に質問する機会も定期的に設けられている。写真は、休日に有志が集まったゴルフコンペでの一枚

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