“自主自律の精神”を大切にする同事務所では、公益活動への取り組みも積極的に勧める。採澤友香弁護士に、自身の活動を含め、取り組み状況をうかがった。
「私は、障害のある人や高齢者の権利保障に関心があることから、日本弁護士連合会や第二東京弁護士会の関連する委員会で活動をしているほか、障害者差別解消法の改正を求める活動、障害のある方向けの法律相談、旧優生保護法被害弁護団としての活動などに取り組んでいます。ほかの弁護士も、中小企業向けの知的財産関係の法律相談の相談員を務めたり、難民支援や、小中高生向けの法教育の普及推進に取り組んだり、同性婚訴訟や消費者事件の弁護団活動に参加したりと、それぞれが社会課題の解決に向けて、活動を行っています」
採澤弁護士の場合は、こうした活動を通じて、高齢者の成年後見の相談や障害者に関する事件の依頼を受けることも多い。
「自分が取り組みたいと思ったことに挑戦してきた結果、所内外から相談いただく機会が増えて、仕事の幅が広がっています」
公益活動に関して時間的な制約を設けず、自由に活動できる環境は、特にアソシエイトにとっては魅力的に感じられるようだ。
加えてアソシエイトのうちは“個人事件の受任自由”のルールがある。山崎純弁護士は、次のように語る。
「アソシエイトは、コンフリクトの問題がない限り個人事件の受任は自由、経費納入も不要であるなど、“やってみたいこと”に挑戦しやすい環境であることも当事務所の特徴といえます。アソシエイトのうちから、将来のパートナー就任に向けて“専門分野や自身の顧客など経営基盤を整えておく”という意識を醸成してほしいと考えているからです」
このように様々な角度から弁護士の“自主自律”を応援する同事務所。キャリアをどう築いていくかについても、ある程度の指針・方針を用意している。
「明確なキャリアプランや制度ではありませんが、概ねアソシエイトの期間を6年として、7年目にはジュニアパートナーになることを目標としてもらいます。最初の3年間はパートナーや先輩アソシエイトと組んで、リサーチや起案を中心に弁護士としての基礎体力をつけることに注力する。後半3年間は、基礎体力の向上に加え、案件の方針決定への関与、訴訟期日での対応、打ち合わせなどの依頼者対応といった案件処理全体に責任を持って対処できる能力を身につけていくイメージです。加えて先述のとおり、専門性の獲得や、顧客開拓について意識づけを行ってもらう。それらをしっかりと先輩弁護士がOJTでアドバイスする。案件処理はアソシエイトの個人事件を除き、基本的に2名以上のチームで対応していきます。そのうえでアソシエイトが業務過多とならないよう、『アソシエイト委員会』に所属するパートナー弁護士が定期的に面談などを行って執務状況を把握し、困っていることがないか、事務所への要望がないかなども聞き取っています。なお、アソシエイト期間に産休・育休、留学・出向などで休職する弁護士は、復職後、パートナーになるまでの目安期間について、話し合いをもとに柔軟に調整するといったマネジメントをしています」(山崎弁護士)