Vol.75
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前列左より、岡本順一弁護士(65期)・社会保険労務士、石原一樹弁護士(65期)・弁理士。前列右端、林 洋輔弁護士(71期)。後列左から5人目、裵 悠弁護士(72期)、後列右端、伴 俊英弁護士(70期)

前列左より、岡本順一弁護士(65期)・社会保険労務士、石原一樹弁護士(65期)・弁理士。前列右端、林 洋輔弁護士(71期)。後列左から5人目、裵 悠弁護士(72期)、後列右端、伴 俊英弁護士(70期)

STYLE OF WORK

#143

Seven Rich法律事務所

法律で、インターネットを活用した新たなビジネスの加速を支援する

熱き起業家たちと固いタッグを組む

ITベンチャー企業やスタートアップ企業に特化し、リーガルサービスを提供しているSeven Rich法律事務所。2017年に石原一樹弁護士が立ち上げ、時を置かずして岡本順一弁護士が参画した。現在は、弁護士5名、弁理士3名、司法書士1名、知財コンサルタント1名を含む事務局メンバーで運営している。代表の石原弁護士に、事務所理念を伺った。

「イノベーションを起こそうとしている起業家と固いタッグを組み、ベンチャーこそ活きる環境を法律面からつくり出し、より便利でより豊かな社会の到来を加速させる。これが私たちの掲げる理念です」

顧客の多くは、いわゆるスタートアップと呼ばれる“テック系”の企業で、“一人社長”というケースも。そうした企業の中には、とんでもないアイデアや技術を持つ先も少なくない。いわば“ビジネスの芽”ともいうべき初期段階から、互いにマーケットインの発想を共有し、事業にかかわる楽しみもあるようだ。近年、増加傾向にある案件について伺った。

「大きく分けて2つ。一つは資金調達など事業計画・資本政策支援です。新株予約権の設計など、複雑な内容のご相談が増えています。もう一つは、イグジット戦略に関するものです。IPOへ向けたアドバイスはもちろん、M&Aやバイアウトなどでは、より事業シナジーが得られる先と組みたい、といった依頼が増えつつありますね」

世界のビジネスは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の早期実現に向けて突き進んでいる。同事務所の顧客も、産業構造をがらりと変える可能性を有する起業家たちということだ。

Seven Rich法律事務所
平均年齢は30代前半。服装はカジュアルが基本

規制を壊しルールをつくる

設立から3年で、様々な案件に関与してきた同事務所だが、“ならでは”の案件について、石原弁護士が次のように語ってくれた。

「シェアリングエコノミー協会という団体をベースに、“シェアエコ”のガイドラインを国際標準化(ISO)とするためのプロジェクトが立ち上がり、協会の事務局メンバーとして、初期立案の段階から私自身が関与しました」

“シェアエコ”のISO企画開発については、同協会が、総務省など関係省庁および関係各国へ協力を呼びかけ、日本主導でアメリカ、中国、カナダなど多数の国を巻き込み、委員会も設置されている。

「ルールがない分野で、業界団体を立ち上げ、新たなルールづくりを行う。弁護士の仕事は“既存のルールをもとにして、いかに解釈・適用させるか”がほとんどですから、ルールをつくりだす側になれるのは、やはり面白いですね。そもそもスタートアップ企業は、ルールがまだない土俵で勝負しているプレイヤーがとても多い。ゆえに、個社で戦いを挑むよりは、業界団体をつくって仲間を募り、規制を壊し、新たなルールをつくるほうが得策。そうして足並みをそろえてから自由競争をしていこうという考え方。これと同じような過程に関与する例が、相当数あります」と、石原弁護士。岡本弁護士も、次のように語る。

「クライアントは基本的に、新しい事業をしようとしている経営者・起業家なので、その方の夢や目的を形にしていくことが、やりがいです。また、クライアントのなかには起業家として一定の成功を収めた方も多くいらっしゃいます。そうした方々は、『世の中に変革をもたらす。世の中全体を豊かに変える』という、もう一段高い信念を持って、資金を投じ、新たな目標に挑むものです。その“信念”を、日本の法規制のなかでいかにして実現するかと、一緒に考えられるのも醍醐味です」

先例のないビジネスモデル、法改正、既存の業界団体との交渉事など、苦心することもあるが、「起業家に伴走する面白みのほうが何倍も勝る。しんどさやストレス感覚は、マヒしてしまう」と、岡本弁護士は笑う。

同事務所では、「スタートアッププラン/エンタープライズプラン/プロフェッショナルプラン」とサービスをメニュー化し、設立間もない企業やリソースが潤沢でない企業も相談しやすい環境を整える。何よりも顧客から評価されているのは、メンバーの“スピード感やレスポンスの速さ”である。

「スタートアップ企業が大企業に唯一勝てる武器が、スピードです。“1分1秒でも早くやることの価値”を理解していなければ、この事務所での仕事は務まりません。ですから私たちは、経営者からの相談・質問に対して、結論はその場で出します。百点満点でなくてもいい、方法論は後からでいいと思っています。それはスタートアップ企業を顧客としている、当事務所ならではの、仕事の進め方かもしれません」(石原弁護士)

5年後、10年後、どんな自分でいたいか

石原弁護士は、ヤフー株式会社の法務部出身だ。エンジニアなど多くの同僚が独立・起業を果たすなか、自身も“いつかは独立・起業”という思いを持っていた。

「しかし、プロダクトそのものをつくるエンジニアではない自分は、どんなバリューの発揮の仕方があるのだろうと考えました。それで、やはり外部の法律事務所の視点も経験しておきたいと思い立ち、転職したのです。入所した外資系法律事務所は、ちょうどグローバルのローファームからマネジメントバイアウトのようなかたちで独立するタイミングでした。入所してすぐに事務所を一からつくるという経験をさせていただけたのは、非常にありがたかったです」

今後、どのように事務所を発展させていこうと考えているのか、石原弁護士に伺った。

「直截に言えば、クライアントのニーズに常に応え続けていきたいということです。そのニーズは時代と共に緩やかに変化していきながら、何年かおきに大きなトレンドが起きていると考えます。ゆえに、『次はこのトレンドがくるだろうから、こんなサービスをつくっておこう』『事務所の体制はこのように整えておこう』など、常に数歩先を見ながら、手を打っていきたい。やみくもに規模の拡大を追求するのではなく、事務所の理念などに共感してくれる仲間と一緒に、成長していける場にしたいという思いを強く持っています」

右ページのメンバー写真のとおり、仕事中の服装は自由、「百点でなくてもすぐに答えを出す」など、仕事の仕方もほかの法律事務所とは趣を異にする同事務所。事務所理念への共感は当然としても、どのようなタイプの弁護士であれば、この事務所にフィットするのか。石原弁護士は言う。

「私たちのクライアントが属する世界、ITを基軸とする事業環境は常に進化しています。ですから、そこに関与する弁護士は、知的好奇心旺盛なことが大前提。加えて、自分は5年後、10年後どうなっていたいかを言語化できる人が望ましい。あるいは、『どうなりたいか』と聞かれて、その瞬間は答えられなくても、感化されて、自問自答できる人ならOKです」

最後に、両弁護士に若手弁護士、弁護士を目指す人々へのメッセージをいただいた。

「弁護士というのは免許・資格の一種に過ぎず、なったからといって“偉くなった”わけではありません。ただし、その資格のおかげで、たとえ社会人経験がゼロでも、経営者はじめ、周りの方々に話を聞いてもらえる。例えば、ある会社の新入社員が顧客候補の経営者と商談をするために、多大な努力と多くの時間をかけたとしても、会えないことのほうが多い。つまり弁護士は、世の中から“ゲタを履かせてもらっている”わけです。それがいかにありがたいことかを噛みしめながら、いい意味で資格を有効活用し、自分の可能性を広げていく。そんな考えをもって活躍する弁護士が増えていくことを願っています」(岡本弁護士)

「“弁護士”という枠を超えて、どんな“自分”になりたいかというイメージを明確に持ち、かつ夢や目標の未来図が大きければ大きいほどいいと思っています。今の私の目標は、『スタートアップに特化した法律事務所でも、これだけ稼げる。これだけ面白い仕事ができる』という事実をしっかりと証明すること。そして、このマーケットが持続・拡大していくための環境整備に貢献し、多くの後輩弁護士の皆さんが憧れる分野として育てていきたい。これが今の夢です。私の夢に共感してくれ、熱く語り合える仲間が増えていけば、弁護士の仕事はもっともっと楽しくなるはずだと考えています」(石原弁護士)

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

Editor's Focus!

毎年、事務所のスローガンを作成し、所員は常に行動・判断の指針とする(グッズにして身近に置く)。2020年は「BEYOND THE LINE」。なお19年は、「Perform Over whelming VALUE!!」、18年は「Innovated with law」。「毎年末、一生懸命考えています」と石原弁護士

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