実際にどんな事件を解決に導いてきたのか。一例を尋ねた。
「以前、借地権者が所有権者から明け渡しを迫られた事案で、依頼者である借地権者は『絶対に明け渡さない』と主張。事情を聴き、その方が今後その土地をどうしたいのか、推定相続人たる子らの人生設計など、親族も話し合いに加えて包括的に協議した結果、『永続的に借地権を保有するまでの必要性はない』という結論に至りました。他方、借地権を所有権者に売却するにしても、『可能な限りの対価を得たい』こともあり、所有権者を調査。所有権者は借地部分も含めて集合住宅を建設すべく、不動産業者や工務店と協議を始めているとの事情をつかみました。そのスケジュールを鑑みながら交渉を重ね、結果、当初提示された金額の2倍近い価格での買い取りを実現できました。依頼者から感謝を受け、今も新たな案件や紹介をいただいています」
今年1月には、新68期の新保輝弁護士を採用した。大達弁護士の言葉を借りれば、新保弁護士は〝修業の真っ最中〞だ。
「難易度によりますが、私がサポートにまわり、新保弁護士をメインにする事件も増やすよう心がけています。逆にサポートさせる場合、なぜ私がそう指示するのかについて、意図を問うことがよくあります。弁護士は知的職業のマイスター、職人ですから、自分の行動や言動を合理的に説明できる必要があります。また、明確な正解もない業務ですから、依頼者に対して合理性をもって説得できるのであれば、私と意見に相違があっても、新保弁護士の判断も汲むよう心がけています。私がこれまで依頼者に対して行ってきたこと、姿勢、それらを新保弁護士にも体得してもらい、ともに事務所を盛り立ててくれることを期待しています」
大達弁護士は、決して論理を振りかざしたり、理屈を押しとおしたりしない。依頼者と真摯に向き合い、コミュニケーションを密にとり、信頼を得たうえで、法律のプロとしてのアドバイスを行うことを大事にする。その積み重ねで、〝依頼者にとって本当に相談しやすい事務所〞が、つくられていく。