「講師の方には、『通常のセミナーでお話しされることや本に書かれている表向きのことは不要です。可能な限り、実体験などを踏まえたリアルなここだけの情報を、ぜひ』とお願いしています。謝礼はお車代程度しかお出しできませんが、過去にお願いした講師の方々は全員、快諾いただきました。今後の我が国の経済発展に、企業法務における知財分野のさらなる強化は急務――そこを強く認識されているからこそだと思っています」
過去のテーマを見ると、池村聡弁護士の「著作権法改正の裏側」、渡辺光弁護士の「チュッパチャップス商標権等侵害事件」、伊藤雅浩弁護士の「グリー対DeNA釣りゲーム著作権侵害事件」など、各業界で大きな話題となった知財案件が並ぶ。また、パーソナルデータやSNSなどの周辺領域がテーマとなることも。そして、研究会後半のディスカッションを通じて、逆に講師が企業の法務担当者の意見や考えが聞ける時間にするなど、双方向のやり取りをうながし、講師側へのメリットを提供する配慮も忘れない。
「先日、会員に『あの判決は企業の現場にいる者としてどう感じたか?』と逆質問されていた講師がいました。弁護士と企業法務担当者の距離を近づけることもIP研の役割の一つですね」
法務担当者にとっては、自社に最適な弁護士と出会える機会でもある。実際に適任者を見つけ、講師に仕事を依頼した法務担当者もいるそうだ。
「毎回、貴重な話が聞けるだけでなく、講師と活発なコミュニケーションができることがIP研の特徴です。そして、ここで得た学びを自社に持ち帰り、仕事仲間にフィードバックしてもらう。第一義は、会員と会員企業の知財関連の情報収集および問題解決能力の向上ですから」
毎回、ディスカッションが活発に行われ、かつ、大学のゼミのようなカジュアルさを併せ持つIP研。この形式は、鵜川氏が座長を引き継いだ昨年2月から取られている。
「弁護士など専門家や企業の枠を超えて、知的財産権という戦場で日夜闘う同志たちの研鑽の場にしたい。幸い、このスタイルに変更して以降、毎回の参加者が倍増しました。やはり、できるだけ多くの会員に来てほしいですから。今後も興味深いテーマの選定と素晴らしい講師の招聘に期待してください」
なお、IP研ではトライアル参加も受け付けている。幅広い法律問題に触れる機会を持ちたい、自社以外の法務部のあり方を知りたい、そんな思いがあるのなら、IP研の活動に参加してみることをお勧めしたい。