Vol.75
HOME事務所探訪EY弁護士法人
  • ▼弁護士のブランディング支援サービス

    Business Lawyer's Marketing Service
  • ▼弁護士向け求人検索サービス

    想いを仕事にかえていく 弁護士転職.JP
  • ▼弁護士のキャリア形成支援サービス

    弁護士キャリアコンシェルジュ
  • 当社サービス・ビジネス全般に関するお問い合わせ

前列左より、竹原昌利弁護士(66期)、木内潤三郎弁護士(51期)、マイケル・ブロック弁護士(英国弁護士)、杉浦宏輝弁護士(67期)。ほかに10名の弁護士が所属

前列左より、竹原昌利弁護士(66期)、木内潤三郎弁護士(51期)、マイケル・ブロック弁護士(英国弁護士)、杉浦宏輝弁護士(67期)。ほかに10名の弁護士が所属

STYLE OF WORK

#142

EY弁護士法人

グローバルを舞台に活躍できる、総合プロフェッショナルファーム

先進的な法務戦略を推進

150を超える国・地域で約30万人の構成員が所属するプロフェッショナルファーム・EY(アーンスト・アンド・ヤング)のメンバーファームである、EY弁護士法人。М&A、リストラクチャリング、税務紛争など、隣接専門職との協働が求められる分野を中心に法務サービスを提供している。

マネージングパートナーの木内潤三郎弁護士に、特徴を伺った。

「主な特徴は3点です。1つ目はグローバルカバレッジ。80カ国以上にEYの名を冠した法律事務所があり、約2400名の弁護士が所属しています。2つ目はプロフェッショナルカバレッジ。EY内に公認会計士、税理士、FA、人事コンサルタントやITコンサルタントなど複数の専門職が集結しています。3つ目はテクノロジー。EYはテクノロジー投資に積極的で、そのメリットをフル活用したサービスを提供しています」

EYの弁護士は、国内外のプロフェッショナルと共に働くことが当たり前の環境だが、法律事務所の仕事という観点でも特徴があるようだ。

「私たちは通常の法律業務のほかにも、欧米で“オルタナティブリーガルサービス”と呼ばれる、企業の法務部の効率化のためのテクノロジー導入、アウトソーシング体制の構築、法務機能のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に関するコンサルティングなどを行っています。そうした際に、内部統制やITの専門家などと協働し、法律面からの分析やアドバイスを行い、ソリューション設計などに与します」

その“新たな法務戦略”の推進背景について、マイケル・ブロック弁護士は次のように語る。

「昨今、企業経営にまつわるデータ・プライバシーなどのレギュレーションが、各国でどんどん厳格化されています。また、国際規格ISО31022の発行もあり、各社法務部は経営に直結するアドバイスや機能強化を求められています。それらを受けた法務部が業務範囲の拡充やプロセス変革を検討する際に、私たちであれば様々なソリューションを提供できます。海外複数国に子会社を持つ企業が、各国で必要となる年次の手続を行う場合を例にとります。世界8カ所の拠点にまたがり、パラリーガルに準ずる約1100名のスタッフを有する当ファームのグローバルデリバリーセンターが、各国で毎年必要となる手続を確認し、クライアントから必要情報を収集し、手続支援を行います。またデューデリジェンスをサポートする際にも、このローコストセンターをクライアントに活用いただくことがあります。そんなサービス体制を構築している点も、当ファームの特徴の一つです」

つまり、“企業が法務機能をもう一歩前進させる”ためのサポートを積極的に行っているわけだ。

EY弁護士法人
育児休暇取得中の西尾弁護士はオンラインで取材参加。休暇はきちんと取得し、メリハリをつけて仕事をするというのが同ファームの風土

多様な案件にかかわるやりがい

先進的なリーガルサービスに取り組む一方、従来型の業務でも多くの実績を上げている。例えば、М&A・組織再編への対応もその一つだ。

「クライアントの日本企業が米国の競合企業を、チャプター11の手続の中で買収する案件に関与しました。その際は米国の倒産専門弁護士だけでなく、EYの、日米のリストラクチャリングアドバイザリーのチームメンバーらと協働。チャプター11の中で日本企業が“ビジネスをまるごと買収する”というМ&Aは、本件が初であったといわれています。逆に、クライアントである米国企業が日本企業を買収する案件もあり、これも日米の財務、税務、ITチームなどと組んで対応しています。いずれにしてもEYというネットワークのもと、国を超えてチームを組成し、ワンストップでサービスを提供できるという、私たちの強みが表れた関与例だと思います」

最近は、企業の経営環境の悪化に伴い、ノンコア事業のカーブアウトの相談も増えているという。その際にはアドバイザリーチームと共に立案段階から関与する。一方、税務紛争では、税務調査の始まる初期段階から関与できるという点も、EYならではだ。

「国際案件を多く経験したい」という思いでEYに転職してきた杉浦宏輝弁護士、竹原昌利弁護士、西尾暢之弁護士、3名のマネージャー(アソシエイト)にやりがいを伺った。

「まずグローバルネットワークの強さ、それに伴う案件規模の大きさがあり、インバウンド・アウトバウンドをバランスよく扱えているという実感があります。公認会計士や税理士など、EYのメンバーファームのプロフェッショナルと協働する機会も多いので、彼らがどういう視点で物事を判断し、行動するかを間近で勉強できることも非常に得難い経験となっています」(杉浦弁護士)

「加えて、私は業務の範囲の広さ・多様性を実感します。例えばIоTや再生エネルギーなど、先進的な分野についての案件も多い。そうした分野では先例がなく、法律が追いつかないケースもありますが、EY内のアドバイザリー専門チームが当該分野に関して最新かつ深い知識を有しているので、彼らと協働して知識を共有させてもらい、時には一緒に悩みながら、“型にはまらない調査・分析、思考”を元に法的アドバイスを行っています。私自身は、そこに大きなやりがいがあると感じています」(西尾弁護士)

竹原弁護士は東京国税局で、国際調査審理官も務めた人物。

「前職では、多くの国際事案・大型事案に携わりました。その経験を生かしつつ、税務を自身の得意分野にしていきたいということを、参画当初からパートナーに伝えてきました。実際、EY内のタックスチームとは独立性を保ちながら互いに協力する機会が多く、国税局時代とは逆の立場から、彼らの考え方を学び、知識の共有を行わせてもらっています。タックスチームをはじめ、ほかのプロフェッショナルチームとの“壁”がなく、気軽に声をかけ合える、非常に良い関係性の中で仕事ができる。なおかつ自分自身のやりたい分野にまい進できていることに喜びを感じます」(竹原弁護士)

EY弁護士法人
EY Japanのメンバーファームが共有するエントランス

ブランディングをさらに強化する

同ファームでは、どのように仕事を進めているのか、木内弁護士に伺った。

「当ファームが設立されたのは2013年。歴史は浅く、組織規模もまだ小さいので、弁護士一人ひとりの顔を見ながら柔軟にマネジメントできており、どの弁護士も私を含む3名のパートナーと働く機会が得られます。パートナーはそれぞれ異なる得意分野を持っていますので、多様な経験を積むことができるでしょう。経営面からみれば、いわば“共有型”で、パートナーはクライアントもアソシエイトも囲い込まず、ノウハウを積極的に全体共有するというスタイルです。また、アソシエイトには積極的にクライアントと直接やりとりしてもらうことで、その成長を促す方針。できるところは任せ、難しい問題に直面すれば、そのつどパートナーに相談しながら仕事を進めてもらっています」

そのように多様な案件にかかわりつつも、割合が高いのはクロスボーダーのМ&A・組織再編となる。どのような能力を有する弁護士が、ここでの仕事に向くのか。

「私は、クロスボーダーにきちんと対応できる日本の弁護士は、まだまだ少ないと感じています。クロスボーダー案件処理は、単に英語力があるだけではダメです。クライアントが日本企業なら、そのニーズをくみ取り、現地の弁護士にわかる言葉で伝える。そして現地の弁護士のアウトプットを受け止め、疑問があれば解消して、日本のクライアントに伝える。簡単ではありませんが、そうしたスキルセットに自信があれば、活躍の場は広いでしょう」(木内弁護士)

クライアントのみならず、EYのメンバーファームに所属する公認会計士などと協働する場合も同様だろう。単なる通訳ではなく“アドバイザーとしての付加価値を提供する力”が、必要とされる。木内弁護士は、同ファームを今後どのように成長させていきたいと考えているのか。

「私たちは、頭数ありきの事務所は目指しません。独自の強み・特色を前面に打ち出し、確固たるブランドを確立していきたい。そのために、EYの持つグローバルネットワーク、国際案件やトランザクション法務、税務案件への強みをフル活用し、そこにブロック弁護士が説明した“新たな法務戦略”を加えながら、ブランディングを強力に推進していきます。この活動を通じて、グローバルに活躍できる弁護士の“将来像の先端”を、常に体現していきたいと思います」

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

Editor's Focus!

木内弁護士が、竹原弁護士の採用面接を行った際のエピソード。「彼は税務でやりたいという確固たる意志があった。だから、それを確実に実現させるための議論や、ビジネスプランニングを交えながらの最終面接だった」。転職希望者と“実りある面接”を行えていることが印象に残る

EY弁護士法人