――弁護士や、企業法務の皆さんへメッセージをお願いします。
ドミトレンコ:私たちは、すべての方々の、LLANの活動への参加を歓迎します。LLANでは毎月、活動報告会を行っていて、活動内容を共有したり、ゲストスピーカーを招いて最近の動向に関して情報交換をしたりしています。過去には「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京弁護団の寺原真希子弁護士、アメリカやイギリスのLGBTQの国会議員、台湾の活動家などが登場してくれました。ほかにも年に一度、多くの法律事務所・企業・活動家が集まって現状について著名なスピーカーの話を聞いたり、意見交換などを行う「Equality Gala」というイベントも開催しています。堅い話だけではなく楽しいエンターテインメントもある、私が最も力を入れている年次イベントです。LLANでは広く法律に携わる人たちが相互につながり、活動へのヒントを得ることができる様々な素晴らしい機会を用意しています。
藤田:LGBTQ問題に関わりたいと思ったとき、関心はあっても、どう関わればよいのかわからないというのが最初のハードルではないかと思います。そこを越えるきっかけを、我々はご提供できると思います。ですから、皆さん、まずはメーリングリストに参加するだけでもよいので、ぜひ気軽に参加していただきたいと思います。
イベント以外にも、様々なワーキンググループの活動もあります。直近では、東京都がパートナーシップ宣誓制度の制度構築について意見募集を行っていた時にも、LLANで有志を募り、パートナーシップ制度についての調査・研究と議論を踏まえて、東京都の仕組みづくりに提言を行い、公表しました。また、日本では外国人向けのLGBTQの情報が非常に不足しているとの認識に基づき、渋谷区ダイバーシティセンターとLGBTQの最新の法情報を英語で発信するイベントも開催しました。これもLLANならではの取り組みで、メンバー有志で実現にこぎつけました。こうしていったん小さな一歩を踏み出すことができると、いろいろな縁が生まれ、それぞれの気づきがあり、問題が自分ごとになり、所属事務所・企業で、またより広く、活動を展開したりするようになっていく。これは私自身の強い実感ですが、LGBTQの課題は、かかわってみると非常に奥が深い。決して大げさではなく“人類の平等史”にまで踏み込むような話につながっていく。掘り下げれば堀り下げるほど、性的指向・性自認という切り口だけではなく、男女、人種など、あらゆる不平等と絡んでくるということが、おぼろげながら実感として、わかってくる。さらには根本的な問いとして、差別や偏見はどうして生まれるのだろうという考察も、生まれてきます。そういった気づきは、日々の実務にも生きてくることは間違いありません。
ドミトレンコ:日本では今、確実に変化が起こっています。婚姻の平等は、遠くない将来、日本でも必ず実現するでしょう。この歴史的な変化(ムーブメント)を後押しする一員に、ぜひ皆さんも加わってほしいと思います。そして、できるだけ多くの人に、このムーブメントを知ってほしい。LGBTQの平等は決して当事者だけのものではなく、社会のすべての人々にかかわるものだからです。
※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。
※1 LGBTQ+に対するストレート層のクラスター分析(電通報)
https://dentsu-ho.com/articles/7812
※2 同性の当事者による婚姻に関する意見書(日弁連)
https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2019/190718_2.html
※3 同性婚の法制化を求める意見書(在日米国商工会議所公表)
https://static1.squarespace.com/static/5eb491d611335c743fef24ce/t/61a5dc3665f99c7761ec0b86/1638259767828/211130-Marriage-Equality-Viewpoint.pdf
※4 2020年の報告書(OECD)
https://www.oecd.org/social/over-the-rainbow-the-road-to-lgbti-inclusion-8d2fd1a8-en.htm