石嵜・山中総合法律事務所は、石嵜信憲弁護士が前身の事務所を1984年に開設。その当時から、経営者側の代理人として多くの労働事件を手掛けてきた。
開設35年の2019年に経営体制を組合組織に変更し、22年1月1日からは、石嵜弁護士の単独代表から、代表弁護士7名の共同経営に移行。
その理由と背景について、山中健児弁護士にうかがった。
「まず、数十年先を見据え、依頼者に対して常に最適なリーガルサービスを提供する持続可能な事務所にしていく、という決意を石嵜弁護士以下全所員があらためて固めました。一方、若手を中心に弁護士採用を継続的に行ってきたことから、現在の陣容は弁護士33名に拡大。構成要員が徐々に増えていくなかで、依頼者から寄せられる様々な案件に丁寧に目配りできるよう、複数の代表弁護士を置いて対応することとしました」
同事務所の得意分野は、経営者側の代理人としての労働紛争対応や労使関係に関する法律相談、労働組合との団体交渉、労務デューデリジェンスなど、人事労務問題全般。加えて、クライアントの企業法務、一般民事事件なども取り扱う。
山中弁護士に、入所当時を振り返っていただいた。
「石嵜弁護士の個人事務所に入所した初めての弁護士が、私と同期の2名でした。日常的な法律相談から、交渉案件、訴訟案件、団交案件など多くの仕事に対応していた石嵜弁護士のもと、それらの案件を通じて、OJTで鍛えていただきました」
同事務所では、そうした労働事件に加えて、経済不況下には、会社更生事件や民事再生事件など数多くの企業倒産案件にも関与している。
「主として対応したのは、雇止めや整理解雇事件、労働組合対応などの労働法分野です。大型の企業倒産事件では、様々な分野でチームが組成されます。私自身は労働法分野以外でも、別のチームで、関連子会社の破産申し立てや、店舗解約に伴う処理なども、担当しました」
近年、労働基準法の改正をはじめとして、「不合理な待遇差の禁止」などを謳う改正パートタイム・有期雇用労働法や、いわゆるパワハラ防止法、改正育児介護休業法などが施行されている。企業にとっては、高い専門性に基づく解決策を示すことができる弁護士の存在が一層不可欠な状況だ。
「例えば、長時間労働による従業員の過労死、ハラスメントなどは、企業にとって大きなレピュテーションリスクです。また、そうした問題は企業の訴訟リスクにとどまらず、経営の根幹を揺るがすトラブルにもなり得ます。私たちは、問題発生後の対応のみならず、現状把握や防止体制づくりなどの予防法務を提案できるコンサルタント的な事務所としても、お客さまに評価いただいています」