Vol.75
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前列左より、川畑貴史弁護士(70期)、國丸知宏弁護士(70期)、中山 恵弁護士(67期)、菰田泰隆弁護士(65期)、坂本志乃弁護士(69期)。ほか2名の弁護士と、社会保険労務士、税理士が所属

前列左より、川畑貴史弁護士(70期)、國丸知宏弁護士(70期)、中山 恵弁護士(67期)、菰田泰隆弁護士(65期)、坂本志乃弁護士(69期)。ほか2名の弁護士と、社会保険労務士、税理士が所属

STYLE OF WORK

#144

弁護士法人 菰田総合法律事務所

新たな弁護士像を探求しながら、お客さまにさらなる付加価値を!

常に付加価値をもたらす仕事を

福岡市の中心部、博多駅近くの大博多ビルに本店を置く、弁護士法人 菰田総合法律事務所。菰田泰隆弁護士が2012年に創設、現在、福岡県内に2拠点を展開する。総合法律事務所の名のとおり、社会保険労務士・税理士も所属し、またそれらの資格を有する弁護士も。いわば“三士業一体”で業務推進するのが特徴だ。菰田弁護士に、体制構築の背景を伺った。

「例えば、顧問業務でいうと、法務、税務、労務の相談がほとんどですが、お客さまは相談を一本化できないのが士業業界の現状。弁護士になってからというもの、サービス業であると思いながら、お客さまに十分な利便性を提供できていない業界のあり方に疑問を抱いていました。それで海外のファームのように、様々な顧問サービスをワンストップで提供する事務所をつくりたいと考え、現在の体制に至ったというわけです」

その根底には、「すべての人、すべての企業を豊かにする」という事務所の理念がある。

「弁護士の仕事は、“マイナスをゼロに戻すだけ”と思われがちです。弁護士が関与して、貸したお金が戻ってきても、お客さまにとっては元の状態に戻るだけ。そのような仕事を続けても、私自身幸せになれない。私たちが関与することで、お客さまにさらなる利益や幸せが提供でき、お客さまに付加価値が生み出される――常にそんな仕事をしていきたいと思っています」(菰田弁護士)

顧客に付加価値が提供できる仕事とは、どのようなものなのか。

「例えば、相続で引き継いだアパートの売却を検討していたお客さまのケースです。空室が多く、思ったような価格で売却できないとのこと。そこで、当事務所のお客さまである不動産企業を紹介し、リノベーションにより家賃を上げ、かつ満室にした状態で売却することに成功しました。先のお客さまには、予想以上の売却益が確保できたと喜んでいただきました」

同事務所は、医療法人の法務も多く扱う。顧問業務や労務管理はもちろん、新規医療法人設立や役員変更、医療法人のM&A、設立後の保健所・厚生局・都道府県への届出や許認可申請までも引き受ける。あらゆるサービスを一気通貫で行うことにより、顧客にとって時間や手間が省けることも大きな付加価値であるのは間違いない。

  • 弁護士法人 菰田総合法律事務所
    オフィスは弁護士もスタッフも完全フリーアドレス。ペーパーレス化や業務内容のデータ化も推進。在宅ワークでも仕事を回せる体制が“新型コロナ禍”前からできていた
  • 弁護士法人 菰田総合法律事務所
    入居するビルは、博多駅界隈では有名な歴史ある建物だ

信頼できるメンバーを育てる

同事務所では、主に相続や離婚など個人の案件と、顧問業務を中心とした企業法務を取り扱う。後者との相談にはビジネスチャットツールを用いており、「日々、顧問先からスピーディに、たくさんの質問が上がってきます」と、中山恵弁護士。中山弁護士は同事務所創設間もない頃に入所し、現在は顧問業務チームの責任者として活躍する。菰田弁護士は言う。

「案件の処理方針など最初の部分は私もアドバイスしますが、その後の顧問先管理は基本的に中山にすべて任せています。中山以下、メンバーが実務を担当し、私はお客さま全般、特に企業経営者との個人的な信頼関係づくりに注力するという役割分担です」

そんな菰田弁護士が、事務所創設以降、会ってきた経営者の数にはおどろかされる。

「一人の経営者と会ったら必ず、『あなたが尊敬している経営者を二人紹介してください』とお願いして、さらに別の経営者との面談の機会を得る。先日、名刺管理アプリで確認したら、独立してから8年で9800名を超える経営者の方々とお会いしていました」

菰田弁護士はそうやって、多くの先輩経営者から、“人の縁を大事にすること”や“経営者としての心得”などを学んできたという。

「私は、お客さまに社労士、税理士としても応対しているせいもあり、“弁護士”という意識が薄く、何か別の新しい職業だと思ってやっています。強いていえば“一経営者”でしょうか。そして、そんな自分の役割を全うしていくには、信頼して実務を任せられるメンバーの存在が必須なのです」

そのような人材を育成するのは容易なことではない。同事務所で取り組んでいることを、いくつか教えていただいた。一つは、詳細な報酬規程の運用だ。

「当事務所では、全60ページにおよぶ報酬規程をオリジナルで作成しています。新人や中途入所者は、この“サービスラインナップ”をロールプレイングなどで繰り返し訓練し、頭の中に叩き込みます。私たちの仕事は、いわば“無形のサービス”。お客さまに不安のない状態で契約を結んでいただくには、全サービスが可視化されていることが大事です。そして、それをきちんと把握して、説明できる弁護士であることが基本。“お客さまにとって必要なものは何か”、“何があれば便利か”といった、“顧客の視点に立つ力”を鍛える一つのツールとして、当事務所では報酬規程がその役割を果たしているわけです」(菰田弁護士)

「いくら弁護士が“うまく解決できた”と思っても、お客さまの気持ちと乖離していては意味がありません。私も『君がどう思うかはどうでもいい。それはお客さまにとって本当に納得のいく結論か』といったことで、よく菰田に叱られました(笑)。例えば、お客さまへの報告書は、弁護士が書きがちな長文ではなく、パワーポイントでビジュアル的に見やすく整理されたものを作成します。そうやって案件の結果以外の部分でも、お客さま視点できめこまやかに配慮することの大切さや、本当の意味での顧客満足は何かなど、今も勉強する毎日です」(中山弁護士)

勉強会については、知識よりも“人づくり”を重んじる。その理由を菰田弁護士に聞いた。

「極論ですが、知識的なことや実務的なことは、そのつど周りに聞き、書籍を読み・調べて、自分で勉強すればいいと私は思います。当事務所では、そのための時間を“人間力を高めるための勉強会”の時間に充てています。毎回進行役を決め、それぞれがテーマを考えます。例えば私が担当した回では、『あなたの名刺に“日本一〇〇な弁護士”と入れるなら、何と入れる?』、『そのキャッチコピーは20年後、どう変化していたらいいと思う?』といったことを、一人ひとりに投げかけて、答えてもらう。各メンバーの“根っこ”にある思いや大切にしていることなどを引っ張り出して、自分自身や仲間のことを知ろうという目的です。私たちの仕事は、お客さまの人生をより豊かにしていくこと。知識があっても、人としての器が小さいと、お客さまからの信頼は得られません。弁護士以前に素晴らしい人間として信頼されるよう、そんな機会をつくっているのです」

三士業ワンストップを、当たり前のサービスに

菰田弁護士は、士業業界に新たな一石を投じたいと考えている。

「私は、弁護士、税理士、社労士と、“中小企業の顧問業務に必要な三士業”をワンストップで行う当事務所のビジネスモデルを、士業業界のスタンダードにしていきたいと思っています。もちろん、私たちが支店展開などで全国に広めてもいいのですが、独立志向の高い期の若い弁護士など共感してくれる方がいるのなら、ノウハウを伝授し、一緒にムーブメントを起こせていけたらと思っています。いずれにせよ、弁護士がもっと世の中の役にたてる新たなかたちが、私たちの手でつくっていけるのではないかと考えるのです」

とはいえ、一法律事務所が、三士業分の実務をこなすのは、簡単なことではない。

「それでも、企業が人事評価制度を変える場合と同様に、新たな制度をどうつくるかによって、万一従業員ともめた時に、きちんと事を収められるかどうか、その結果は変わるでしょう。そうした訴訟リスクや、訴訟上の証拠として何が大事かを知っている、仕組みを変えた当事者が労務と法務の両方に関与することは、企業にとって非常に意味があると思います。弁護士の数が増え、仕事が減ったと聞くこともありますが、私はそうは思いません。従来行われてきた弁護士業務だけにとらわれなければ、活躍できる場はまだまだ発掘可能です。資格の枠組みだけにとらわれず、広く外に目を向けて、どんどん人と交流し、その中で自分の可能性を模索していく――私はそうして日々の仕事を楽しみ、お客さまも、所員も自分も幸せにしていきたいと思います」

Editor's Focus!

3時間分の睡眠を1時間でまかなえるという酸素カプセルが鎮座。「すごく忙しかった時期に購入。遠慮からか、あまりメンバーは使ってくれません(笑)」と菰田弁護士。在宅ワークを含め、労働環境が整備されてきたからか、幸い稼働の機会は多くない。

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