事務所探訪:2018年5月号 Vol.63

事務所探訪

アトーニーズマガジン 事務所探訪

多種多様な「働く場」としての法律事務所を、読者に代わり、編集部が取材します。事務所の理念・方針・特徴・こだわりや工夫が凝らされた事務所の“日常風景”を分かりやすくお伝えします。

※掲載記事の内容は取材当時のものです。

Style of Work

事務所探訪

Vanguard Tokyo 法律事務所

グローバル企業を顧客にリーガルサービスを提供。
労働、訴訟・危機管理、金融規制のプロ集団

 2017年9月に設立されたVanguard Tokyo 法律事務所(以下、VLT)。設立者は、山川亜紀子弁護士、岡田和樹弁護士、木南直樹弁護士。いずれも、国内訴訟、労働問題、危機管理、金融規制といった分野において、「Chambers」や「Legal500」などで高い評価を得ている腕利きの弁護士だ。三氏は、フレッシュフィールズ・ブルックハウス・デリンガーの出身である。近年の法律業務をめぐる国内外の環境変化を鑑み、前事務所と協議の結果、国内訴訟、労働分野、危機管理・調査対応、金融規制にかかわる業務を分離するかたちで独立した。

 事務所の特徴について、山川弁護士に伺った。
「私たちは、外資系企業に対して高度な日本法のアドバイスを行うことを得意としています。これまで、クライアントは金融機関が中心でしたが、独立してからはメーカーなどの別業種にも広がっています。フレッシュフィールズとは協力関係にあるので、その国際的ネットワークを活用しながら、高度なリーガルサービスを求めるクライアントに、適正なフィーでサービスを提供していきたいと考えています」

 この間、VLTとして手がけてきたのは、グローバル企業の詐欺事件やハラスメントの社内調査および処遇についてのアドバイスなど。「私自身の仕事としては、ハラスメントの講演依頼や社員向けトレーニングの要請が増えています」と、山川弁護士。
「ハラスメント対策は欧米のほうが進んでいて、どの外資系企業にもグローバルの研修プログラムがあります。しかし、日本の文化・慣習などに合わせたトレーニングをしたいという外資系企業が増えています。そこで、日本の労働法などに詳しい我々に声がかかるのでしょう」
 木南弁護士も、「日本に拠点を持たない海外の法律事務所が、我々の依頼者となるケースが増えていきそうです。また、我々は各自が専門分野を持っているので、例えば金融関連企業の不祥事絡みの調査案件など、シナジー効果が発揮できる案件を、一つのビジネス分野として確立していきたいです」と語る。
 前事務所では、マネジメントなどに時間を割かなければならないことも多かった木南、岡田両弁護士。今は、仕事を一からつくりだす喜び、弁護士実務の面白さをあらためて実感する毎日だという。

 同事務所は、3年以内に弁護士を10名程度に増員する予定だ。パートナーの報酬は、「業務の専門性、事務所としての一体性、永続性の強化」に向くといわれる「ロックステップ方式」。現在、中堅どころの弁護士の参加を求めているが、この事務所にフィットするのはどんな弁護士か――木南弁護士と岡田弁護士の言葉にヒントがあった。
「私と岡田弁護士は43年間弁護士をやってきましたが、私自身は振り返れば、人生の約4分の3が仕事だけの生活です。そんな私だからこそ思うのは、『弁護士である前に、私たちは一人の人間である』ということ。弁護士として一流を目指すのは当然ですが、人としても一流になれるよう、また、ポテンシャルがある若い人たちが希望をもって弁護士を続けていけるような事務所をつくっていきたいですね」(木南弁護士)
「依頼人を元気づけることが弁護士の一番大事な役割です。そのためにはまず自分自身が元気なパワーを持っていることが大事。ですから、『仕事に淫してはならない』と、私は考えます。仕事は確かに面白いですし、時間をかけて、やればやるだけ成果が出ます。しかし、どんなに法律知識や技術が増えたとしても、依頼人のやる気を喚起できるわけではありません。仕事以外の自分の時間をきちんとつくり、人間的な魅力や深みを身につけ、依頼人を元気にできる弁護士であらねばならないと思っています」(岡田弁護士)

 二人の言葉からもわかるように、「弁護士である前に、人として一流であれ」が、VLTのモットーだ。そんな弁護士を一人でも多く育てるべく、専門実務の教育体制はもちろん、新たな職務時間管理やIT技術の導入など、〝働きやすい環境の整備〞にも積極的に取り組む。真のリーガルプロフェッショナルを育成するための土壌づくりが、着々と進められている。

■プロフィール

  • 所在地/〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル601
  • TEL/03-6868-0410
  • http://www.vl-tokyo.co.jp/
  • 弁護士6名、事務スタッフ2名。主に労働問題、訴訟・危機管理、金融規制分野を取り扱う。事務所名に、「先進・先駆、かつ創造的で高度なアドバイスを顧客に提供する」という思いを込めた。ファームカラーはオレンジ。
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