立山弁護士は「リアルな営業を苦手とする弁護士が多い」と言う。
「例えば、私は朝活や読書会などが好きでよく参加しています。自らの職業を明かすことはないものの、話の流れで弁護士だと知られてしまうことがある。すると『相談したい』という方が現れ、仕事につながることも。営業活動だと思って参加したことはないけれど、結果的に、営業になったということがよくあります。もしも“営業目的”でそうした場を探すなら、いくらでも場所はあるということです。弁護士の営業には、ポータルサイト、自社Webサイト、相談会、チラシ、人とのリアルな接触などがあると思いますが、最初の4つはお金を払えば誰かがやってくれること。しかし最後の一つは、弁護士自ら動かなければなりません。私は、これをやるかやらないかで、仕事が増えるか否か決まるように思います」
離婚・男女問題の法的サポートは、人の人生に深くかかわる仕事だ。必要な素養も教えてくれた。
「“いかに依頼者とコミュニケーションがとれるか”が一点。もう一点は“あくまでも自分は代理人ということを忘れない”だと思います。思ったとおりに運ばないことや失敗は必ずあります。立証のために証拠集めをしていたら想定外のマイナス情報が出てきた、とか。それでも依頼者と一緒に進んでいくには、その方ときちんと対話し、その方を理解し、信頼してもらえることが大事。また離婚事件は個人の事情に深く入り込むので、ともすると当事者の心情に傾き、依頼者の主張に固執しかねない。しかし弁護士は、代理人。相手方とはケンカではなく、“いかに弁護士として説得できるか”が大事。ここで私が述べたことがすべて腑に落ちないのであれば、“離婚弁護士”になるのは難しいと思います」
事務所名の「アイゼン」とは、雪山や氷面を登る際、靴に装着する滑り止めの金具のこと。
「離婚事件において、依頼者は“不幸のどん底”で来所されるケースがほとんどです。私たちは、その苦しい山道を共に登っていかなければなりません。時に登り切れない険しい山もありますが、凍って滑る斜面でも、切り立った崖でも、依頼者がしっかり踏ん張って立っていられるよう、私たちが“アイゼン”となって支えていきます」(立山弁護士)
最後に、立山弁護士がこれからの夢を語ってくれた。
「長期的な視点では、離婚事件なら世界中のどんな国の方でも対応できる事務所にしていきたいと思います。実際、海外の離婚事件、親権争奪事件なども数件関与しています。英語、中国語、ロシア語、スペイン語……様々な言語を駆使し、世界を市場に『離婚で闘う事務所、離婚事件ならアイゼン』。これが私の夢であり、目標です!」
※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。