中国をはじめとするアジア諸国の国際的な案件やスポーツ仲裁などの希少性分野にも精通

曾我・瓜生・糸賀法律事務所は、1980年代の、前身となる事務所時代から中国、ベトナムをはじめとするアジア諸国およびロシアなどへの日本企業の投資案件を専門的に手がけ、その分野においてその名を広く知られている事務所だ。もっとも、国内案件も総合的に扱っており、いかなる案件にも対応できる体制を整えている。取扱案件別では、国内案件が全体の6割を占める。
こうした同事務所ならではの特徴について代表パートナーの一人である瓜生健太郎弁護士は次のように語る。「国内、海外と単純に分けきれない依頼が増えています。たとえば日本法と中国法が共に問題となるようなケースの場合、日本法に強い弁護士と中国法に強い弁護士がチームを組んで解決に当たります。日本企業から中国法と日本法の相違点についてアドバイスを求められるような場合も、中国の現地事務所を通じ常に情報のアップデートを図っているので、ほかでは対応できないソリューションを提供することが可能です」
同事務所には中国語をビジネスレベルで操れる弁護士が10名以上おり、渉外案件の中核的存在であるパートナーの粟津卓郎弁護士は中国法および中国語に加え、ベトナム法とベトナム語にも精通しているほか、カンボジアやインドネシアなどほかのアジア諸国への投資案件を広く手がけており、またWTO協定などの通商法案件も専門としている。このほか、アンチドーピングやスポーツ仲裁など希少性分野を得意とする弁護士が多く所属することが大きな特徴だ。

さらに弁護士と会計士、税理士がプラットフォームを共有し、ワンストップで企業のニーズに応える利便性を追求していることも特徴の一つである。「異なる専門性を持つ者が切磋琢磨(せっさたくま)しながら案件に当たることで双方の能力が高まります」と瓜生弁護士。粟津弁護士も「アジア地域で新しい投資活動をしようとする企業をサポートする場合、当事務所にはアジア各国の会計や税務に詳しい会計士や税理士がいます。彼らと案件を共にすることで、私たち弁護士も知識およびノウハウを深め、共有することができます」と語る。
「近年は企業の経営企画や海外戦略の方と直接話す機会が増えたことで、弁護士にも法的サポートにとどまらず、スキームや将来展開も含めてビジネス自体を理解し、共に思考していくことが求められています」と瓜生弁護士は言う。こうしたニーズに対応すべく、企業が抱える法律以外の課題もワンストップで解決できるよう同事務所ではビジネス支援のコンサルティング会社を設立。その子会社をベトナムに置き、さらなるアジア地域での拡大も視野に入れている。こうした今後の展望について瓜生弁護士は「アジア各国の法制度に通じ、国際的な投資と税務の組み合わせなど難しい分野も研究し、サポートができる法律事務所でありたいと考えています。それは単純に弁護士の数を増やせばできることではなく、能力のある人材を採用し、育成していく地道な努力を今後も続けていかなければならないと思っています」と語ってくれた。
-
「弁護士には広く浅く経験し、問題の所在に気付く能力と、気付いた論点を掘り下げて専門性を発揮できる分野が二つ、三つあることが大事」と瓜生弁護士。個々の弁護士の主体性や意向を尊重するので、各弁護士が自己研さんしながら専門性を追究している -
中国の現地事務所からテレビ会議システムを通じて法律や情勢などの情報を得て効率的な対応が可能なのが強み。また、重要な法例が出た場合は、勉強会などで情報共有を図る。北京、上海事務所には日本の弁護士が常に在籍し、提携律師事務所の中国律師と共に東京事務所をサポートしている
-
国内案件を担当する弁護士のグループでは、パートナーとアソシエイトが同部屋になり、先輩の仕事ぶりを間近で見ながら仕事を覚えていく。「顧問の先生方に勉強会を主催していただくなど若手の育成には注力しています」と瓜生弁護士は育成方針について話す -
若い組織だけあって所内は自由闊達(かったつ)な雰囲気で、活気にあふれている。また日本語だけでなく、中国語、ベトナム語、英語などが飛び交い、中国籍のスタッフも活躍している。勢いに乗っているアジアの雰囲気がそのまま所内でも感じられる