Vol.62
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左から、田村誠彦弁護士(70期)、中山達樹弁護士(58期)、得重貴史弁護士(64期)

左から、田村誠彦弁護士(70期)、中山達樹弁護士(58期)、得重貴史弁護士(64期)

STYLE OF WORK

#114

中山国際法律事務所

ファイティングスピリットあふれるアジア法務のエキスパート

アジア法務のパイオニア。ASEAN各国市場に造詣が深く扱う業務の約7割が海外案件

中山国際法律事務所
年20回(90日)の海外出張をこなし、月2回は国内で海外法務セミナーを実施。なお、極真空手の指導員歴は15年。「クオリティ維持を最優先に、よりよいサービスの存在を広く知ってもらう。“海外法務のどこでもドア”としての利便性を追い求める」(中山弁護士)

中山国際法律事務所は、中山達樹弁護士が2015年に設立した事務所。中山弁護士は、「アジアに拠点を開いた日本初の法律事務所」として知られる三宅・山崎法律事務所(現三宅・牛嶋・今村法律事務所)で国際法務の経験を積み、初の日本人弁護士としてシンガポールのDrew&Napier法律事務所に勤務した経験を持つ。「アジア法務のパイオニア」として知られ、ASEAN各国市場に造詣が深い。取り扱う業務の約7割が海外案件(そのうちの7割ほどがアジア案件)で、年間で20回(計90日)ほど海外出張に出かけるという。また、IPBA(環太平洋法曹協会)の役員を長く務めており、そのネットワークからの仕事依頼も多い。これまで具体的には、どのような案件に関与してきたのか聞かせてもらった。

「国際取引全般、特にアジア新興国への日系企業の進出やM&A、撤退などに多く関与しています。世界的ボクサーでフィリピンの上院議員でもあるマニー・パッキャオ氏が日本でボクシングジムを開設する際の法的サポートなども行いました。最近は、私が得た〝現場の肌感覚・経営感覚〞を武器に、海外拠点の法務・コンプライアンスの監査・往査を新ビジネス領域として開拓中です」

中山弁護士にとってASEANでの仕事の醍醐味は何なのか。

中山国際法律事務所
業務効率化の極限を目指し、中山弁護士は常に立って業務をする。所内での服装は自由(中山弁護士は、毎日アロハシャツ着用)

「各国の法整備状況はまだこれからで、グレーゾーンもあり、先進国のようにはいかないケースが大変多い。ですから、現場でのタフな交渉、海外弁護士の巧みなコントロール、単なる通訳を超えてクライアントの立場を〝忖度〞した交渉や戦略設定が要求されます。私自身の〝現場力〞〝交渉力〞〝人間力〞〝突破力〞などが毎回試される。ここに、やりがいを感じます」

「法律は法律として対応する。しかし人間関係の構築や現地での根回しなど、ビジネスに近い感覚が面白い」と語る中山弁護士。いかなる困難も自分の力で突破する、その状況を楽しんでいるようにも見える。中山弁護士との仕事を経験したクライアントは、その仕事にかける情熱、フットワークのよさ、ファイティングスピリットなどを評価し、また声をかけてくれる。

そんな中山弁護士は、事務所運営にも情熱を燃やす。事務所のユニークな2つの試みについて紹介する。

中山国際法律事務所
応接室には、事務所のモットー「Be the change」のきっかけとなったガンジーの肖像画が

1つめは事務所のロゴに「Be the Change」というモットーを冠していることだ。「ガンジーの箴言『世界を変えたいと思うなら、まず自分が変われ』から取りました。批評する者ではなく批評される者でありたい。そして加速度的に進化するビジネスと世界のあり方に常にアンテナを張り、所員全員がフロントランナーであり続けるという思いも込めました」

2つめは、心がけ、コミュニケーション、業務効率化の方法、クライアント対応など、中山弁護士が目指す事務所の姿を明文化した、「NP(中山&パートナーズの頭文字)ポリシー」を作成して公開していることだ。

「弁護士を〝センセイ〞と呼ばないなど、仕事を進めるうえで感じる違和感を解消するため、事務所全体で取り組みたいことを言語化しました。所員の意思統一が目的です」

「『世界最高の環境で世界最高のサービスを目指す』という高い志を持ち、常にクライアントの期待を凌駕する仕事を」という中山弁護士の事務所運営の核が、このNPポリシーとなっている。ただ、中山弁護士の視点の先にあるのは事務所の運営だけではない。昨年、一般社団法人 グローバルチャレンジという組織を立ち上げた。これは弁護士に限らず、主に若手人材を対象に〝世界を知ってもらう〞ためのセミナー、海外視察などの場を提供するための組織だ。

中山国際法律事務所
リーダーシップを自ら学ぶため、中山弁護士は独立後、米国シンギュラリティ大学とシンガポール国立大学のリー・クアンユー公共政策大学院に通った

「私は本気で、日本や世界を変えたいと思っています。今の日本の組織にはリーダーシップが欠けている。それはよくも悪くも〝他者の目〞を気にする、日本的な慣習のせいだと思うのです。リーダーシップを育てるには『人の目を気にせず自由に生きる。人と違うことを恐れずに生きる』ことが大切。そのために視野を広げ、学ぶための場を提供したいと考えて設立しました。社会貢献活動の一環です」

「アジア法務のエキスパート」という独自のポジションを確立した中山弁護士は言う。「一人ひとりが自分のブルーオーシャンを見つけてほしい」と。彼のようになるには、少なくとも10年以上はかかる。しかし、まずはこの個性豊かな弁護士のもとに、その知恵、技、経験を盗むくらいの気持ちで飛び込んでみるのも一つの近道かもしれない。

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多数のドキュメントを同時作業するため、縦型の4面モニターを使用。アソシエイトは会議中のメモ禁止。ホワイトボードの写メをメモに代用する