Vol.59
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前列左より、鈴木麻未氏(事務スタッフ)、髙橋春菜弁護士(66期)、浦﨑寛泰弁護士(58期)、及川博文社会福祉士・精神保健福祉士(PandA社会福祉士事務所、東京TSネット代表理事)

前列左より、鈴木麻未氏(事務スタッフ)、髙橋春菜弁護士(66期)、浦﨑寛泰弁護士(58期)、及川博文社会福祉士・精神保健福祉士(PandA社会福祉士事務所、東京TSネット代表理事)

STYLE OF WORK

#106

PandA法律事務所

弁護士とソーシャルワーカーの協働により、「多様性のある社会」の礎を築きたい

知的障がい・発達障がい、高齢者、ホームレス、LGBT、性産業など世の中の様々な課題解決に貢献

浦﨑寛泰
浦﨑寛泰弁護士/2003年、早稲田大学法学部在学中に司法試験合格。05年、池袋総合法律事務所入所。06年、法テラス壱岐初代所長。09年、法テラス千葉初代所長。13年、社会福祉法人南高愛隣会に出向。同年、東京きぼう法律事務所入所。14年、社会福祉士登録、およびPandA法律事務所開設。15年、一般社団法人東京TSネット設立(初代代表理事)。

法テラス壱岐、法テラス千葉で、必要なところに出向く〝アウトリーチ〞に取り組んできた経験を生かし、PandA法律事務所を開設した浦﨑寛泰弁護士に、事務所の特徴を聞いた。

「司法と福祉が連携する〝司法ソーシャルワーク〞の実践、権利擁護の視点から、知的障がいや発達障がいのある方、高齢者などの支援に力を入れています」

浦﨑弁護士はPandA-Jという知的障がい・発達障がいのある方に関する調査研究を行うNPO法人と縁があり、そことオフィスシェアして事務所を運営している。また地域でトラブルに巻き込まれた障がい者を支援するため、弁護士、社会福祉士、医師など専門家を集めた一般社団法人東京TSネットも設立。司法と福祉の専門家らが連携・協力しやすいよう、ネットワークを張り巡らせている。

「障がいがある方の親御さんや福祉サービス事業所向けに講演を行う機会は多いのですが、そうした時、教えるのではなく〝現場が感じていることを聞いて双方向で考えること〞を大事にしています。私自身も持っていない知恵や答えが現場にはあります。様々なネットワークは、自分を含め、みんなで学び、答えを探っていく場なのです」

どんな案件に関与するのか。

「多いのは知的障がいや発達障がいのある子の親御さんからの悩み・トラブルの相談です。顧問先の発達障がい専門のクリニックに毎月訪問し、継続的に話を聞いています。障がいのある方が事件に巻き込まれるなどして訴訟や刑事事件になった案件、成年後見制度に関しても多いですね。ほかの弁護士が、クライアントに何らかの障がいがあってサポートが難しそうな時に紹介を受けることもあります」

  • PandA法律事務所
    両弁護士が同じ事件を共同することは少ないが、「事務所にいる時はよく相談に乗ってもらいます」と髙橋弁護士。浦﨑弁護士から東京TSネットの代表理事を引き継いだ及川社会福祉士も机を並べる。メンバーの一体感が感じられる執務室
  • PandA法律事務所
    浦﨑弁護士は、障がい福祉サービス事業所や大学、障がいがある方の親御さんなどに年間30~40件の出前講座(講演を通じて様々な方の考えを聞く)を行う。写真は一橋大学での講義の様子
髙橋春菜
髙橋春菜弁護士/2007年、京都大学法学部卒業。10年、早稲田大学大学院法務研究科修了。NPO法人PandA-Jでの活動に携わり、15年、PandA法律事務所入所。東京TSネット、東京弁護士会高齢者・障害者の権利に関する委員会所属。共著に、『更生支援計画をつくる:罪に問われた障害のある人への支援』(現代人文社)など。

また、ほかのNPOと連携して性風俗店で働く女性向けに、毎月待機部屋を訪問して無料法律相談も実施(通称「風テラス」)。法律相談をきっかけに債務整理を引き受けることもある。

「大事にしているのは多様性。違うものがたくさんあることがこの社会の厚みであり強さだと考えます。それが許容され、保障され、〝そのままでいい〞が認められる社会が目指すべきところではないでしょうか。障がいといっても一人ひとり環境も事情も違う。多数派に無理に合わせたり抑圧されず、そのままで生きられるということを、法的な側面から解決し、支援できるよう仲間と取り組んでいます」

また髙橋春菜弁護士は、仕事のやりがいを次のように語る。

「マイノリティの属性を持つ方は、気づかれていないだけで、実は社会の中に大勢おられます。例えば一般民事事件の相談でも、どの弁護士ともうまくいかずに当事務所にたどり着く方がいますが、その背景に発達障がいが隠れている場合があります。こちらが気づくことさえできれば、ほんの少しの配慮でスムーズにコミュニケーションがとれるようになる。きちんと向き合えるようになると、これまで〝厄介なクレーマー〞と扱われていた方が、実はまともな権利主張をしていたのだと気づかされたこともあります。多数派には理解されない何かを抱えた方、心の中に生きづらさを抱えた方、理解されづらいけれどその人なりの合理的な考えや言い分を持っている方など、その人たちが抱えているものを多数派にもわかるよう通訳し、橋渡しすることが私の役割であり、やりがいです。目の前の依頼者に対してそのような役割を果たすことで、多様性ある社会を実現することにつながると思っています」

浦﨑弁護士、髙橋弁護士ともにあらゆる人が同等に「司法アクセス」できるよう取り組む。浦﨑弁護士は、事務所の未来の姿を次のように話してくれた。

「興味・関心・価値観を共有できる弁護士や福祉専門職を巻き込み、その力で多様な活動をしていきたい。弁護士50人とソーシャルワーカー50人の100人規模が理想。1カ所の事務所ではなくネットワークでもいい。これからの若い専門家たちにも参加してほしい。私は気づけなくても、感性ある若手弁護士や社会福祉士なら気づける問題がきっとある。そういうものをキャッチしながら発信し、突破していくための仕組みづくり、事務所づくりをしていきたい。ネットワークを生かし、障がいのある方の支援、ホームレス、LGBT、性産業の問題など、世の中の様々な課題の解決に貢献していきたいと思います」

  • PandA法律事務所
    オフィスシェアするNPO法人の愛称は「ぱんだJ」そのためか、パンダの人形が自然と集まり、来所者を和ませる
  • PandA法律事務所
    NPO法人PandA-Jが発行する雑誌。「知的障害者の権利をみんなで護る社会を目指して」を編集方針とする