Vol.94
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右から、門松優介弁護士(62期)、荒木俊和弁護士(62期)、安部光陽弁護士(73期)、小山光弁護士(77期)。オブカウンセル・小林美奈弁護士も所属

右から、門松優介弁護士(62期)、荒木俊和弁護士(62期)、安部光陽弁護士(73期)、小山光弁護士(77期)。オブカウンセル・小林美奈弁護士も所属

STYLE OF WORK

#197

弁護士法人ANSWERZ

M&Aとファイナンス分野に強み。札幌と東京で高度なリーガルサービスを提供

大型M&Aにも少数精鋭で対応

弁護士法人ANSWERZ(アンサーズ)は、札幌と東京の2拠点で、M&Aとファイナンス分野を中心としたリーガルサービスを提供してい。2014年、荒木俊和弁護士が、前身となる事務所を札幌で設立し、23年に弁護士法人化。そのタイミングで、門松優介弁護士がパートナーとして参画。二人は森・濱田松本法律事務所出身で、荒木弁護士は、不動産系のストラクチャードファイナンスやREIT業務、二酸化炭素排出量取引制度設立などに関与。門松弁護士は、同事務所で経験を積んだのち、複数の投資銀行でIPOなどの資本市場案件やM&Aに数多く携わった。両弁護士の専門性を融合し、難易度の高い案件に対応できることが事務所の特徴だ。

荒木弁護士に、これまで関与してきた案件についてうかがった。

「全国的に知られたBtoCアプリを提供する大手企業のM&Aに関与しました。取引規模は約100億円で、四大法律事務所が対応するような案件です。案件規模からすれば、弁護士2名体制は心もとなく、依頼者にとって勇気のいる選択だったのではないかと想像します。我々もまったく不安がなかったわけではありませんが、『引き受けた以上はやり切ろう』と。結局、法務デューディリジェンスや株式譲渡契約を中心とした各種契約書のドラフト・レビューなど一連の業務をやり切り、スケジュールどおりにクロージングまでもっていきました。こうしたやや〝向こうみず〟な挑戦を門松弁護士と重ねてきましたが、そのかいあって、事務所の土台をしっかり固めることができました」

法人化して以降、高度な依頼や相談が相次ぎ、業務処理が追い付かない状況となった。

「私自身、札幌でM&A市場の開拓に力を尽くしてきたつもりですが、門松弁護士の参画で、実績とノウハウの蓄積が一気に進みました。今、自信を持って『事務所の専門分野はM&Aとファイナンス』と言えるまでになりました。彼は投資銀行3行を渡り歩いた経験から、ビジネス実務に知見があり、ファンドマネジャーやスタートアップ企業のなどとの関係も深い。そうした方々から信頼され、継続的にお声がけをいただけるのは、本当にありがたいことです」

今年(25年)、国際的視点を有し、〝ビジネスと人権〟分野にも精通する小林美奈弁護士がオブカウンセルとして参画した。

「小林弁護士は、第三者委員会やハラスメント調査などの案件の経験が豊富です。これらは中立的な立場から事実を明らかにするもので、依頼者にとって耳の痛い指摘を行わねばならない場面もありますが、最終的にはクライアントの利益につながる重要な業務。こうした案件を、当事務所の新しい軸の一つにしていきたいと考えています」

北海道神宮に“札幌メンバー”で参拝した際に撮影した一枚。「札幌も東京も風通しが非常に良いです」(荒木弁護士)

〝独自性〟を有するための布石

そもそも荒木弁護士が独立し、札幌で事務所を設立したのはなぜか?その理由をうかがった。

「司法修習地が札幌だったので、なじみがありました。加えて独立した当時、M&Aやファイナンス分野を専門とする法律事務所が札幌にはほとんどなかったのです。端的に言えば『働く環境を変えたい』『人と違うことをしたい』が、ここで開業した理由でしょうか。勝算があったわけではないのですが、札幌の地で自分の可能性を試したいと考えました」

そんな荒木弁護士は、「弁護士が〝特別な職業〟だとは思っていない。法律の専門知識を持っているビジネスパーソンだ」と話す。札幌では、地元の公認会計士、税理士、司法書士と連携し、家族信託を活用した相続問題への対応を行う会社や、一般社団法人北海道協会を設立している。「他人がやらないことへの挑戦に可能性を感じる。人と違うことをすると、何かしらの〝ビッグリターン〟がきっとあると信じている」と、荒木弁護士。近年、「ある程度M&Aや独自性ある業務分野の開拓が進み、事務所の存在感が高まってきた」と、振り返る。「個人事務所を立ち上げた当初は、顧問先の労務対応など幅広い企業法務に加え、経営者の離婚・相続といった一般民事も受任していました。多分野において高いレベルで対応できる自負はありましたが、やはり『自分にしかできない業務で特色を出したい』と考え、不動産系ファイナンスで培った信託を活用した家族信託や相続対策に着手。想像以上の需要があり、結果として、それが事業承継やM&A案件の受任へと発展していきました。相続対策の会社やM&A協会の活動の成果もあって、北海道でM&Aといえば、真っ先に名前が挙がる事務所というポジションを確立しつつあると思っています」「M&Aやファイナンスなどの高い専門性を必要とする事務所が、地方都市でも求められていることを強く実感する」と荒木弁護士。

もっとも、北海道の企業が売却を希望する場合でも、買い手は東京拠点のPEファンドや上場企業の場合が多い。そこで現在は、荒木弁護士が札幌と東京の2拠点を行き来し、門松弁護士が東京オフィスに常駐するかたちで事務所を運営している。

「門松弁護士は、上場企業による第三者割当(PIPEs)といった、非常に専門性の高いケースも数多く取り扱っており、普通株式から、優先株式・新株予約権・転換社債等のストラクチャーまで幅広い対応を可能としています。M&Aやファイナンス分野といっても、私と門松弁護士ではアプローチが異なることも、当事務所の強みになっていると思います」

アソシエイトの二人は、荒木・門松両弁護士の案件に携わる。「OJTがベースとなりますが、自律した弁護士の育成に向けて、多様な学びの機会を提供していきます」(荒木弁護士)

10名から20名体制に拡大していく

法人化以降、アソシエイトとして入所した2名の弁護士に、同事務所の魅力をうかがった。

「荒木弁護士も門松弁護士も、それぞれ専門分野の知識と経験を持っています。そうした知見を学べることや、『なぜそのように考えるのか』といった思考の部分も、率直に議論させてもらえます。何よりも、両弁護士のレスポンスが早いので、スピーディに仕事を進められることも、貴重な経験を増やす後押しとなっていると考えます」(安部光陽弁護士)

「私も安部弁護士と同様で、両弁護士が〝弁護士以外の仕事〟の経験を持っていることに、当事務所で働く魅力を感じています。私はロースクール時代から、弁護士のキャリア形成には〝弁護士以外の経験〟も重要だと感じていました。ゆえに、ビジネス実務や組織の一員としての経験を持ち、仕事に生かしている二人と出会えたことは幸運だったと思います。日頃から、『弁護士は、法律的な視点からのアドバイスを行うだけではなく、ビジネスから見た時の最適なバリューの出し方という視点でアドバイスができるように』と指導を受けています。この事務所で、それを体感し、学び取っていきたいと思います」(小山 光弁護士)

現在は、弁護士5名体制だが、「採用のペースを上げて、さらに体制を強化していきたい」と、荒木弁護士は話す。

「これからも弁護士を確実に増やしていく予定ですが、今のところ最大でも10~20名規模で、一人ひとりがプロフェッショナルとして〝自律している弁護士チーム〟を形成するイメージです。例えば、M&Aのなかでも私ならば労務関係に強いのですが、知的財産や消費者法といった分野が必要となる場面が当然あります。そうした分野に強い弁護士を採用したり、育成したりしながら、事務所全体で結束して案件に取り組んでいく――そのように、多様なM&A案件に自信を持って臨める事務所をつくっていきたいと思います」

荒木弁護士は取材の最後に、こう付け加える。

「私は札幌に移り、〝イソ弁〟を経て事務所を設立しましたが、その背景には『現状をいったんリセットし、環境を変えて仕事に臨みたい』という思いがあったからです。例えば今は、通勤時間が〝徒歩5分〟で、オフィスも自宅も街中にあるので、日常生活の不便はいっさいありません。たったそれだけのことと言われるかもしれませんが、私自身は非常に重要なことだと思っています。通勤に毎日1~2時間かかり、それで体力を消耗していたら、本来のポテンシャルは発揮できないのではないか。公私ともに充実してこそ、仕事におけるパフォーマンスが発揮できるのではないか。私の場合は、環境を変えることで、その二つを叶えることができました。もしも、今の働き方に迷ったり悩んだりしている弁護士がいるなら、いったんリセットしてみるのも、弁護士としての仕事を続けていく大切な方法の一つだと伝えたいですね」

Editor's Focus!

荒木弁護士は、門松弁護士とともに仕事を進めることのよさを「“2つの視点”で物事を見ることの大切さがわかること」だと教えてくれた。また、事務所が徐々に拡大していく喜びを分かち合い、それによってモチベーションを高め合えることなど、「一人で運営するよりも様々な喜びがある」と話してくれた(写真は、多くの方々に祝ってもらった開所記念パーティでの一枚)