2021年5月、大手法律事務所出身の弁護士5名によって本格的に始動した、燕総合法律事務所。ファイナンスとコーポレートを中心に取り扱っており、特にファイナンスに関しては不動産流動化、コーポレートについてはクロスボーダー案件に強みを持つ。事務所及び所属弁護士の多くが『The Legal 500』『asialaw Rankings』『Best Lawyers』『IFLR 1000』などの海外ランキングリサーチで多数の受賞歴を有する。パートナーは全員、ファイナンス、労働、コンプライアンス、倒産法など各自の専門分野での実績を誇る。パートナーの一人である福田匠弁護士に、事務所の業務スタイルのこだわりをうかがった。
「ひとことで言えば、“各自が主導して依頼者に寄り添う業務遂行を”です。当事務所には50期台から70期台まで8名の弁護士が所属していますが、キャリアに関係なく、クライアントの課題に対して弁護士一人ひとりが依頼者と密接に連携し、機動性を発揮しつつ柔軟に協働し、解決していくことを最も重視しています。このような各自の意識を共有すべく、当事務所は組織としてもフラットなかたちを志向しており、平素から業務や事務所運営に関して立場を問わず気軽に意見交換できる雰囲気を維持しています」
パートナーは各自の得意に応じて、ファイナンス分野とコーポレート分野・紛争解決の大きく2チームに分かれて案件に対応している。例えば福田弁護士と城所敦子弁護士はファイナンスチーム、角田邦洋弁護士と田畑千絵弁護士がコーポレートチームという構成だ。福田弁護士は、事務所の強みを次のように話す。
「1つ目は、機動性です。当事務所はパートナー自身が“ハンズオン”で手を動かして対応するので、案件処理のスピードが非常に早いことが特徴です。2つ目は、依頼者に寄り添うこと。例えば、銀行の依頼者であれば、フロント(営業担当)、審査部門、法務部門と、様々な部門から相談をいただきます。どうしたら社内決裁を得やすいか、社内の利害関係のなかでスムーズに業務遂行できるかなどを、各当事者の立場ごとに考えながら、相談対応や契約書レビューを行っています。また、そのような依頼者との緊密な連携ゆえに、定型案件の処理より、むしろひねりのある案件を依頼者と一緒に解決していくことを得意とする、“変化球に強い事務所”だと思います」
角田弁護士が、特にコーポレート分野における顧客特性と強みについて説明してくれた。
「コーポレートチームは渉外分野の取り扱いが多く、クライアントはほぼ外資系企業です。当事務所のような少人数の法律事務所で、国際業務の比率が高いのはめずらしいかもしれません。我々が日頃やり取りするのは、裁量・決定権を持ち、協議に基づいてその場で大きな方向性を決めてしまえる立場の方々です。いわばビジネスのディシジョンメーカーに近いところで、リーガルサービスを提供していることになります。そうしたクライアントの相手先(日本企業)には、往々にして日本の五大法律事務所や外資系法律事務所がついています。我々は、彼らと伍する力があると自負していますが、アドバイスやサービスのクオリティと機動性(スピード)を維持するために、パートナーがハンズオンで対応しているわけです」