企業法務、金融法務、国際法務などの豊富な実績で知られる西村あさひ法律事務所は、現在、346名の弁護士を抱えている。もちろんその規模は国内最大。2004年から2007年にかけての統合(西村総合法律事務所、ときわ総合法律事務所、あさひ法律事務所の国際部門)に合わせて事務所を拡張したが、その際、4つのコンセプトを掲げたと、パートナー弁護士の山口勝之氏は語る。
「コンセプトは『伝統』『信頼性』『国際性』『革新性』の4点です。ご存じのとおり、法律事務所とは社会正義や公平な社会の実現のために存在するものですから、まず第一に信頼の確保が不可欠です。また、信頼の継続が伝統を生み出していきます。しかしその一方で、敷居の高さや保守的な側面が生じることもある。いうまでもなく、この業界は劇的な変化に晒されており、革新や国際性を無視することもできない。こうした私たちの想いを、事務所の『つくり』の中で表現したいと考えたのです」
内装デザインを手掛けたのは三井不動産のマンションシリーズなどで知られる光井純氏。同氏のプランは、機能性とデザイン性を高いレベルで融合させたが、山口氏によれば、そこに加わる「徹底した快適性」こそが最大の魅力だという。
「一つは仕事をするうえでの快適性。壁面収納を多用して作業の効率を向上させました。ただし、それだけでは足りなかった。もう一つが作業を離れたときの快適性です。仕事が一段落したときに、最高の息抜きができることが何より重要だったのです」
デザインの白眉は、クライアントを迎える会議室だろう。ダークブラウンを基調として重厚さを醸し出した「NewYork」と呼ばれる会議室や、壁面に格子を用いて和のテイストを演出した「Tokyo」と呼ばれる会議室(写真上)などがある。例えば外国からのクライアントを、この「Tokyo」で迎える場合もあるそうだ。使用シーンやクライアントに合わせて使い分けるなど、もてなしの気持ちをこめた応対も実現できている。