Vol.76-77
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前列左より、宮﨑はるか弁護士(61期)、黒栁武史弁護士(60期)、牧野誠司弁護士(59期)、武田雄司弁護士(59期)、立野里佳弁護士(73期)。中列左より、斉藤聡子弁護士(61期)、赤松和佳弁護士(72期)、原 萌野弁護士(68期)、田代梨沙子弁護士(72期)、仲野恭子弁護士(73期)、林村 涼弁護士(71期)、玄 政和弁護士(68期)、相良 遼弁護士(70期)、松本政子弁護士(59期)、森下 裕弁護士(72期)。後列左より、壽 彩子弁護士(64期)、野田俊之弁護士(68期)、国府拓矢弁護士(68期)、高橋 健弁護士(62期)、荻野伸一弁護士(59期)、土井 將弁護士(71期)、松井立平弁護士(70期)、横山和之弁護士(65期)、狼谷拓迪弁護士(73期)、永禮惇也弁護士(68期)

前列左より、宮﨑はるか弁護士(61期)、黒栁武史弁護士(60期)、牧野誠司弁護士(59期)、武田雄司弁護士(59期)、立野里佳弁護士(73期)。中列左より、斉藤聡子弁護士(61期)、赤松和佳弁護士(72期)、原 萌野弁護士(68期)、田代梨沙子弁護士(72期)、仲野恭子弁護士(73期)、林村 涼弁護士(71期)、玄 政和弁護士(68期)、相良 遼弁護士(70期)、松本政子弁護士(59期)、森下 裕弁護士(72期)。後列左より、壽 彩子弁護士(64期)、野田俊之弁護士(68期)、国府拓矢弁護士(68期)、高橋 健弁護士(62期)、荻野伸一弁護士(59期)、土井 將弁護士(71期)、松井立平弁護士(70期)、横山和之弁護士(65期)、狼谷拓迪弁護士(73期)、永禮惇也弁護士(68期)

STYLE OF WORK

#146

弁護士法人 伏見総合法律事務所

常に法の理念や道徳に適う選択を行い、最良のサービスを提供する

依頼者はもちろん弁護士自身も幸せに

弁護士法人 伏見総合法律事務所は、59期以降の弁護士で構成された京都の法律事務所だ。企業法務をはじめとして、顧問業務、一般民事・家事、国際法務、スポーツ法務など多様な分野を取り扱っている。牧野誠司弁護士が一人で始めた事務所は、設立から11年で京都最大の弁護士数を誇る事務所に成長した。牧野弁護士に、設立時の思いなどを聞いた。

「もともと大きな組織をつくりたいという願望を抱いていたわけではなく、ただ『自由に、好きな相手と仕事がしたい』と思っていました。事務所の運営方法や後進の教育について『こうしたら誰もが働きやすいのでは?』という私なりの考えもあり、それを実現してみたいということもあったかもしれません。その後、幼馴染みが弁護士になったので声をかけたり、修習同期で気の合う仲間が事務所に参画してくれたりすることで、少しずつ大きな組織となり、自然と仕事が増えて現在の規模になりました」

実際、武田雄司弁護士、荻野伸一弁護士、松本政子弁護士も、同級生や修習同期の仲だ。

「働く仲間もそうですが、“好きな相手”は依頼者という意味もあります。私たち弁護士は常に、各自が最高かつ最良のサービスをお客さまに提供するという自負を持って仕事をしています。その自負心や心意気を理解してくださる依頼者と、長く深い信頼関係を築いていきたい。基本理念は『それぞれの弁護士が好きな人・企業に、最良の仕事の提供を目指す』――そのために弁護士は身を削ってでも尽力しますが、“好きな相手”のためでなければ不幸せ。自分も仲間も仕事を通じて幸せでいたい。そんな思いを理念としています」

確かに、「顧客を幸せに」を理念とする事務所はあっても、「弁護士自身も幸せに」を掲げる事務所はあまりない。この理念が、そのカルチャーを端的に示している。

弁護士法人 伏見総合法律事務所
京都事務所は、JR伏見桃山駅と近鉄桃山御陵駅前から延びる、伏見大手筋商店街を抜けたすぐそばの風呂屋町に立地。京都伏見簡易裁判所にも近い。2020年10月に竣工したばかりの自社ビルはモダンな3階建て

依頼者の最大利益を常に考える

“好きな相手(依頼者)”も取り扱い分野も、幅広いのが同事務所の特徴。例えば顧問業務は、上場企業もあればプロサッカークラブ、相撲部屋もある。刑事事件の被疑者・被告人や被害者の弁護を手弁当で行うこともあれば、著名な医療研究者のプロジェクトの法務問題も検討する。そんな同事務所は、顧客にどのような価値を提供しているのか。

「企業法務を例にとると、予防法務=紛争回避ではなく、『発展的に依頼者に利益を生み出す法務』を考えて提案できないかということを心がけています。例えば一つの契約書でも、依頼者に利益が生じやすいビジネスモデルを考え、提案し、作成する。戦略法務に近いかもしれません」

また、紛争解決にまつわる具体例を説明していただいた。

「例えば契約書の解釈について、A社・B社間で紛争性を帯びてきたとします。弁護士が介入すると紛争性を高めがちなので、A社・B社で解釈の齟齬があるなら、私たちはまず依頼者であるB社に対して、B社宛の意見書を書く。B社がその意見書をA社に渡し、A社がその意見書をもってA社が自社の顧問弁護士に意見を求めたところ、『確かにこれはB社の弁護士(私たち)が言っていることが正しい』という見解を示してくれたことがありました。それにより、B社にしっかりとした利益が見込め、『紛争にせず解決できた』と喜んでくれる。“弁護士だからすぐ紛争対応”ではなく、その手前で依頼者の利益となる方法は何かないかと、絶えず考えているわけです」

とはいえ、「いざとなれば、訴訟を含めた紛争対応も得意」と、牧野弁護士。

「私たちが裁判で被告側の代理人となり、原告の訴訟提起自体を不法行為だとして、不当訴訟反訴を提起し、その反訴で勝訴したことが3回あります。その事実だけで、私たちが訴訟も得意としていることがわかっていただけるかと思います」

弁護士法人 伏見総合法律事務所
開放的だが、集中できる各自の執務スペース。弁護士数は26名(うち25名が京都所属)で京都最多(2021年5月時点)。東京都千代田区丸の内に開設した東京事務所には1名を配置予定。「まだまだ先のことですが、将来的に、最大40名弱までは増やす可能性はあるかなと思っています。数の力で社会的意義がある仕事をする、全所員が幸せになれる環境を維持するという点で40名程度の組織が適当と思っています」(牧野弁護士)

働きやすさを模索。様々な選択肢を提示

同事務所での仕事の進め方や働く環境について、宮﨑はるか弁護士と横山和之弁護士に聞いた。

「アソシエイトは、基本的に複数のパートナーと仕事をします。当事務所ではマイクロソフト社の予定表共有機能を用いており、アソシエイトが記入した作業予定をパートナーが確認し、仕事を依頼します。具体的な案件処理法としては、ファーストドラフトをアソシエイトが作成し、パートナーがチェックして外に出すかたちです」

なお宮﨑弁護士は子育て中でもあり、現在は在宅勤務を行うこともある。

「“週何時間まで勤務”という契約です。パートナーの皆さんは約束の時間を超過しないようにと配慮してくださっています。時間帯に縛られず、自分のペースで仕事ができる環境は、とてもありがたいです」(宮﨑弁護士)

「当事務所では、パートナーに“アソシエイトと仕事をする/しない”、いずれか選べるという契約のパターンを設けています。自分の仕事の仕方や売り上げ状況に応じて選択できるわけです。“仕事をする”という契約をしているパートナーは、1人のアソシエイトに集中しないよう、予定表を見ながら依頼する。アソシエイトからすると多くのパートナーから学ぶことができますし、経営側としては繁閑管理がしやすいという利点がありますね」(牧野弁護士)

キャリアの積み方にも独自の工夫があると、牧野弁護士は言う。

「以前はパートナーになる要件を、個人の能力×勤続年数で考えていました。しかしパートナーの定義自体をもっと柔軟に捉えてもいいのではないかと考え、“パートナーになるには”にも、選択肢をつくろうと決めました。売り上げの何割かを納めて自由に仕事をする従来どおりの“独立型パートナー”のほか、アソシエイトの教育や法人の案件も手伝いながら事務所経営に参加する“社員型パートナー”といった形態です。後者はアソシエイトからいきなり“個人事業主”的なパートナーになるのではなく、法人の案件を担当してベーシックサラリーを得ながら、管理職としての責務を担ってもらい、個人事件なども積極的にやる。そうしたパートナーに、私自身の顧問先を“のれん分け”的に任せていくことも考えています。各自が自分の志向や環境に応じて、働き方やキャリアの積み方を選択できるようにしていきたいと思うのです」

ユニークな取り組みを次々試みる牧野弁護士。最後に、事務所の展望について聞いた。

「一緒に働く弁護士と事務局が、仕事や働き方に満足してくれ、辞めないでいてくれることが一番大切。私にとっては仲間が減ることのほうが、依頼が減る以上にショックが大きい(笑)。ですから、継続性が重要なキーワード。上層部が利益を搾取するのではなく、各弁護士、事務局がもれなく幸せになれるシステムやキャリアプランをこれからも模索していきたい。また業務については、多様性と新規性を維持しながら、そのなかで経済的に収益性が高いと思われる案件についてはしかるべき投資(経済および人的投資)を積極的に行っていく。例えば、東京事務所の開設もその一つ。また、私たちの仕事は基本オーダーメードですが、一方で『子どものみかた』という養育費不払い請求代行サービスも始めています。そのようにある程度“ひな型化(専門特化)”できるサービスも検討して、増やしていきたい。各弁護士には、そうして広がっていくフィールドのなかから自分が得意とする分野を見いだし、弁護士としての力を伸ばしていってほしいと思います」

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

Editor's Focus!

2020年度の京都弁護士会副会長を務めた牧野弁護士。フードバンクや子ども食堂の活動支援など、プロボノ活動にも奔走する。「弁護士法第1条の使命を果たしたい。暑苦しいと思われても、事務所の仲間も巻き込む(笑)。最終的に、立法にまで関与できるような活動をしていきたいですね」(牧野弁護士)。なお2020年10月に自社ビルが完成した。

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