――まず、法務部門の新たな体制について教えてください。
水口:ゼネラルカウンセルである私の直下に、ゼネラルカウンセル室(以下、GC室)、デジタルテクノロジー推進法務室、ガバナンス・コンプライアンス法務本部、ビジネス法務・知財本部があり、これに海外の法務機能が加わったものが、部門全体の体制になります。海外は、当社の事業体制に合わせ、Europe、Americas、APACの3つのリージョンと、中国・韓国などを含む東アジアに分けています。国内約350名、海外約200名が国・地域を超えたグローバルな「One Legal」として、富士通グループの経営とビジネスを支えています。
――GC室の役割を教えてください。
パットランド:ゼネラルカウンセルを補佐し、法務部門全体が国・地域を超えて一体となって動けるようファシリテートするのがGC室の役割です。私自身は、水口の代理として各方面への方針の徹底や個別案件の指示などを行っています。
富士通のグローバルビジネスを支える法務部門も当然、グローバルチームであるべき。その力が最大限発揮できるよう、「我々はワンチームである」というメッセージを常に社内外に発信しながら、共通の価値に基づくオープンなマインドセットを醸成することに尽力しています。
水口:ゼネラルカウンセルは、法的見地を軸として“守り”と“攻め”の両側面から幅広く経営層や現場部門にアドバイスを行うとともに、自らも経営層の一員として会社の重要な意思決定に参画する役目を担います。GC室を設けた背景には、広範にわたるゼネラルカウンセルの職責を遂行するために「各法務機能間のファシリテーションを行う司令塔となる部隊をつくりたい」という私自身の思いがありました。
法務部門の仕事は明確な切り分けが難しく、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、契約審査、訴訟対応、知財など一応の役割分担はあるものの、そこだけで仕事が完結することはほぼありません。例えば、クロスボーダーM&Aやグループ再編案件では、デューデリジェンス、契約交渉、各国法に基づく届出、機関決定のサポート、リスク低減策の策定と実行を、事業部門や関係国のリーガルメンバーと協議しながら対応しています。そうした時、以前は私が各法務機能からメンバーを集めてチームを組成していたのですが、チーミング自体を組織として行いながら、グローバルかつマルチファンクショナルな経験を通じた人材育成も行えるようにしたいと思ったのです。幅広い視点で一人ひとりのタレントやプロジェクトのパイプラインを見る。個別案件では重要なイシューを見極め、ベストメンバーを集めて問題解決にあたる。そのチーミングとファシリテーションを、私個人の采配ではなく組織として行い、仕組み化したい――これがGC室設立のきっかけです。
そのような背景から、海外リージョンの法務を束ねるグローバルリーガルのヘッドであるロブ(パットランド氏)に、GC室の室長を兼務してもらっています。