また両弁護士は7年前から「LGBT支援法律家ネットワーク」を組織。その現況を、山下弁護士に聞いた。
「全国の弁護士・行政書士・司法書士・税理士など約60名が参加するネットワークで、法律勉強会や集会を積極的に行っています。LGBTの問題は多岐にわたるので論点も様々あり、勉強会は大変活性化しています。『どのような背景の人もリーガル・アクセスが容易にできること』を目的に、LGBTの問題に取り組む法律家を増やそうと“種まき”をしています」
昨今は基本的人権を脅かす「反LGBT法―同性婚禁止法案」の採択により、ナイジェリアなどからの難民が日本にも来ており、そうした問題への対応も検討課題。国内外の情勢を視野に入れての勉強会となっている。とはいえ、今もLGBTに開かれた法律相談窓口は少ない。ゆえに、両弁護士間での利益相反も生じ得る。永野弁護士と山下弁護士は言う。
「私たちがそれぞれ所属する団体で受けた相談と事務所で受けた相談が、相対する当事者だったというケースもあり、気を遣います。ただ、私たちが断らざるを得なくても、先のネットワークのおかげで別の弁護士に委ねることができています。日本は法整備について遅れているのが現状ですが、法律がないなかでどうやってその人の権利を守っていくのか――まさにそこが私たち法律家の活動領域。法律家が支え、支え合うことの大事さを説きながら、LGBTの人々も当たり前に法律相談ができる社会を築くこと。その担い手でありたいと願います」