Vol.89
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前列左から、山下淳弁護士(40期)、根本鮎子弁護士(60期)、渡邊真紀子弁護士(60期)。後列左から、坂井健吾弁護士(64期)、大杉真弁護士(57期)、渡辺直樹弁護士(43期)、河西瑞季弁護士(60期)、岩田準平弁護士(61期)

前列左から、山下淳弁護士(40期)、根本鮎子弁護士(60期)、渡邊真紀子弁護士(60期)。後列左から、坂井健吾弁護士(64期)、大杉真弁護士(57期)、渡辺直樹弁護士(43期)、河西瑞季弁護士(60期)、岩田準平弁護士(61期)

STYLE OF WORK

#186

アクアシス法律事務所

“多様性”をキーワードに、働きがいと働きやすさを追求する理念共感型事務所

ありのままの自分で働ける“場”を提供

同じ外資系法律事務所出身者が設立パートナーとなり、2023年7月に設立されたアクアシス法律事務所。マネージングパートナーの根本鮎子弁護士に、立ち上げの経緯をうかがった。

「前事務所は、侵害訴訟や、弁理士による出願など知的財産法のプラクティスが中心でした。知財分野とのコンフリクトを気にせず、プラクティスの幅を広げていきたいと考えていた弁護士が、独立に踏み切ったのです」

設立にあたり、ミッション、ビジョン、バリューを議論した。

「これからの法律事務所のあるべき姿について、“各自が培ってきた知識・経験を周囲に共有し、相互成長できる組織をつくりたい”ということを、設立パートナー4人で話し合いました。弁護士は職人気質な面があり、知識を囲いこみがちという問題意識を全員が感じていたからです。そうした思いもあって、ミッションに“集合知”という言葉を入れました」

「付き合いが長く気心が知れていて、異なる意見が出ることはほとんどなく、物事の決定がスピーディ」と、根本弁護士。そんな同事務所の特徴を示すキーワードが、“多様性”だ。

「子育て中、ほかの大手法律事務所から誘われても、激務の同僚に迷惑をかけるかもしれないという遠慮もあり、決断できませんでした。一方、企業出向時、男女問わず子育てをしながら仕事をこなす優秀なインハウスローヤーの方々と協働しました。プライベート・プラクティスの世界でも企業と同じように、バックグラウンドに左右されず、むしろそれを持ち味にして生き生きと働き続けられる事務所があってもよいのではという思いがふくらみ、設立メンバーと話しました。3人からも共感を得て、『それ、事務所のバリューにしようよ』と」

実際、同事務所の多様性のかたちは多岐にわたっている。

「当事務所には12名の弁護士が所属していますが、男女比は約半々で、修習期も年齢も国籍もバックグラウンドも様々。例えば、設立パートナーの一人、43期の渡辺直樹弁護士は、社外役員や社内の部門長、弁護士会綱紀委員の経験を生かし、大所高所から事務所運営を監督。40期の山下淳弁護士は、新人弁護士などの指導役兼相談役。そのように、各自の多様な背景や価値観を包摂し、“ありのままの自分”で仕事ができる事務所です」

アクアシス法律事務所
在宅勤務などの柔軟な働き方を推進しつつ、コミュニケーションが不足しないよう、定例会議のほかランチ会、歓送迎会などを行い、交流を深める

多様な人材が集結し、シナジーを生み出す

そうしたメンバーが集まり“多様なバックグラウンド”を生かし、“多様な案件”に取り組む。全パートナーが外資系法律事務所出身であるため、クライアントには外資系企業が多く、また、上場企業からスタートアップまでと、まさに多様。各パートナーの得意分野を根本弁護士にうかがった。

「山下弁護士は、国際・国内の商業取引紛争やホワイトカラークライムが専門で、航空業界の問題にも精通。商社のインハウス経験がある渡辺弁護士は、国内外のM&Aの取り扱いが多く、当該クライアント企業の法務部内チーム育成もサポートしています。また、大杉真弁護士は、人事労務案件やファミリービジネス、坂井健吾弁護士はフィンテックやAIといった新たな分野の知財を得意としています。私は、ヘルスケア分野の企業法務、スタートアップ支援、官民学連携のルールメイキングなどに携わっています」

24年に入所した岩田準平弁護士は、事業再生、M&A、インフラ投資案件などで14年超のキャリアを有している。

「入所後、山下弁護士のもとで航空業界の案件に携わらせてもらい、業界特有のルール・進め方などを学びました。この年次で専門以外の分野をゼロから経験できることはあまりないだろうと思っていたので、この経験は非常に有意義なものになりました。そもそも航空業界を専門に扱える弁護士は多くないので、山下弁護士の知見を継承していく意気込みで取り組んでいます」(岩田弁護士)

様々な経験を持つ弁護士が集結・協働することで「シナジーが生まれる」と、根本弁護士。

「例えば、クライアントの取引先の経営が悪化した際などは、事業再生に知見がある岩田弁護士の協力を得て対応することができます。また、労務問題が生じた時には渡辺弁護士や大杉弁護士にと、柔軟にチームを組んで対応できることも我々の強みです」(根本弁護士)

同事務所のWebサイトでは、“法律”の専門家ではなく“法務”の専門家を謳う。

「私も含め企業への出向経験を有するメンバーが多いのです。やはり多様な業界の知識・経験、社内の“しきたり”に精通した弁護士が揃っていることは大きなアドバンテージとなります。彼らのクライアントへの接し方を見ていると、単に『リスクがあります』で終わらせず、一歩踏み込んだ有用なアドバイスをしている。そういったクライアントに寄り添う姿勢が、顧客満足度を高めているのだと思います」(岩田弁護士)

「私がまだ弁護士2年目だった頃、山下弁護士から『インダストリーやビジネスを理解している弁護士になることが大切』という教えを受けました。その教えは、この事務所にも受け継がれています。実際、Webサイトやパンフレットでは取扱分野ではなく、インダストリーやサービスの紹介をわかりやすく記載。サービスを説明する言葉もクライアントの立場で考え、“伴走型支援”と記しました。『法律事務所としてはユニークなアプローチだね』と評価いただいています」(根本弁護士)

アクアシス法律事務所
法律書籍などリサーチツールをはじめ、様々なリーガルテックのサービスを用意。自宅から各種サービスにアクセスでき、効率的な執務が可能

取り組みの成果をお客さまに還元

設立当初から弁護士のワークライフバランスや多様性の実践をコンセプトにしてきた同事務所。根本弁護士が、同期の河西瑞季弁護士を事務所に誘ったのは「彼女のキャリアを世のなかに生かしたい」という思いからだ。河西弁護士は言う。

「子ども2人が小学校に入学して時間ができたものの、ブランクがあるので、所属先の事務所に戻るのは難しいだろうと考えていた時に、根本弁護士と話しました。『子育て中の弁護士が法律事務所で頑張れる、そんな事務所をつくりたい』という彼女の熱意に背中を押され入所を決めました。所内の別のアソシエイトも私と同じ柔軟な勤務体系です。限られた時間のなかで自分の最大限の力を発揮したいという思いは同じ。それぞれここで働けることを喜びながら、日々の業務にまい進しています」(河西弁護士)

「修習同期で、優秀な彼女の能力が発揮できる場所を、という思いでした。実際、河西はブランクを感じさせず、予想より助走期間も短く、すでに戦力です。河西のように居場所があれば能力を発揮して活躍できる弁護士に、仲間になってもらうことは、結果的にクライアントへの価値提供の向上に繋がると考えます」(根本弁護士)

河西弁護士に、今後どのようなキャリアを積みたいかうかがった。

「各パートナーと仕事をするなかで、本当に様々な法分野の経験ができています。私自身は企業への出向経験がないので、パートナーとの仕事を通じて、『そこまでクライアント目線を持てていなかった』と実感することが多々あります。法分野もさることながら、クライアントとの接し方などもパートナーからしっかり学びつつ、自分自身が興味の持てる法分野を広げていきたいと思います」(河西弁護士)

「アソシエイトの教育体制については、メンター制度を設けていて、1人のメンティーに対して3人のメンターがつき、2週間に一度、面談を行って業務量の把握やキャリアについて話し合うといった場を設けています。ベテランの岩田弁護士も入所したので、若い弁護士の教育に協力してもらおうと思っています」(根本弁護士)

根本弁護士に、これからどのように事務所を運営していきたいかうかがった。

「当事務所は、何よりもビジョン・ミッション・バリューを優先して生まれた、いわば理念共感型の事務所です。そのコンセプトを守りつつ、健全に成長し続けていければと考えています。そのうえで、期待以上の成果をクライアントの皆さまにしっかり還元していきたい。そんな当事務所の取り組みや成長のプロセスが何らかのメッセージとなり、弁護士業界に少しでもよい影響を及ぼせたなら最高です」

Editor's Focus!

内幸町にあるフレキシブルオフィスを拠点として活動する同事務所。「コストを抑えてミニマムスタートし、その分をクライアントに還元したい」(根本弁護士)。「執務や休憩で使う共用スペースでは、様々な業種の方が思い思いのスタイルで仕事をしている。その活気も刺激になっています」(岩田弁護士)(写真提供/©WeWork)

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