Vol.23
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自身も所有CD約2500枚というジャズ好き木内氏を中心に、エンタメを愛するメンパーが、法律という技で社内をプロデュースする

自身も所有CD約2500枚というジャズ好き木内氏を中心に、エンタメを愛するメンパーが、法律という技で社内をプロデュースする

THE LEGAL DEPARTMENT

#19

エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社 経営戦略本部 法務部

多彩なリソースを持つエンタテインメント企業を“リーガルとビジネスのクロスオーバー”でフォロー

エンタメ企業グループを支える〝若き〟法務部

浜崎あゆみ、倖田來未、EXILEといった多くのビッグネームが所属する同社の特徴は、アーティストの音楽制作・販売、出版だけでなく、最近では『レッドクリフ』などの映像制作を手がけ、さらにはライヴの制作やアーティストのマネジメント業務も行うという、エンタテインメント企業としての業容の幅広さだ。売上高の比率(2011年3月期連結決算)は、音楽コンテンツの制作、販売などの音楽事業が57%を占め、映像事業が14%、マネジメント・ライヴ事業が26%、ほかにスクールの経営なども行っている。

実は、法務部が現在のように「独立」したのは、昨年4月のこと。「外注コストの削減と法務部内のノウハウの蓄積を目的に内製化を実施しようという意識が高まったためです」と、昨年6月法務部長に就任した木内秀行氏は、その経緯を語る。

「メンバーは、総勢13名。当社収益の源泉であるエンタテインメント関連契約、たとえば原盤制作契約や印税の処理などに関しては、契約部が担当します。法務部には、それ以外の契約書の審査、商標管理、海賊版などの違法侵害対策、制作倫理審査をはじめ、独禁法、会社法など企業活動にかかわる法律全般のアドバイスを行う法務課、社内の決裁制度の運用および印章管理を担当する決裁管理課、そしてJ−SOX法に対応する内部統制推進課があります」

その内訳は、法務部を統括する木内氏のほか、法務課6名、決裁管理課2名、内部統制推進課3名、制作倫理を担当する顧問が1名。中国の支社には現地の弁護士を採用している。

「ノー」連発ではなく現場とともに解決

エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社 経営戦略本部 法務部

多彩な業界を歩んできた木内氏にとっても、エンタテインメント企業の法務には、他の業種とはかなり勝手が違う部分があったのだという。

「たとえば当社アーティストのグッズを作る場合に、当該アーティストの名称が他社の商標となっているとき、他社の商標権を侵害しないようにどのようにデザインしたらいいのか。または、商標権を他社からライセンスしてもらって、自社で製品化したほうがいいかなど、あらゆる可能性を鑑みなければなりません。これらはアーティストの名称をアピールする必要性、リーガルリスク、費用、相手方との交渉の手間など、リーガルマターやビジネスマターにわたるさまざまな要素をにらんだうえでの判断になる。他社との交渉になる場合には、いかにWinWinの関係を築いてそれを契約書に落とし込むのか。他の業種の契約とはまた別の知恵が求められる局面は、多々あります」

万が一、他社の著作権、商標権等の権利侵害といった事態になれば、損害賠償などの金銭的なダメージのほか、アーティストのレピュテーションが落ちるなど社会的ダメージは計り知れない。だからこそ〝ダメ出し〟は、はっきりさせる。

「でもそれは、あくまでも〝仲間〟がやけどを負わないため。リスク回避を理由に、我々が頭から『ノー』を連発していたら、ビジネスは回りません」

〝FUNKY〟に新たなビジネスに貢献

同部のメンバーは、異業種からの転職、さらには社内外の法務畑以外からの転身組も少なくないのだそう。

「管理系の仕事はけっこう汎用性があるので、法務畑未経験者でも大丈夫なんです。大事なのは、その会社の法務にふさわしい専門知識を身につけることを厭わない、やる気。加えて、相談にきた現場の人間の目線で話を聞き、語ることができるコミュニケーション能力が必要です。これらはインハウスロイヤー一般に必須の条件だと感じます」

そうした考え方を部下に浸透させる意味も込めて、掲げたスローガンがある。

〝FUNKYでGROOVYでHIPでSOULFULでそしてCOOLな、avexにふさわしい法務〟

「ビジネスの役に立ち、現場のノリがわかり、柔軟で魂に満ち溢れ、頭脳明晰」。木内氏の意訳も交えた法務部の〝目指すもの〟は、この1年で着実に社内の理解を広げ、ともすれば煙たがられがちな法務部にも、社員が頻繁に相談に訪れている。法的な問題の発生も、法務部誕生以前に比べ減少したという。

「多彩なリソースを持つ当社は、たとえば、あるアーティストの価値を、音楽でも映像でもライヴなど他のパフォーマンスでも360度展開できる、日本で数少ない会社なのです。将来に向けてこの〝360度ビジネス〟はますます加速するでしょう。我々法務部も、そうした新しい価値創造に貢献できるよう、さらに勉強し、現場のみなさんとの連携強化に力を入れたいと考えています。そのために、会社業務に対するリスペクトと、業務を行う1400人の仲間に対するシンパシーを常に心がけているのです」