そんな法務グループが2007年、弁護士を迎え入れた。その背景には、どんな事情があったのか。
「監査法人としての公共性の高さから、判断した“結果”の妥当性だけではなく、その“プロセス”における透明性も重視しています。そのため業務の各段階で、必要に応じて外部の大手法律事務所のアドバイスを仰ぎながら判断に万全を期するのですが、監査という特殊な業務において発生する事案を、外部の法律家に説明するには、独特の難しさがあります。外部法律事務所の知識や能力をフルに引き出しつつ、事案を効率的にハンドルするためには、監査法人の業務を内側から理解している弁護士が必要でした」
採用した弁護士の仕事ぶりをどう評価しているのだろうか。
「法務グループに初めて採用した岩崎は、監査法人という特殊な業務における法務問題を私と協力しながら適切にハンドリングしています。さらにほか2名のメンバーと契約関係業務や各種の法律相談も担当。その仕事ぶりを見て実に優秀だと感心しています。法的知識が豊富だということはもちろん、案件のポイントを的確につかみ、速やかに処理する。リーダーの私は、監査などのクライアントサービスも兼務しているため、留守にすることも多いのですが、法務グループがいつも和やかなのは、彼女の明るい性格や存在が大きく影響していると感じています」
その法務グループを、リーダーはこれからどう導いていくのだろうか。
「あらた監査法人が2006年に業務を開始し、わずか3年でここまでに成長した背景には『会計不祥事を二度と起こさない』という強い決意を持った運営への信頼があると思います。企業に内部統制をアドバイスする集団ですから、倫理観やコンプライアンス意識の素地はもともと高い。法務グループはこの組織にあって、より高い意識で『ゲートキーパー』の役割を果たしたいと思います。わが国で最高の品質を持った監査法人を確立し、また、サービスを依頼する企業経営者が『あらた監査法人の監査を受けている』ことをプライドに感じていただけるような、そして同時にクライアントの健全なる成長に資するバリューを提供できるように、約2000名のプロフェッショナル集団を強力にサポートしていきたいと思っています」