今、権藤室長を含め12名いる法務スタッフのうち、4名が弁護士資格を持つ。特にここ3年は、総合職として毎年1人ずつ新卒の弁護士を採用している。
「会社によって考えは様々だと思いますが、私自身は弁護士資格を持つ人が法務にいる意義、効果は大きいと認識しています。この仕事は、外部の弁護士の協力・連携がなければ成り立ちません。例えば顧問弁護士に相談に行く場合、論点が整理され、聞くべきことが明確になる。加えて法務室のスキルアップにも大きく貢献してくれるはずです」
そして、社内弁護士は、グループの垣根を越えた相談相手になっているそうだ。
「今いる社内弁護士は全員優秀で真面目。意見も積極的に言ってくれ、私にとっても頼れる人材です。特に、室長権限を一部代行する榎弘一法務審議役は、入社後に資格を取得したので、会社を熟知しています。新卒弁護士のよき相談役です」
そして、「社内弁護士は法務室だけのものではない」と権藤氏は言う。
「民間企業に入ったのですから、他部門も経験して成長してほしい。彼らのスキルが生かせるのは法務室だけではありません。どの部門で働いたとしても、きっと活躍してくれるはずです」
最後に法務室に求められる人材について聞いてみた。
「好奇心、探究心にふたをしない人がいいですね。『こうなっているから』で済ませるのと、『なぜこうなっているのか』と突き詰めていくのでは、結果は同じだとしても、その人の中に蓄積されるものが違ってくる。もう一つは、コミュニケーション能力。例えば質問の意図を正確にくみ取り、第三者にわかりやすくポイントを伝える力です。相談に来た人に、納得、共感してもらうのが、我々法務の仕事ですから」