Vol.68
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渡部友一郎弁護士(62期)。東京大学法科大学院修了後、フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所入所。
2012年より株式会社ディー・エヌ・エー法務部勤務。15年8月よりAirbnb Japan株式会社へ、Senior Legal Counsel。
Japan Law Awards 2018でIn-House Lawyer of the Year、Most Innovative In-House Team of the Yearを最年少で受賞。 The ALB In-House 25(アジアの組織内弁護士25人)にも選出

渡部友一郎弁護士(62期)。東京大学法科大学院修了後、フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所入所。
2012年より株式会社ディー・エヌ・エー法務部勤務。15年8月よりAirbnb Japan株式会社へ、Senior Legal Counsel。
Japan Law Awards 2018でIn-House Lawyer of the Year、Most Innovative In-House Team of the Yearを最年少で受賞。 The ALB In-House 25(アジアの組織内弁護士25人)にも選出

THE LEGAL DEPARTMENT

#94

Airbnb Japan株式会社 法務統括責任者

先例がない世界に、新たなルールをつくる。当該法務はイノベーションを支える“懐刀”

事業展開を進める〝懐刀〞として

インターネットを介して、世界191カ国以上で500万を超える宿泊施設を公開している「Airbnb」(エアビーアンドビー)。日本オフィスの法務統括責任者である渡部友一郎氏は、2015年より同社にジョインした。それは、「民泊は旅館業法上グレーゾーンではないか」と巷間で言われはじめていた頃だった。渡部氏に、入社時の印象を聞いた。

「まず驚いたのは、米国ユニコーン企業と呼ばれる世界的なイノベーションを起こしている会社の法的リスクの検討の深さと、リスクを〝計算されたスマートなリスク〞に磨き上げて、事業の意思決定に生かしていることでした。例えば、過去の法令の執行状況はもちろん、仮に執行された場合、どのようなディフェンスがあり得るかなど、〝リスク〞を生きた形で〝計算されたスマートなリスク〞に置き換える努力をしていたのです。若いITの外資系ゆえ日本法にあまり詳しくないだろうというイメージは覆され、勉強不足を感じました」

日々の業務である契約書チェックや翻訳は、外部法律事務所と協働することが多い。その代わり新しいルールづくりや、事業部が求める〝計算されたスマートなリスク〞を踏まえた戦略立案に尽力することなど、外部からは助言しにくい、〝事業に最もポジティブなインパクトを出す仕事〞への集中と、高い成果が求められる。

「当社の法務は公共政策部とも密接に連携しています。公共政策部のメンバーは政治や官庁の仕組みに精通したプロ集団です。例えば1970年に立法された旅館業法で、『ここが市場のニーズに応えていない』など、法律家として引っかかる〝法律の球(論点)〞があるとすれば、それをどこにいつどのように投げれば最も大きなインパクトを与えることができるかについては、公共政策の優れた才幹で決まります。いずれにしても当社法務の仕事においては、謙虚に、〝事業の効果・インパクト〞を最大化させる戦略的思考が重要だと思います」

そんな渡部氏のモチベーションは、「事業部の夢を叶えたい」という熱い思いだ。

「私は、いつ何時も事業部と共にあり、万が一の際には依頼者(事業部やその他部門)の援護も防御もできる〝懐刀〞でありたいと考えています。六法にも判例にも書かれていない前例のない問題は日常茶飯時です。スピード感をもって、論理的かつ最良の判断を行い、高い成果を実現することが期待されているのでプレッシャーは相当なものです。しかし、全社一丸となって冒険を楽しみ、併走していくことがこの仕事の醍醐味です」

Airbnb Japan株式会社 法務統括責任者
デザイナー出身の創業者2人が事業に窮した時、アメリカ大統領選をモチーフにシリアルのパッケージを制作、販売して資金を調達。そのヒットが現在の基礎を築いた。そこから「シリアル起業家たれ(大胆に独創的な発想をする)」がミッションの一つとなった

人が動き信頼関係を築く

渡部氏がそんな熱い思いを抱けるのは、メンバーの人柄や、彼らがつくり出すカルチャーにほれ込んでいるからのようだ。

「当社には、『ホストらしく(人に対する思いやり)』『ミッションをサポート(社会的役割の意識)』『シリアル起業家たれ(大胆に独創的な発想をする)』『冒険を歓迎する社風(好奇心をもって行動する)』という、4つのコアバリューがあります。特に4つめの『冒険を歓迎する社風』があればこそ、法務である私も、事業を広げるためなら恐れずに〝計算されたスマートなリスク〞を提案するため全力を尽くしますし、その姿勢が感謝されています。Airbnbの世界的な強みは一人ひとりがコアバリューを体現できていること。仕事においてはとんでもなくスマートだけれど、ユーモアや温かさにあふれている人材が世界中からこの会社に集っている気がします」

世界中にいるそうしたメンバーと、緊密な関係を築けるのも同社の特徴だろう。

「私の上司はシンガポールにおりますが、距離感をまったく感じません。他国のメンバーも同様に、すぐ隣にいるように仕事ができています。それは、ビジネス目的ではなくチーム強化を目的として、海外のオフィスを訪ねる機会があるからでしょう。そのように当社は〝人がよく動く会社〞。ホスピタリティサービス企業だからこそ、人が世界中を動きまわり、互いに集って話し合い、信頼関係を構築し、それをベースに仕事をすることを重んじています。デジタル時代にありながら、最速の意思決定と執行を確保するために、企業の文化と従業員の移動に、会社が投資してくれることで、私たちは同僚と、緊密な信頼関係が築けています。これが、〝当社が持つ力(パワー)〞の根源ではないかと、私は思っています」

  • Airbnb Japan株式会社 法務統括責任者
    「バルセロナ」という名前の会議室はスペインのホスト宅を参考にデザインされた。「ホストやゲストといつも共に」を顕現させている
  • Airbnb Japan株式会社 法務統括責任者
    打ち合わせなども行えるライブラリー
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    ウェブ会議システム。自宅や出張先など世界中あらゆる場所で仕事が可能。また従業員のデスクは固定せず、その時に必要なチーム、仲間、規模に応じて臨機応変に会議を行う
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    朝食と昼食が提供される。食事の時間も親交を深める大切な機会
  • Airbnb Japan株式会社 法務統括責任者
    執務スペースに続く通路。公園の歩道を模している
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    パブリックスペースで、ホストとゲストを招いたイベントなどを開催