自身を〝経営者である〞と自負する茅沼氏は、弁護士実務と経営を峻別する。
「依頼の電話は私が受けますが、面談は適切なメンバーに割り当て、任せます。ただし面談後は必ず、詳細を報告させて、アドバイスします。その時に有用と判断した案件は、〝事例研究〞の題材にし、その日のうちに弁護士間で内容を共有。そうやって、私自身は事務所の経営に徹し、実務をメンバーに任せることで、いち早く彼らが成長することを実現し、多くの案件に迅速に対処することで経営の効率化を目指しています」
また茅沼氏は、社会人経験のある弁護士を積極的に採用する。
「扱う案件の多くで、個人の人生に深く関わる、ナマでどろどろした事象に直面します。ゆえに、うちの弁護士に必要なのは〝社会の事実をまとめあげて処理する能力〞。社会人経験のある人材は、そこで優れた能力を発揮してくれます」
茅沼氏以外に弁護士は8名おり、大半が60期代の若手弁護士だ。このうち半数が、金融系企業やコンサルティングファームや音楽ソフト制作企業で社会人経験を積んでから弁護士となった人材。
例えば、信託銀行で管理職を経た後に弁護士となった菱沼秀樹弁護士。中小企業経営者の経営相談はお手の物だ。また、ある民事再生手続で「申請者の今後1年間の資金繰り予定表を提出せよ」と裁判所から求められた際は、かつての経験を生かして該当書類作成を異例のスピードで仕上げた。若手弁護士の一人である菱沼氏は、ここで働く魅力を次のように語る。
「扱う事件の種類は債務整理や離婚など多岐に渡ります。個人に密着した事件で、依頼者のために全力を尽くして仕事ができることがやりがいです。また事務所の風通しの良さは抜群。〝弁護士も事務員も遠慮なく意見交換できる環境に〞と、〝日常のおしゃべりをとがめない〞のが、所長の方針。そのため業務以外の子育ての話にも花が咲く(笑)。気持ちが通じ合い、信頼し合える仲間が集う、最高の事務所だと実感しています」