2022年に中途入社した鈴木美香氏は、法律事務所での幅広い実務経験を持つ。「事業により近い場所で、事業に対する深い理解をもとに法務支援を行いたい」「世界の社会・産業インフラを支える会社における法務支援を通じて社会に貢献したい」という思いが、入社の動機だった。
入社後に感じている魅力を、鈴木氏はこう語る。
「当社は幅広い事業領域を展開しており、その事業ごとにビジネスモデルや商流が異なります。それぞれの事業に応じた最適な法務支援を模索できることに面白さがあると感じています。また、同じ組織の一員という立場であるため、得られる情報量も多く、スピードも速いと感じます。社内外の事情を把握したうえで、関係部門とタイムリーに協議を行い、最適な方針を模索しながら、ともに会社をより良い方向へ進めていくことに、大きなやりがいを感じています」
さらには、「事業を支える機能として、法務組織のあるべき姿を考えられる点もインハウスならでは」と話す。
同部では、法務関連の社員教育企画・運営も担っている。法務部が実施する研修は、新入社員向けの契約基礎研修に始まり、管理職候補向け研修、新任管理職研修、新任役員向けの会社法上の責任解説まで、キャリアステージに応じた体系的なプログラムを備えている。加えて、秘密保持、取適法、独禁法、フリーランス保護法といったテーマ別研修も実施し、内容によっては全社員が対象となる。これらの研修プログラムは、すべてオリジナルで作成されている。研修の運営体制もユニークで、新入社員研修は入社年度の浅い若手メンバーが担当するのが通例だ。
「先輩社員のサポートのもと、若手主体で実施してもらっています。法律事務所で培った専門性や経験を土台に、事業伴走はもちろんのこと、マネジメント経験も含めて、インハウスローヤーならではの多様な業務経験を日々積ませてもらっています。法律事務所勤務とはまた異なる角度で、ビジネスや組織に関わることができています」(鈴木氏)
今後の注力領域として、野村部長は2点を掲げる。
第一に、グローバル連携のさらなる深化。海外事業の拡大に伴い、法務機能を持たないグループ会社も多いなかで、いかに効率的に連携して事業を継続させるかが当面の課題だと言う。
第二に、業務効率化とAI活用の全員参加。今年2月に契約管理システムを新たに導入し、リーガルテックの試行を積み重ねるなか、今期からはAI活用を目標管理制度に組み込み、全部員が取り組む施策として推進している。この取り組みに関し鈴木氏は、「部内全体で、標準的にAIを実務で活用できる環境を整え、業務の効率化と平準化を実現する」と語る。
そのために、若手・中堅混成の法務部AIプロジェクトチームを立ち上げ、ユースケースのマッピングやプロンプトライブラリーなどの整備を進めている。
さらに、野村氏がその先に描いているのは、「より高度な専門性を持ったプロフェッショナル集団を形成していく」ことだ。
「法務部のメンバーそれぞれに、自身の強みといえる専門領域を持ってほしいと願っています。環境法でも、宇宙法、取適法でも、M&Aでも、特定の海外法域でもいい。そうした専門性を各自が培い、よりプロフェッショナルな組織体にしていくことを目指していきます」