「法曹実務の現場から、法科大学院と社会をつなぐプラットフォームにならん」とする挑戦に手を挙げた。設立に当たり事務所名に込めた思いを河﨑弁護士はこう語る。
「“コモンズ”とは、共同利用地、共有財、入会地(いりあいち)の意。先人が培ったリーガルスキルを、社会の“コモンズ”として役立て、途切れることなく私たちがまた次の世代につないでいく――法的な意味での共有財をつくっていこうという思いを表しました」
こうした背景を持つ事務所ならではの、特別な教育プログラムを行っている。一つは学生を“通年で”エクスターンシップとして受け入れる「次世代育成プログラム」。
「依頼者の許可を得たうえで、学生を法廷や事件現場に伴います。私たち自身が法律家としてこれからの人間なので、教えるというよりは“一緒に取り組む、共に考えるための場を提供する”という意味合いが強い」と、河﨑弁護士。
もう一つは、「『挑戦する法曹』輩出システム/育成弁護士制度」。これはまさに、遠藤所長が憂えた原因を解消する制度だ。
「毎年5名程度を、2年間“コモンズプロジェクト参加弁護士”(アソシエイト)として採用し、法曹としての実務経験を積み、独り立ちしてもらう。やがて彼らが次の世代を育成する一助となる。法律家としての志を貫き、それを後輩に伝え……とつながっていくことが、私自身の夢でもあります」