Vol.8
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PIONEERS

グローバルビジネスの最前線で、ビジネスの仕組みの構想・構築に法律のプロとして寄与する

北川 なつ子

三井物産株式会社
法務部 法務第二室
主管
弁護士(2001年登録 54期)・ニューヨーク州弁護士

#10

新時代のWork Front 開拓者たち

経営戦略や意思決定のメカニズムにも関与する法務部

国内外に154の事業所を持つ総合商社、三井物産。同社法務部は、その国際的事業活動の法務面を担う。最近では、全社的ポートフォリオ戦略・投資方針を策定する「ポートフォリオ管理委員会」に法務部長も参加。経営ボードの意思決定に法務部の関与度は高まっている。中でもビジネス法務は同社の要。その役割を企画法務室室長・鳥海修氏に伺った。

「ビジネス法務を担当する第一〜四室は、『営業部と共にビジネスを創造すること』がミッション。従って営業担当とチームワークを図りながら交渉をリードし、戦略的法務を行います。大きな事業投資案件の場合は、交渉初期段階から営業・財務・法務などが一体となって最小リスクの投資形態を模索。経営戦略や営業戦略も含めた総合的な事業戦略、意思決定のメカニズムに深くかかわります。そこで得られる達成感は非常に大きい。これが、当社の最大の特徴です」

総合商社ならではの「幅広さ」、営業との一体感がやりがい

このビジネス法務に法務第二室・主管として携わるのが、北川なつ子弁護士。北川氏は、濱田松本法律事務所(当時)で実務を経験した後、同社へ移籍を決断。一般の中途応募者と同様、試験を受けて入社した。

「私の仕事は、営業現場からの日常的な法律相談への対応、各種契約書の起案・交渉支援などです。紛争や訴訟が生じた場合は、訴訟弁護士を起用し、ともに訴訟戦略の立案も行います。当社は担当をエリアで分けるので、取り扱う商品もかかわる部署の数も、とても多いんです。例えば石油なら掘削から精製まで、鉄鋼だったら原料調達から製鉄まで……各段階で、担当部署も異なります。これは総合商社ならではですね。でもその仕事の幅の広さが、好奇心の強い私には合っているようです」

「企業としてのベストな選択」その視点を強い意志で提示する

現在、これまでで最も複雑なジョイントベンチャーに携わっている。

「全世界に子会社を持つ企業の一部門を、ほかの企業とジョイントベンチャーの形をとりながら買うという大型案件。2つの企業のデューデリジェンスを同時に行いますし、入札案件のため、そのスケジュールに合わせて進めなくてはいけません。どの交渉をいつまでにどの国で行い、税金的な観点の考察はどの段階で行うか、ファイナンシャルアドバイザーとどの時点で戦略をすり合わせるか、銀行との交渉はどうするかなどを、米国と日本の間で行っています」

総合商社ならではの、ダイナミックで複雑な買収案件やプロジェクトの契約交渉。それに伴い、国内のみならず海外の有力な弁護士らと議論したり、直接アドバイスを得られるのも、企業法務部の醍醐味だ。もともと、洋楽がきっかけで英語が大好きになったという北川氏。その嗜好と、弁護士という仕事が、両方生かせると同社に入社してから気付いた。

「そもそもビジネスロイヤーを目指したのも、渉外事務所なら英語を話す機会が多そうで、楽しそうだと思ったから。一方で、せっかく弁護士になったのだから、訴訟もやりたいとは思いました。日本の法律事務所で働くということは、訴訟弁護士になるか、渉外弁護士になるかの選択を迫られるように感じていましたが、ここならば、そんな選択をせずとも両方やれる。例えば今、アメリカの訴訟に関与しています。私自身が訴訟代理人としては立ちませんが、アメリカの訴訟についての勉強ができる。直接、海外の法律事務所と交渉も行える。交渉の当事者になれるという点は、魅力的です」

北川氏の仕事は、営業部・現場とのコミュニケーション、一体感が必須。楽しいことばかりではなく、入れ込みすぎて、ケンカをすることもある。たとえ現場はノーでも、「企業としてベストな選択は」という視点で、「譲らない意思の強さ」を示すことも企業法務には必要なのだ。

「でも、半年も経ってから『北川さんにあの条文を入れろと言われて嫌だったけど、後で助かった。ありがとう』と言われたのはうれしかった。これからも、そんなうれしい経験をたくさん積み重ねていきたいです」

弁護士 北川 なつ子