フラットな組織づくりの思想は、オフィスのデザインやレイアウトの細部にも表れている。
「風通しの良さや活発な議論ができる環境――というコンセプトを、言葉だけでなく、現実のオフィスづくりに落とし込んで実践したいと考え、全員で内装の意見を出し合いました」(粟澤弁護士)
その結果、弁護士・スタッフ全員が一つの大机を囲んで仕事をするというスタイルになった。
「例えば、壁際にブースをつくって弁護士それぞれの執務スペースを並べた場合、メンバー同士は背中合わせで仕事をすることになってしまう。チームとして仕事をするために、全員がお互いの顔を見ながら活発に話し合えるスタイルを追求した結果、このようなかたちになりました。席次にも決まりはなく、フリーアドレス制。必要最低限のものを除き、紙の書類を個人が保管することはなく、データ化してクラウド上で共有しています」(粟澤・山本両弁護士)
なおオフィスの内装は、木の質感を大切に、ぬくもりと居心地の良さを感じさせるものとし、床もこだわってフローリングとした。「フローリングは声をよく響かせてくれます。私たちは所内での会話を大切にしたいので、この内装が最適なのです」と、粟澤弁護士。特に、若手弁護士にはここで働くことで、“成長実感と自己実現”を得てもらいたいと願っている。
「弁護士を志す人は、世の中のために自分の力を尽くしたいという思いが強い。“事務所”とか“先輩弁護士”のために仕事をするというのでは、その感覚は得にくい。自分が“クライアント”のために仕事をしている、役に立っているという実感を、顧客と直接やりとりするなかで、また、事務所のチームメンバーに守られているという安心感のなかで体感してもらいたいと思うのです。そうすることで、人は自分の能力をフルに発揮し、のびのびと成長できる。それが何よりもクライアントのためによい結果をもたらすのです」(粟澤弁護士)
最後に、今後の展望について、粟澤・山本両弁護士に聞いた。
「組織づくりは軌道に乗り、おかげさまでクライアントも順調に増えています。今後はクライアントのためによりよい仕事を追求しながら、公益活動など各人がやってみたいと思うことに取り組める機会も増やしていきたい。各人が望む豊かさや幸せが、ここで仕事をするからこそ得られる――そんな場でありたいですし、そういう場であれば、私たちのサービスは日々成長していくと確信しています。共に成長したいと願う方々が、新たな仲間として加わってくれるとうれしいです」(両弁護士)
※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。