「法務部の前身である総務部法務室が発足したのは、国内で化学工業が花開き始めた1975年。事業部が抱える案件に積極的にかかわっていく気風は、当時からあったと聞いています」
同社法務部の特徴を、上席執行役員総務部長兼法務部長の沢山博史氏は、そう話す。
「例えば合弁を模索する相手と最初に会いに行く段階で、我々にも同行するように声がかかります。ちなみに、法務部は海外渡航費の枠を持っていないので、海外出張の場合は事業部負担で行くわけです。社内でもちょっと珍しい慣習だと思いますよ」
同社は、ケミカル・繊維、住宅・建材、エレクトロニクス、ヘルスケアの〝4本柱〞を主な事業としており、持株会社の下に合わせて9つの事業会社(1社は米国子会社)を持っている。
法務部は総勢14名の体制。2つのグループがあり、それぞれに事業会社と持株会社の案件が振り分けられている。
沢山氏は折に触れ、部員に対して「我々は、法務部の仕事をして給料をもらっているけれど、その前に一人のビジネスマンであるべき。現場では法律的にダメと言うだけではなくて、どのように変えれば適法になるのかという提案をしてほしい」と強調する。そうした重要な意見交換の場が、月に2回開かれるグループ法務全体会議である。
「各事業会社にも、専任ではありませんが法務担当者がいます。従来は部内だけで会議をやっていたのですが、今はグループの法務担当も含めた総勢30名ほどで、組織の垣根を越えた様々な案件に対するアイデアを出し合っているのです」