JILAが未来に向けて果たすべきこと
――JILAの会員数は、どのように変化する見込みでしょう。
梅田:3年後に3000名、2025年までに5000名くらいになればと期待しています。
室伏:これから3年で倍とは、アグレッシブな予測ですね(笑)。しかし、企業内弁護士は昨年1700名を超え、今年は2000名近くになるようですから、あながち無理な数字ではありません。
野田:新規に登録した企業内弁護士が無料で参加できるセミナーを定期的に開催しているため、それをきっかけに入会する方も。〝組織内弁護士の数が増えれば会員も自然に増える〞という流れもできてきましたしね。
――会員数増加に伴い、どんな取り組みを推進していますか。
室伏:JILAの特徴は期の若い弁護士が主体という点です。彼らが理事会を通じて会のガバナンスに関与できる体制にしたいと考え、野田さんはじめ60期代の弁護士数名を理事としました。また、この3月、中国四国支部が岡山に新設されますが、今後も他の地域にも支部を置き、全国の会員とのつながりを強化していきたいと思います。もちろん組織内弁護士の重要性について、地域の弁護士会へ働きかけていく布石にもしていきたいです。
梅田:会員は、類似業種ごとに分けた10の部会へ必ず所属することになっていますが、会員増に比例して、理事会や各部の運営事務総局との距離が遠くなってきました。それを緩和すべく、一人ひとりの要望を聞き、理事会の思いを伝える場となる「部会フォーラム」をスタート。野田さんが中心となって動いてくれましたね。
野田:はい。各部会の部会長、事務総局、その他委員会、理事会の代表者が集まり、意見交換や情報伝達を行う場です。
――会員の活動状況とJILAが目指すサポート体制は?
野田:今は、任意に所属できる研究会活動での成果も十分に共有できているとは言いがたいと感じています。部会フォーラムのようにJILAとしての〝財産〞を共有できるプラットフォームを構築したいです。
梅田:実際に、活動の成果を上げ始めている研究会、たくさんありますしね。
野田:労働法研究会は月1回の開催、海外事情研究会も活発に活動していますよね。組織内弁護士に関してはアメリカが進んでいるので、そうした海外の文献を翻訳し、国内で応用できる可能性を検討しています。ロビイング活動を研究するものも出てきましたね(パブリックアフェアーズ研究会)。そのような各会の活動を横断的に共有して情報を活用すれば、会員が所属する企業にも還元価値が生まれると思っているんです。
梅田:部会、支部、研究会を活動の中心に据え、さらに小さな活動単位を柔軟に設定する必要もありそうです。人数は増えてもそれぞれの〝顔が見える活動〞といいますか。事務総局のロジスティック能力の強化を前提に、部会・支部の自治を尊重する〝緩やかな連合体的組織〞を目指したいと思っています。
室伏:JILAはパーソナルな人間関係を大切にしながら成長してきた組織です。組織の仕組みや体制づくりも大事ですが、これだけの大きさになると会員同士が「はじめまして」とあいさつして仲良くなれる機会を増やすことも重要だと思います。
――未来に向けて、JILAの存在意義は?
野田:海外の組織内弁護士協会と連携する、会員同士のつながりを生かしてロビイング活動をするなど、積極的な〝発信〞の場にしていきたいです。また、会員それぞれがビジネス現場で事業を間近に見ていますから、経済界に対して何かを提言するという役割も担えるのではないかと。
梅田:会員の役に立ち続けることが大事ですから、まずは会員個々のニーズをきちんとくみ上げていく。そのうえで社会貢献にも取り組んでいきたいですね。弁護士会への協力にとどまらず、プロボノ推進や、社会的に議論を必要とする問題への提言など、JILAとしての直接的な役割を模索していく必要性もあるでしょう。
室伏:私は、日本企業にジェネラル・カウンセル(GC)を置く意義を説き、組織内での弁護士の地位を高め、そのロールモデルを増やすことを目標としたいと思います。また、野田さんがおっしゃった海外の組織との交流も積極的に推進していきます。今年9月に開催される「LAWASIA(ローエイシア)東京大会」では、JILAとして組織内弁護士のセッションを設けるんですよ。ただ、組織内弁護士が増加し、社会での存在価値が高まるほど、倫理が問われる場面も増えるでしょう。会員を増やし、社会的認知度を高めていく責任として、〝組織内弁護士に特化した倫理〞をトレーニングする場も私たちがつくらねばなりませんね。これからもJILAが組織内弁護士の存在意義を様々な場で発信していけるよう頑張りますので、ぜひ、期待していてください。