しかし裁判に至る例も、もちろんある。近年、関与した事件について、山口弁護士に尋ねた。
「日本の船会社が運行するコンテナ船海没事故が、近年関与した事件では最大です。2013年6月インド洋航行中に同船体が破断し、4300ものコンテナが海没したもの。貨物全体では約600億円の損害と言われています。船会社は、船主責任制限法に基づき、同年7月、東京地裁から“船舶所有者等の責任制限手続開始決定”を受け、それに対して私どもが、荷主の保険会社からの依頼を請けて約200億円の“責任制限の債権届出”を行いました。また船体が破断した理由をめぐり、翌14年1月、船会社が造船会社に対して製造物責任訴訟を起こしています。私どもで代理している約200億円についても同様の訴訟を提起しています。現在も継続中で、海外法律事務所の海事弁護士の協力も得て、手分けしながら進めているところです」