事務所探訪:2019年10月号 Vol.70

事務所探訪

アトーニーズマガジン 事務所探訪

多種多様な「働く場」としての法律事務所を、読者に代わり、編集部が取材します。事務所の理念・方針・特徴・こだわりや工夫が凝らされた事務所の“日常風景”を分かりやすくお伝えします。

※掲載記事の内容は取材当時のものです。

独占禁止法と消費者法に特化し、「ブティック型」の新時代を拓く

事務所探訪

池田・染谷法律事務所

独占禁止法と消費者法の可能性

 池田・染谷法律事務所の設立は、2018年10月。ネームパートナーの池田毅弁護士、染谷隆明弁護士はそれぞれ、独禁法(競争法)分野、消費者法分野で名の知られた人物だ。池田弁護士は公正取引委員会への勤務経験を有し、Who’sWho Legalなど各評価機関の評価で、日本を代表する独禁法弁護士の一人に選出されている。染谷弁護士は、消費者庁で景品表示法に課徴金制度を導入する改正法などの立案を担当し、IT系企業数社でテクノロジービジネスの開発・提供・運用に携わった経験も有する。池田弁護士に、事務所設立時に抱いた期待をうかがった。「独禁法と消費者法に特化してサービスを提供する中堅・若手世代が主体の事務所が、国内には見当たりませんでした。正直に言うと、設立前は『独禁法と消費者法に特化して、本当に食っていけるのか』と感じたのも事実。しかし、独禁法と消費者法は、当事者同士が合意して決めた内容が書かれている契約書であっても、それをひっくり返すだけの力を持つ数少ない法律です。私自身も、〝最後の砦〞として問題解決の要となった多くの事案を経験しましたし、デジタルプラットフォームのような先端領域でも最初に問題となる法領域ですので、ニーズが増えることはあっても減りはしないだろうと思いました。そうしたポテンシャルの高いフィールドで染谷弁護士とタッグを組めば、これまでにないシナジーが創出できると考えて事務所を立ち上げました」
 染谷弁護士は次のように付け加える。「消費者法でいえば、消費者側についた弁護士が企業に対して訴訟を提起することはあっても、ビジネスサイドに立って〝事前・未然に消費者の利益を守る〞という観点で、消費者法を広く捉えて扱う専門の法律事務所は、これまでほとんどなかったと思います。池田という強力なパートナーとともに、〝その道を拓いていくこと〞に大きな可能性と意義を感じました」

グレーゾーンに挑みルールをつくる醍醐味

「私たちが考える、事務所の存在意義、運営の方向性は時代にマッチしていたようです」と両弁護士。事務所設立1年足らずで弁護士数は2名から5名に急増した。
 染谷弁護士は言う。「私の場合、モバイルペイメント関連のキャンペーンに関するアドバイザリー業務がここ数年増え続けています。景品表示法的な視点で見ると、景品規制上問題と思われる事案が散見されます。当該事業者が金融業法のライセンスを何で取っているか――資金移動業か、前払式支払手段か、あるいは電子決済等代行業者か――などによって、裏側の仕組みは異なります。そこで、各々の背景を踏まえた適切なキャンペーンなどのアドバイスをするわけです」
 また染谷弁護士は、多くのゲームメーカーの顧問も務める。近年携わっていたのが「eスポーツにおける高額賞金は景品類にあたるか」の問題だ。「結論からいえば、『高額賞金は仕事の報酬であり景品類に該当しない』という回答を消費者庁から得ました。高額賞金を出せない原因は何か、法律か政令か内閣府令か有権解釈の何かを変えねばならないのか、もしくは解釈を変えずに整合的に説明できないかなどをゲームメーカーと分析し、消費者庁や経産省、業界団体で話をまとめた結果です。『どんなルールをつくりeスポーツという市場の法的安定性を保つか』に関するロビイング活動を積極的に行いました」
 さらに池田弁護士が語る。「私の場合、メーカーの流通施策に関するアドバイスが増えています。例えば、販売店がインターネット上で商品を販売する際に値崩れが起きる。メーカーとしては商品価値維持のために価格を下げてほしくない、しかしそれは独禁法上認められないのでどうすべきか――といったような事案です。欧州にはそうした場合の判例があり、それを基に日本ではどう解釈できるかを検討します。『独禁法にあたるかどうかのギリギリの相談』『グレーゾーンにかかる相談』を多く受けています」
 なお同事務所では、3つのキーワードを掲げている。「ソリューション・オリエンテッド」、「ルールメイキング思考」、「スタートアップ志向」だ。先に同事務所の主要な業務として挙げてもらった例は、まさにこの3つを体現したものだ。

楽しいと感じる分野を突き詰めていく

 染谷弁護士は「池田は学者肌で、私が景品表示法の相談をすると『理屈的にはこうなるはず』と、嬉しそうにアドバイスをしてくれます」と笑う。池田弁護士も「困難な時も前向きに物事を進め、行動力・実行力が高い」と、染谷弁護士を評する。そんな両弁護士に加えて、検事、消費者庁、FinTech企業法務部経験者など、多様な経歴、個性の弁護士が3名所属している。〝事務所の看板を共有するのみで、それぞれの弁護士は独立独歩〞という共同事務所も多い中、同事務所ではチームの一体性を重視し、互いに妬まず、チームの成功を喜べるようにと、報酬配分を含めて事務所の仕組みを急ピッチで整備しているところだ。「独禁法と消費者法に特化した弁護士5名が全員、多種多様なクライアント、様々なパターンの案件に関与してきたエキスパートです。専門性を求める中堅規模や小規模の他事務所から案件をご紹介いただき、協働する機会も増えています」と、池田弁護士。
 今後、弁護士10名体制にするのが一つの目標だ。「やみくもに規模を大きくするつもりはありません。私たちが面白いと思う経歴、経験を持つ弁護士に出会いたいですね」と染谷弁護士。
 そのうえで、同事務所は独禁法と消費者法の分野でナンバーワン・オンリーワンの事務所になることを目指しているという。この分野への特化はいわばブルーオーシャンを創造する試みだ。染谷弁護士は言う。「消費者法を例にとると、消費者契約法、特定商取引法、景品表示法など消費者庁所管の法律のみを思い浮かべるかもしれません。しかし消費者法は『消費者が絡むものはおよそ消費者法である』というのが私の考えです。例えば特定商取引法は経済産業省との共管、割賦販売法は経済産業省所管、資金決済法は金融庁所管、住宅宿泊事業法(民泊新法)は国土交通省・厚生労働省・観光庁が所管しています。消費者庁所管法令という視点ではなく、BtoCビジネスの視点で法制度を見ると、消費者関連法の対象はとても広いものであることに気づきます。そこに思い至るかどうか、気づけるかどうかが、市場でブルーオーシャンを創造できるかどうかの分水嶺でしょう」
 そして、どうしたら〝のめり込める分野〞と出会い、エキスパートになっていけるのか、池田弁護士にうかがった。「私は自分自身の〝弁護士としての厚み〞を出したくて、公取委で任期付き公務員になりました。そこで主として扱ったのが独禁法です。独禁法は『競争し合い、切磋琢磨して、技術力を上げ、新しいものを生み出し、日本の競争力を高めていこう』という、この国にとって非常に大事な法律。そこにかかわっていると、最先端の技術を有する企業で最先端のリーガルイシューに携われる。私はいわば、独禁法マニア(笑)。ただ、『やっていて楽しいと思うことを突き詰めてきた』からこそ、今があると思っています」

■プロフィール

  • 池田・染谷法律事務所
  • 所在地/〒102-0093
  • 東京都千代田区平河町2-7-4
  • 砂防会館別館B棟5階
  • TEL/050-1745-4000
  • URL/https://www.ikedasomeya.com/
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