コンテンツ編集を通じてユーザーに“感動を提供すること”を大切に
――CMチームの体制は?
薄井:正社員、業務委託契約社員などから成る約20名の陣容です。法律関係の出版社で編集経験を積んだメンバーや、弁護士資格を有するメンバー、法科大学院を修了したメンバーが所属している点が特徴で、まさに法情報編集のプロフェッショナルチームです。チームはさらに、判例、法令、条例の3つに分かれています。
――CMチームの仕事内容は?
薄井:判例、法令、書籍雑誌、文献情報などを提供する日本法総合オンラインデータベース「Westlaw Japan」と、地方自治体における例規の改正情報を通知する「条例アラート」に関するコンテンツ編集を行います。具体的には、判例、法令、条例といった一次情報の編集、当該一次情報に付加価値を追加する二次情報の編集です。例えば判例チームでは判例全文の取材・編集と、その要旨・解説などの編集があります。全文においては当事者のプライバシーなどに配慮してマスキング処理をする仮名処理も行います。要旨においては、社内外の弁護士や研究者などに執筆を依頼し、社内で確認・編集したうえで製品に収録しています。
――御社が提供するコンテンツが「信頼性が高く価値がある」と評される理由は何でしょうか?
薄井:コンテンツ編集は、相応の専門的スキルを持ったメンバーで対応しています。例えば、CMチームには弁護士資格を有したメンバーが3名おり、彼らは主に判例の要旨執筆や製品開発のアドバイスを担当しています。お客さまは主に弁護士、企業、官公庁、法科大学院も含めた大学で、ユーザーが必要とするコンテンツを提供する過程において、主たるユーザーでもある弁護士が社内においてじかに職責を負っていることがポイントの一つと考えています。社内の弁護士であれば柔軟かつ精度の高い対応が可能ですので、プライオリティの高い判例の選別をして早期に収録する場合や、早急に要旨を付す場合などにも、効率的に対応できています。同様に、判例要旨などの付加価値や製品開発について、適宜効果的なアドバイスを得られるので、コンテンツのクオリティ向上についても効率的です。そのような点をご評価いただけているのであれば、嬉しいです。
――法情報コンテンツの提供にあたって意識されていることは?
薄井:我々のコンテンツは、公共性の高い分野で様々な用途に活用されています。これらの内容が不正確であれば、資料としての意味がなくなってしまいます。特に当社のユーザーは法律にかかわる専門家ですので、その評価は当然シビアです。彼ら専門家に活用していただく当社コンテンツは、裁判結果やコンプライアンス、法情報に係る論説・解説、政策立案などといった実務に大きな影響を与えます。そのため我々は、相応の社会的責任を負っていると考えています。専門家には相応の専門家でもって誠実に対応することで、自信を持って公共性の高いコンテンツを提供し、社会的責任を果たしていきたいと考えています。
――清橋弁護士は司法修習後に入社されましたが、日々、何を心がけて業務に臨んでいますか?
清橋:主に私は、判例チームで判例の要旨の執筆を行っています。当社で要旨を執筆できるのは現状、有資格者か研究者に限られており、信頼性を非常に大切にする会社だと感じています。私自身は弁護士としての実務経験は少ないですが、製品への信頼を損なわないよう真剣に仕事に臨むことを、日々心がけています。また、新機能のテストなどを担当することもありますが、弁護士としてのユーザー目線を忘れないようにしています。「もう少しこうしてほしい」などの意見を積極的に伝えつつ、社内で協働して決着点を探っていくことで、製品をより便利なものにしていければと考えています。
――判例データベースを提供する価値についてどうお考えですか?
清橋:判例は、中立的な立場にある裁判所が判断を下した“モデル”です。例えば、弁護士は事案に似た判例を訴訟において主張の論拠として用いたりしますから、判例の掲載数が多いデータベースには高い価値があります。またITツールを活用し、判例をいつでもどこでも簡単に検索して見られる仕組みは、ユーザーにとって大きなメリットです。企業のお客さまにとっても、判例は、予防法務などに役立つ有益な先例となりますので、判例コンテンツをはじめ、当社のサービスは、企業法務にもお役立ていただけるものと考えています。
――佐藤弁護士、得重弁護士が業務委託として“ビジネスの現場”にかかわるメリットは?
佐藤:通常の弁護士業務を行いながら業務委託として関与することによって、弁護士の働き方の“柔軟性”を体現したいという想いがありました。“ビジネスの現場”で専門的な知識を生かして、会社の一員としての役割を担えることは、法律事務所にいて顧問弁護士業務を行うのとはまた違ったよさがあり、私自身の知見を広げることにもつながっています。事業会社の“社内の動き”を知ることで、顧問弁護士として私自身の顧問先にかかわる時も、アドバイスの勘所を押さえたサービス設計を考えられるようになり、よりきめ細やかな対応ができるようになりました。要旨執筆においては、「これは見ておいたほうがいい判例か」が、一目でわかることを心がけて執筆しています。“弁護士目線”を生かし、コンテンツやサービスを使っていただく方々にとって有益な価値提供を行うといった感覚も身についてきたと思います。
得重:基本的には佐藤さんと同じです。自身のメリットで言うならば、通常、企業における外部弁護士の役割は企業法務のサポート役ですが、当社では弁護士も自ら製品づくりにかかわることができます。しかも、私自身がユーザーとしてよく使うコンテンツ・サービスで、法曹関係者ならば知っている製品。そうした面においても、当社で働くやりがいを感じています。また、要旨執筆のためにたくさんの判例を読みますが、それも自己研鑽になっています。読む力、文章を要約してまとめる力、書く力については、この仕事を始めてから向上したと思います。また、民事判決オープンデータ化の動きへの対応にあたって、弁護士としての知見や経験を存分に生かせる職場だと感じています。
――今後のキャリアイメージは?
佐藤:例えば、この経験を生かして、社外役員、あるいは事業会社におけるCLOといったかたちで、経営に携わっていく道もあるのではないかと考えています。
得重:アメリカに留学した際、ウエストローで働くことが一つの素晴らしい経歴になると聞きました。“法曹界の専門家に対して情報開示する仕事”は、一定の知見や経験があると評価されるようです。当社業務に内部からかかわっていくことが、弁護士としてさらに活躍できるキャリアにつながるのではないかと思っています。
清橋:製品を通じてお客さまを支援し、社会的価値の実現につながる大きな仕事を成し遂げたいです。ひいては日本法製品に加えて、英米法製品のコンテンツ作成などにもかかわりたいと考えています。今後も、弁護士をはじめとする多くの専門家に喜んで使っていただけるような、クオリティの高い製品を、日本の心を忘れず、グローバル目線でつくっていきます。
――CMチームの使命は?
薄井:流通する情報が加速度的に増加し、権利利益や利害関係が複雑化する現代社会では、より多くの法情報をより正確にかつ有益なかたちに編集して迅速に提供すること、さらには、民事判決オープンデータ化の動きに鑑みれば、よりクオリティの高い付加価値情報を創造していくことが使命になると考えています。そのような使命を実現するため、CMチームは、コンテンツ編集を通じてユーザーに“感動を提供すること”を大切にしています。私自身も、英米法データベース「Westlaw」を使用して論文を執筆した際に、その高度な検索機能や収録コンテンツ量の多さ、クオリティの高い付加価値編集などに感動した経験があります。我々はそのような感動をユーザーに提供したいと思い、仕事をしています。このような理念を、法情報編集のプロフェッショナルメンバーとともに体現していきたいと考えています。