企業のあらゆるニーズに応える専門性を備えた弁護士集団

桃尾・松尾・難波法律事務所は、現在34名の弁護士を有する。大規模ではないが、商取引、会社法、M&Aや訴訟など、幅広いニーズに応える高い専門性を持った弁護士が結集している。
ネームパートナーの一人、難波修一弁護士は「社会、経済状況の影響を受け、依頼案件は変化します。リーマンショック以前はM&Aの割合が多く、それ以降は倒産や訴訟案件が増えているように、ニーズに応じて割合も違ってきます。そうした変化に対応できるよう各弁護士が得意分野を深め、事務所全体としてあらゆる依頼に応えられる人材をそろえた組織体制にしています。自分たちでは対応できない内容だったり、コンフリクトがあり受任できない案件だからと、他の事務所から依頼を受けるケースも多いですね」と語る。
同事務所が急激な規模拡大をしないのはどのような方針に基づくのだろうか。「依頼者のニーズに十分対応し得る規模でありながら、一人一人が組織に埋もれず仕事ができるバランスを探っています」と向宣明弁護士は言う。

兼松由理子弁護士も「弁護士は、自分一人で依頼者に対して責任を取れる仕事をすることが基本です。組織に属しているとその意識が薄れがちですが、プロフェッショナルとして、責任をもってアドバイスができる気概を持つ弁護士の集合体でありたいのです」と語る。
若手弁護士の育成に関しても、中規模事務所ならではの良さが生かされ、アソシエイトはすべてのパートナーと、多様な分野の仕事が経験できる。
「互いの顔が見える規模であれば、パートナーへの相談もしやすく、議論も盛んに行える。学びたいという意欲をサポートできます」と向弁護士は語る。
内藤順也弁護士も、「なぜ弁護士を目指したのか、その目的がかなえられるような自己実現ができる環境を組織として整えていくことが大切であり、その点でも現在の規模は適当だと感じています」と言う。

同事務所では、生え抜きのパートナーが多いことも特徴の一つだ。採用の段階から、将来パートナーとして活躍してもらうことを前提とし、「早い段階から、依頼者とコミュニケーションを取ってもらうようにしています。本人の意欲と責任感があれば成長できる機会は多いと思います」と難波弁護士が語るように、自立性を重視した育成方針だ。
また、長期的な視点に立って弁護士を育成。その一環として海外留学を奨励する。多くの弁護士が一年間海外のロースクールで学び二年目は海外のローファームで実務を経験している。
「留学はすぐに効果が出ないので意味がないという風潮を感じますが、長い目で見ると留学経験は貴重な財産になります。海外に関係する案件も増えていますので、語学を上達させることはもちろん必要です。しかしそれ以上に、現地の空気を吸って、法制度や裁判に関する異文化の考え方に触れ、理解することは留学することでしか得られない経験だと思うからです」と難波弁護士は海外留学の目的と意義を語る。
このように、将来を見据えてじっくり育成する風土が、同事務所の精鋭による組織作りの秘策だろう。
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同事務所は、麹町駅近くの新宿通りに面したオフィスビルに居を構える。所内は木目調のインテリアで統一され、落ち着いた雰囲気が来訪者に居心地のよさを感じさせる空間となっている -
「依頼者のために仕事をするのが、弁護士の仕事の特徴だと思います。ですから、依頼者のために必死に仕事ができるマインドを持っている弁護士を育て、共に働きたいと思います」と、司法研修所の民事弁護教官も務める内藤弁護士(写真左)は語る -
同事務所では、依頼案件に応じてパートナーとアソシエイトが連携して業務に対応する。各アソシエイトの業務状況を把握できるよう、毎週、アソシエイトは仕事の予定表を提出。時間の空き具合や、興味のある分野などが配慮される。また、アソシエイトから希望を申し出ることも可能