事務所会議では、たった一人が拒否したため、議案が却下されることもあるという。
「己の価値観にもとづき、妥協しない性格の弁護士が集まっているので、自由闊達な反面、会議での全員一致は大変」と、両氏は苦笑する。
報酬額はフルオープン、広報物で弁護士一覧を作成する時は五十音順。パートナーもアソシエイトも個室を持たず、お互いの顔が見えるようデスクを配置。仕事の仕方や事務所のあり方、ファシリティまで風通しの良さを徹底させている。実際、事務所内は活発な会話があふれ、和気あいあいといった雰囲気。そんな独自の風土が醸成された理由を二井矢氏に聞いた。
「各弁護士の知識・経験を効率的かつ機動的に結集して、総合的に最善のサービスをクライアントに提供することがわれわれの使命です。そのためには、得意分野や考え方が異なる弁護士が、上下関係などにとらわれることなく活発に議論できる〝自由な風土〞を確保する必要がある。そのように考え、われわれは意識的にこうしたプラットフォームを作ってきています」
自由・平等だからこそ、若手弁護士にとっては厳しい鍛練の場となる。先輩弁護士と常に同じ土俵で議論しなくてはならないうえ、早く一人立ちすることを求められるからだ。