1952年にヘリコプター輸送事業を開始し、航空機による貨物輸送・旅客輸送と事業を拡大してきた全日本空輸株式会社(ANA)。2003年にはグループ全体の累計旅客数が10億人を超えた。日本を代表するエアラインは整備や地上支援を行う多数のグループ企業に支えられ、旅行業をはじめとした周辺ビジネスの系列会社も増えている。それら72におよぶグループ企業の法務業務をコントロールする、本社法務部の小安土宗勲氏に取材した。
「ANAの法務部は15名体制です。部長と私以外はほぼ30代という若い組織で、女性社員が2名在籍しています。今年4月に3名を増員して体制強化を図ったところですが、ANA本社の法務はもちろん、グループ企業(連結子会社)72社の法務支援も行っているため業務量が膨大。その大量かつ広範な仕事に対応するため、内部処理とアウトソーシングを柔軟に使い分けています。本社では予防法務・契約支援・調停など業務の大半を内部で解決しますが、訴訟の多くは顧問法律事務所に依頼。グループ顧問制で系列会社も自主判断で外部に出せるシステムです。私たちは『まずビジネスパーソンであり、その次に法律を扱うエキスパートという立場にある』と自覚しています。原則的にビジネスリスクは社内でマネジメントし、専門知識を要する案件については適宜、外部に依頼。案件によって新たに弁護士を探す場面では、弁護士である法務部長の人脈や高度な判断が存分に発揮されています。資格者はそのほかに司法書士が1名います」