Vol.36
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#5

SPECIAL REPORT

#5

知的財産権に関する旬なテーマを大学のゼミのような形式で学ぶ。カジュアルかつ真摯な研究会

国際企業法務協会 事務局

知財関連分野の第一線の専門家から、貴重な話を聞き、ディスカッション

幅広い業種・業界の企業法務部員が集い、月例会、研究会、研修などの活動を続ける会員組織「国際企業法務協会」(INCA=International CorporateCounsels Association)。

1988年に設立された同協会は、今年、創設25周年を迎えた。国内大手、外資系大手から中堅・小規模企業までの法人および個人が在籍し、現在の法人会員数は約70。会員の年会費は9万円。会員は毎月行われる月例会や研究会などに無料で何人でも参加可能だ。

全体の月例会では、時機に合ったテーマについて弁護士や研究者などの外部講師による講演や会員間のディスカッションを行う。どちらかといえば、より広いテーマで多くの会員が参加する場となっている。

これに対し、特定のテーマを掘り下げて各分野の見識を深める場が研究会で、「債権保全・倒産対応」「労働法」「会社法」「知的財産権」の4つがある。

今回は、そのうちの一つ「知的財産権研究会(以下IP研)」の取り組みについて、IP研座長を務める、株式会社アイ・エム・ジェイのシニアリーガルマネージャー・鵜川孝氏にお話をうかがった。

「IP研には、金融、鉄道、航空、日用品、玩具、出版、IT、精密機器など、約25社の会員企業が所属。研究会が開かれるのは月1回(夏季休暇などを考慮し年10回)で、毎回15〜20人の会員が出席しています」

9月のIP研は、同研究会の座長補佐を務める、判例・法令などのデータベースサービス企業、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の会議室(東京・三軒茶屋)で17時からスタート。前半1時間は専門家講師による講義、後半1時間は質疑応答およびディスカッションが基本だ。終了後は、講師を交えての楽しい懇親会が待っている。

毎回、〝旬〞もしくは著名な知財関連のテーマを選定し、経験豊富な弁護士・弁理士など専門家を招き、実際に担当した事件について話してもらうケースも。取材日の講師は、中国の模倣対策実務の第一人者の、IP FORWARDグループ総代表・分部悠介弁護士が務めた。

国際企業法務協会 知的財産権研究会
9月30日(月)、レクシスネクシス・ジャパン(東京・三軒茶屋)の会議室で行われた、研究会。この日のテーマは「中国における模倣対策実務」。多くの日本・欧米企業に対して中国での知財にかかわる問題を中心にサポートする、IP FORWARDグループ総代表の分部悠介弁護士が当日の講師を務めた

「講師の方には、『通常のセミナーでお話しされることや本に書かれている表向きのことは不要です。可能な限り、実体験などを踏まえたリアルなここだけの情報を、ぜひ』とお願いしています。謝礼はお車代程度しかお出しできませんが、過去にお願いした講師の方々は全員、快諾いただきました。今後の我が国の経済発展に、企業法務における知財分野のさらなる強化は急務――そこを強く認識されているからこそだと思っています」

過去のテーマを見ると、池村聡弁護士の「著作権法改正の裏側」、渡辺光弁護士の「チュッパチャップス商標権等侵害事件」、伊藤雅浩弁護士の「グリー対DeNA釣りゲーム著作権侵害事件」など、各業界で大きな話題となった知財案件が並ぶ。また、パーソナルデータやSNSなどの周辺領域がテーマとなることも。そして、研究会後半のディスカッションを通じて、逆に講師が企業の法務担当者の意見や考えが聞ける時間にするなど、双方向のやり取りをうながし、講師側へのメリットを提供する配慮も忘れない。

「先日、会員に『あの判決は企業の現場にいる者としてどう感じたか?』と逆質問されていた講師がいました。弁護士と企業法務担当者の距離を近づけることもIP研の役割の一つですね」

法務担当者にとっては、自社に最適な弁護士と出会える機会でもある。実際に適任者を見つけ、講師に仕事を依頼した法務担当者もいるそうだ。

「毎回、貴重な話が聞けるだけでなく、講師と活発なコミュニケーションができることがIP研の特徴です。そして、ここで得た学びを自社に持ち帰り、仕事仲間にフィードバックしてもらう。第一義は、会員と会員企業の知財関連の情報収集および問題解決能力の向上ですから」

毎回、ディスカッションが活発に行われ、かつ、大学のゼミのようなカジュアルさを併せ持つIP研。この形式は、鵜川氏が座長を引き継いだ昨年2月から取られている。

「弁護士など専門家や企業の枠を超えて、知的財産権という戦場で日夜闘う同志たちの研鑽の場にしたい。幸い、このスタイルに変更して以降、毎回の参加者が倍増しました。やはり、できるだけ多くの会員に来てほしいですから。今後も興味深いテーマの選定と素晴らしい講師の招聘に期待してください」

なお、IP研ではトライアル参加も受け付けている。幅広い法律問題に触れる機会を持ちたい、自社以外の法務部のあり方を知りたい、そんな思いがあるのなら、IP研の活動に参加してみることをお勧めしたい。

Member’s Voice

家庭用品メーカー法務部
男性
現在はコンプライアンス関連の業務に従事。ただ、インターネットの発展により、今後、知財のグローバル化はどんどん進展していくはずです。前勤務先では偽造品対策の仕事をしており、昔取った杵柄を忘れぬよう、ここで勉強を続けています。毎回のテーマ設定が素晴らしく、参加するたびに自分の知的好奇心がふくらんでいます。

電機メーカー法務グループ
男性
まだINCAに入会して1年半ですが、このIP研は、毎回、非常に勉強になっています。今の部署では知的財産を扱う仕事は少ないですが、将来的な必要性を感じていることと、個人的な興味があって知財研に参加しました。最近のテーマは商標関連でしたが、今後は技術的な分野、例えばビジネスモデル特許なども取り上げてほしいと思っています。

事務機器メーカー法務関連部門
男性
幅広い業界の仲間が集まり、少人数制でざっくばらんにコミュニケーションできる雰囲気がここにはあります。各フィールドの第一線で活躍する弁護士などプロの専門知識を学ぶことができ、疑問があれば講師にその場で質問し、解決できる点がありがたい。ここで得た知見は必ず会社に持ち帰り、メンバーにフィードバックしています。

  • 国際企業法務協会 知的財産権研究会
    真剣に分部弁護士の講義に聞き入る参会者たち。講義の後には、毎回多くの質問が講師に寄せられる。この日も同じく、たくさんの手が挙がった。皆、納得できる回答が得られたようだ
  • 国際企業法務協会 知的財産権研究会
    研究会終了後のお楽しみは、近隣の飲食店で開かれる講師を交えた懇親会。実はここでしか聞けない話も多かったりする