Vol.69
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左から、北山朋子氏(事務スタッフ)、樋口一磨弁護士(56期)、畔山亨弁護士(67期)、加藤央恵氏(事務スタッフ)、山下祥子弁護士(64期)

左から、北山朋子氏(事務スタッフ)、樋口一磨弁護士(56期)、畔山亨弁護士(67期)、加藤央恵氏(事務スタッフ)、山下祥子弁護士(64期)

STYLE OF WORK

#126

弁護士法人 樋口国際法律事務所

中小企業の海外支援や国際相続など、弁護士業務の“ボーダーレス化”を推進

自ら切り拓き、育む、ユニークなキャリア

樋口一磨弁護士が代表を務める弁護士法人樋口国際法律事務所は、企業法務全般のほか、海外展開支援、国際取引などの国際案件を得意とする。近年は国際相続案件への関与も増加。少数精鋭ながら「中小企業にフォーカスした海外ビジネス支援」という独自性を打ち出し、顧問先や業務範囲を広げている。樋口弁護士はどんな人物で、なぜ事務所は着実に成長しているのかひもといてみよう。

まず注目したいのは、慶應義塾大学法学部卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修了という学歴だ。

「大学院の専門は、言語と社会の接点の研究です。法律は社会規範を言語化したもの。その関係性を深掘りしたかった」と、樋口弁護士。一方で司法試験勉強を通じ、法律の実務的な面白さにも開眼。大学院在学中に司法試験に合格し、弁護士となった。〝国際〞という視点の萌芽はいつだったのか。

「ドメスティックな環境に育ちましたが、もともと語学が好きで、高校生の頃からTОEICを受験。どんな職業に就いても若いうちに海外へ出ようと思っていました。また、学生時代の仲間の多くは現在、国際的な企業に勤務していたり、通訳、研究者などとして活躍していますが、彼らとの出会いも大きかったです」

今でもその仲間たちと接する機会は多い。分野は違えど、彼らとの対話は刺激となるのだという。

司法修習修了後、企業法務に強い法律事務所に入所する。「20代で海外に行き、働きたい」という思いをボス弁に伝えた。

「『金は出せないが応援しよう』と(笑)。その事務所で働きながら留学資金を貯め、入所2年半後、ミシガン大学ロースクールに進学。修了後はニューヨーク州の司法試験に合格し、徒手空拳の就活で、シカゴの法律事務所にご縁をいただきました」

おそらく同期の中では最速の留学。視野を広げるのは早いほうがよいと考え、30歳の誕生日を海外で迎えることが一つの目標であったと言う。

「手を伸ばせばチャンスに手が届くのなら、多少のリスクを負ってでも思い切って進んでみる。綿密すぎる計画よりも目の前の実行が大事だと思うのです」

帰国後、ボス弁の下で恩返しをし、34歳で独立を果たす。

「仕事をするなかで、大手渉外事務所や外資系事務所ではカバーしきれない国際案件のリーガルニーズがたくさんあることを感じていました。そこならば自分なりの形で世の中の役に立てるのでは、と。それならば〝自分の看板〞で独自性を出そうと考えました」

  • 弁護士法人 樋口国際法律事務所
    仕事の打ち合わせも合議もすべてオープン
  • 弁護士法人 樋口国際法律事務所
    弁護士個別の執務室は設けない。パーティションを設置せず、全員の顔が見える環境に。

顧問先2件からのスタート

弁護士法人 樋口国際法律事務所
ゴルフ、テニス、水泳、卓球、スキーと、スポーツが得意な樋口弁護士は、執務中、スタンディングデスクとバランスボードも使用。「運動不足を解消しながら集中力も高められ、一石二鳥」と、樋口弁護士

最初の顧問先は2件(現在は55社以上)。樋口弁護士はどのように事務所を成長させてきたのか。

「企業の経営者、士業仲間、留学時に出会った方、お世話になった法律事務所など、種を蒔いたあらゆる人脈からの紹介で仕事が増えていきました。〝人間関係をつなげること〞はとても大事です」

新規の依頼があった時は、可能な限り自ら出向く。

「事務所で依頼者を待つのではなく、こちらから出かけて行く。すると、その企業の雰囲気、事業の状態がよく見え、提案もしやすい。受け身でいたら知り得ない多くの情報が現場にあります。また、出向くことで先方の弁護士に対するハードルがぐっと下がるのを実感します。でもそれは、事業会社の営業職なら当たり前に行うことですよね」

樋口弁護士は「依頼者にとって身近な存在でありたい。遠慮せず相談してもらい、ビジネスを良い方向に導くお手伝いがしたい」と言う。また「自ら動けば動くほど、新たな仕事が生まれる」とも。この姿勢と行動力が、事務所の堅固な土台をつくってきたのだ。

顧客層は中小企業を中心に、一部上場企業まで様々。業種も、メーカー、商社、IT、サービス、エンタメと多様で、外資系企業もある。業務の約半数が国際取引契約、海外進出支援、インバウンド案件などの国際系だ。

「香港や英国での企業買収、アメリカでの物流拠点設立のような案件もありますが、大手事務所が手を出したがらない小ぶりなレベル感の、しかし中小企業にとっては重要な事案が大多数です。派手ではないけれど、誰かがやる必要がある案件ばかりです」

中小企業からの依頼の多くは、海外展開にあたっての英文契約書作成など予防法務的な案件だ。

「どこから手をつけるべきかわからないという場合は、問題点の洗い出しからサポート。契約案件では、要望に応じ、前面に出て交渉することもあれば、黒子に徹することもある。中小企業の場合、ガチガチの契約ではだめで、バランスを取ることが大事。そのツボを心得ていることに価値を見いだしていただき、気軽に相談できる事務所と思っていただけることが私たちの喜びです」

同事務所では、近年、国際相続の相談が増えているそうだ。

「『亡くなった夫の資産がタックスヘイブンを含む地域に散逸しており、どこから着手してよいかわからない』という類のご相談は増えています。その場合、香港、シンガポールなどの手続に協力してくれる現地弁護士が必要ですが、ここでも、これまで培ってきた〝海外ネットワーク〞がものをいいます」

海外の企業案件から個人案件まで網羅できる理由は、樋口弁護士がAIJA(国際若手法曹協会)やIBA(国際法曹協会)といった国際団体で活発に活動しているからだ。

「世界中に、顔が見える弁護士仲間がいます。地域を問わず顧客の希望を叶えるために、海外ネットワークでの情報交換や直接交流を常に怠らないようにしています」

困っている人を助けるのは弁護士の社会的責任。ボーダーレスな時代、弁護士業務もボーダーレスな対応を――これが樋口弁護士の仕事の基本スタンスなのである。

弁護士法人 樋口国際法律事務所
AIJA(国際若手法曹協会)ミュンヘン年次大会にて(2016年撮影)。AIJAは、約90カ国4000人の弁護士が加盟する団体で、樋口弁護士は日本代表を務める

活躍フィールドはもっと広げられる

持ち前の行動力と強い使命感で突き進む樋口弁護士は、弁護士の新たなロールモデルといえよう。そんな樋口弁護士に、若手弁護士へのエールをもらった。

「弁護士は資格に守られていますが、反面、無意識のうちに活動領域を制限しがちです。特別な専門職であるという観念を取り払い、〝サービス業〞と捉えれば、活躍できるフィールドは格段に広がるはず。例えば、海外展開支援という分野では、アドバイザーやコンサルタントが活躍しています。彼らは広い意味でコンペティターともいえますが、裏を返せば、彼らがかかわるフィールドはすべて弁護士が活躍できるフィールドだということ。そして、そこには紛争対応を知る弁護士にしかできないアドバイスやリスクヘッジがあります。より多くのフィールドで弁護士が関与することが当たり前になっていけば、中小企業の権利も守られ、ひいては日本の経済や技術力などを守ることにもつながるのではないでしょうか。国内外で、そうした同じ思いの弁護士仲間が増えてくれたらと願います。弁護士になったものの仕事がないという人がいるとしたら、それは弁護士業についての固定観念に囚われているだけではないでしょうか。様々な人たちと接し、広い視野を育めば、自ずと自分のフィールドは見つかると思います」

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事務スタッフの誕生日会での一枚。樋口弁護士は必ず手書きのカードとケーキを用意し、全員の誕生日をお祝いするようにしている

Editor's Focus!

樋口弁護士の海外志向に影響を与えた叔母からもらった、イギリス土産のボード。そこには「Much Difficulties Bring a Bright Future(たくさんの困難があるほど明るい未来がもたらされる)」との文字が刻まれている

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