Vol.23
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#1

SPECIAL REPORT

#1

幅広い属性の法務部員が集い、相互に研鑽し合う、相互24年目の会員組織

国際企業法務協会 事務局

小規模運営のポリシーで、会員間の信頼関係を醸成

さまざまな業種・業界の企業法務部員が集い、月1、2回の定例会や研修会を続ける会員組織がある。それが「国際企業法務協会」(INCA=International Corporate Counsels Association)だ。会員企業は、花王、資生堂、住友商事、ダウ・ケミカル日本、日本電気、日本アイ・ビー・エム、日本マイクロソフト、富士ゼロックスなどの大手企業の社名が目を引くが、中堅・小規模企業はもちろん、個人として参加する会員も在籍し、その数70法人・個人。最近は、法務部門に女性社員を配属する企業が増え、この会も女性の参加者が多く、明るい雰囲気だという。INCAの設立の経緯や活動内容、成果などについて、現在会長を務める岡田不二郎氏にお話をうかがった。

「国際企業法務協会は、1988年に外資系企業が中心となって設立されました。発足当初は外資系企業にまつわる法律問題などを主なテーマに活動していましたが、現在は、企業活動がボーダーレスになったことなどから外資、国内企業といった線引きはなく、広く開かれた会として入会いただいています。ただし、会員数は100社程度が理想であると考えています」

それを超えると、INCAの最大の特長である会員による自主的な運営と、会員相互の密なクロスコミュニケーションのメリットが損なわれてしまうと考えているからなのだという。ちなみに、1社からの参加人数に上限はない。テーマによっては、法務部以外の部署の社員が参加してもいいようにとの配慮だ。

「法人の年会費は9万円です。ほぼ毎月開催の月例会(および研修会)、研究会等へ、無料で人数制限もなく参加できます。決して高い年会費とは思いません。また、24年間、会の運営を続けてこられたのは、独自のポリシーを守りながら、会員相互が刺激を与え合えているからだと認識しています」

活動内容としては、月例会(その時機に合ったテーマについて弁護士や学者など外部講師による講演や会員間の自由討論などを行う)および懇親会と三つの研究会(債権保全・倒産対応、知的財産、会社法)、そして夏季合宿など。月例会や研修会のテーマは複数の幹事によって決められる。取材を行った7月のテーマは、「コンプライアンスへの取り組み」を取り上げ、54名の参加者が喧々諤々の議論を繰り広げた。

国際企業法務協会
会員各社が興味を持った法律問題を中心に開催される講演会を「月例会」と呼ぶ。今年の6月は、東日本大震災における企業の危機管理について、弁護士からの講義を受けた

「業界や経験などを考慮し、通常出席者を5~7つのグループに分けます。一方的に講師の講義を聞くだけでなく、ケーススタディを用いたグループディスカッション、その発表を行うなど、会員が積極的に自主参加・発言できる運営方針です」

研究会は参加自由で、自主的に月1回程度集まって運営されている。目下、独禁法や労働法などの研究会を増設することも検討されている。

さて、INCAは会員にとってどのようなメリットがあるのか。岡田氏は次のように言う。

「まず、法務部員に必要とされる幅広い知識を得ることができます。また、法務部員が少人数もしくは一人という会社も多く、ある問題について社内に適切な相談相手がいないという場合も。そんな時、当該問題に詳しいINCAの会員に直接相談することもできます。そのように、必要な情報の収集と活用に関する知見や人脈を得ることができる。また、同じ法律でも業種によって受け止め方が違うなど、法律問題を多角的に捉え、個々の引き出しを増やせる機会になっていると思います」

2006年に新会社法が施行され、日本の企業法務も大きな転換点を迎えた。一言で言えば、「対処法務から戦略法務への転換」である。そして、企業戦略に法律問題が大きな影響を及ぼすようになった。

「企業として意思決定をする際、トップが必ず『法的な問題はないか?』と聞くようになりました。法務部員の仕事の難易度はぐっと高くなりましたが、それだけやりがいも高くなったと思っています」

今後もさまざまな法改正が行われ、また法律の解釈も時代とともに変化する。そんな時代を生きる法務部員は、常に自己成長を続ける必要がある。

「今後も、会員にとってINCAが得難い研鑽の場であり続けられるよう、我が国の企業法務全体のボトムアップができるよう、協会のオリジナリティを損なうことなく、運営を継続していきます」

トライアルの参加も受け付けているという。自社以外の法務部の働き方を参考にしたい、幅広い法律問題に触れる機会を持ちたい、人脈を広げたい、そんな思いがあるのなら、INCAの活動に一度参加してみることをお勧めしたい。

Members Voice

外食企業内部監査室
男性・40代
コンプライアンス問題がテーマと聞き初めて参加しました。業界を超えた参加者の皆さんと行ったケーススタディを用いたディスカッションは非常に有意義。ここで得た知見を社に持ち帰り、自社だけに役立てるのではなく、外食業界全体の底上げになるよう生かしていきたいです。

玩具メーカー法務部
男性・30代
最初の参加は知的財産の研究会で、10人ほどの参加者が毎月1度集い、研究の発表を続けてきました。月例会のほうはテーマが合うものだけ。参加しています。特段宿題もなく、自由に出席できるのがいいですね。毎年、夏合宿が開催されますが、今回初めて参加。楽しみです。

総合商社法務部
女性・30代
業界の枠を超えたINCAのような会はめずらしいですね。私は2年前から参加していますが、長く在籍しているメンバーが、しっかり新会員を気遣うなど、会全体の温かさをいつも感じます。ディスカッションでこれほど活発な意見が飛び交うのも、INCAの特徴だと思います。

スポーツ器具メーカー法務部
女性・40代
自社に法務部が新設された際、ある方の紹介で入会しました。法務の仕事の右も左もわからない中、さまざまな教えを頂戴し、企業法務にかかわる人間としての姿勢も会の先輩から多く学ばせていただいたと思っています。今、自分が会の後輩に何を与えられるか、考えているところです。

  • 国際企業法務協会
    7月の研修会のテーマは「コンプライアンスヘの取り組み」。“あなたが突然、法務教育の担当に任命されたらというケーススタディを用い、富士ゼロックスの法務部長・野村昌志氏が講義を行った
  • 国際企業法務協会
    研修会終了後のお楽しみ、懇親会のスタートはビールで乾杯。新会員の紹介コーナーを用意するなど、溶け込みやすい雰囲気が特徴。この日も会員同士の談笑は懇親会終了間際まで続いた
  • 国際企業法務協会
    年に1回、夏季合宿が開催される。2009年の会場は、横浜・上郷の「森の家」。バーベキューで大いに盛り上がった。毎回、決められた担当者が合宿を計画し、50名前後が参加する