――最近はどのような活動を行われているのでしょう?
最近取り組んでいるのは、「企業の社会的責任(CSR)と人権」という分野です。
人権侵害は多くの場合、その国の政府に責任がありますが、民間企業が人権侵害を助長しているケースも少なくありません。例えば、アジアやアフリカの途上国では劣悪な環境下で子供たちを働かせる児童労働が横行しています。また、企業が毒性の強い排水や排気ガスを、そのまま川や海、大気中に垂れ流して環境を汚染し、地域住民の人権を侵害する公害問題も深刻となっています。
近年、海外に進出する日本企業が増えるなか、現地で業務を発注した先の企業が人権侵害にかかわっているケースが多々あります。結果的には日本企業が海外諸国に進出したせいで、人権侵害の犠牲にあう人が増えるという、新しい人権問題が生まれています。
――このような問題に対してはどのような対処を?
日本企業がこのような現状を正しく知って、現地企業に改善を求めるなど、リスク管理を徹底すれば、必ず人権侵害を減らすことができます。
そこで今年はバングラディシュや中国などで、企業に関連した人権侵害の現地調査を集中的に行っていく予定です。
国連は最近「企業と社会的責任に関するガイドライン」を採択しました。私たちは様々な企業にこのガイドラインを遵守してもらうよう、勉強会やセミナーなども開催しています。
この問題については企業側も意識が高く、今後、継続的に情報を発信していくことによって、様々な問題を改善していけると確信しています。
――国際人権分野に関心を持つ弁護士にメッセージを。
人権を侵害されている人々の力になりたいけれど、世界的な人権問題にかかわるのは難しいと、私自身、HRNを設立するまでは思っていました。でも、実際に動き出してみると、人権侵害を止めるために様々な貢献ができるとわかりました。
今は、インターネットなどを活用すれば、国際的なキャンペーンによって、国連を動かすことも可能な時代です。法律や人権問題の基礎知識があれば、トレーニングや調査などの活動にすぐ参加できます。弁護士は世界をよりよく変えるための力を持っているので、ぜひその力を活用してほしいと思います。
HRNの会員・サポーターになっていただければ大変嬉しいです。そして、私たちと一緒に、世界のどこかで人権侵害に苦しんでいる人たちのために活動していただければと、切に願っています。