Vol.1
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18F・エントランス。写真右/原壽氏(事務所代表・弁護士)、写真左/玉井裕子氏(弁護士)。

18F・エントランス。写真右/原壽氏(事務所代表・弁護士)、写真左/玉井裕子氏(弁護士)。

STYLE OF WORK

#2

長島・大野・常松法律事務所

情報通信インフラや働く環境としての機能性を追求。 弁護士やスタッフ同士の交流を円滑にした

国内初の弁護士100人態勢を実現した四大法律事務所の一角

長島・大野・常松法律事務所
18F・会議室ごとに異なるオリジナルのイラストを配したルームプレート。

長島・大野・常松法律事務所は、2000 年の合併によって国内初の弁護士100 人態勢を実現した、四大法律事務所の一角だ。統合の陣頭指揮は、事務所代表の原壽氏が執った。

「四大事務所がそれぞれスケールアップしたことで、業界のマーケットは様変わりした。60年代半ばから海外企業との折衝で弁護士を活用する企業はあったが、近年は国内ビジネスでも法律事務所が介在するケースが急増。弁護士数だけでなく、あらゆる分野での専門化が迫られた。そもそも顧客ニーズのないところにビジネスは生じない。要望に対応し続けるうち、結果的に今の規模になったというのが正しい」(原氏)

つまり自発的なマーケティング戦略だけが大型化の理由ではないということだ。同事務所が紀尾井町のビルに移転したのは93年。拠点の選定にも「意図」はあった。情報通信インフラが敷きやすく、フロアを自在的かつ機能的に区切ることができるスペースを所員のために提供することが、拠点選定の優先項目だった。

  • 長島・大野・常松法律事務所
    11F・図書室。休憩時には寛いで新聞・雑誌なども読めるようソファが配されている。
  • 長島・大野・常松法律事務所
    13F・模擬法廷。裁判での証人尋問の予行演習等に使用される。

「最近のオフィスビルはワンフロアが広すぎる。それぞれの弁護士に独立スペースを確保しながら、周囲との連携も密に取らねばならない法律事務所では、移動距離が長くなることで情報伝達速度が落ちることは、何かと問題が多い」(原氏)

現在のオフィスの総面積は1万2900 ㎡、ビルの10フロア強を使用する。執務室フロアには秘書が詰め、それを弁護士の執務室がぐるりと囲む。広いフロアを弁護士とスタッフが緊密に行き来できるよう機能的に区切った。総勢600 人近くの所員が属する、このオフィスの「働く環境」は、どう整備されてきたのだろうか。

長島・大野・常松法律事務所
17F・執務室フロア。明るさと機能性を重視し、弁護士・スタッフが働きやすいよう工夫されている。
長島・大野・常松法律事務所
18F・受付付近。会議室外に「電話室」も設けられ、落ち着いて会議や打ち合わせができるよう配慮されている。

「弁護士のすぐ近くにセクレタリーや専門職のスペースを配置し、声をかけたら即応できるレイアウトであることはもちろん、情報通信システムへの万全な対応もオフィス作りでは重要な要素。システム構築のおかげで、弁護士は世界中どこからでもPC さえあれば、自分のオフィスと同じ情報環境を再現できる。弁護士とスタッフが協力しやすくなっただけでなく、依頼者のニーズに素早く対応できるようになった」(原氏)

華美なオフィスは必要ない。しかし、あらゆる角度から見た機能性の保持、あるいは少し息がつけるスペース(図書室参照)の確保などは、働く所員のモチベーションをも高める重要な要素となる。