創業110年を迎えるコクヨは、ステーショナリー、オフィスファニチャー、通販・小売の3つの事業グループを運営している。法務部は、2011年1月の経営組織・コーポレートガバナンスなどの体制一新・強化によりCSR部から独立。14年、久保和生氏が法務部長に着任した。現在、経営管理本部法務部・統括部長の職を任ずる久保氏に、現体制について伺った。
「法務部メンバーは、私と、育休中の社員を含めて13名。全社法務を見る法務グループ6名を東京に、研究開発拠点がある大阪に知財グループ6名を置いています。これに中国、インドの海外子会社と、国内子会社の法務担当を加え、〝グローバル法務チーム〞を組織。法務グループは、契約審査、紛争対応、グループ内事業再編、アライアンスなどの法務業務と、コンプライアンスのコアとなるコクヨグループ行動基準を浸透させるための役割も担っています」
戦略・治療・予防のあらゆるミッションを背負った、経営への関与割合が大きな法務部といえる。
「我々法務部の使命は、細かな日常業務上の判断からはじまり、〝経営判断の原則〞に則り、全社員で〝安心してリスクをとって事業遂行できる環境を整える〞ことと考えます。全社を俯瞰しながら〝経営との対話〞に留意し、最適な解決策を提示する。ですから我々も現場のブレインストーミングの段階からかかわり、共に知恵を絞り、最後の判断の部分に至るまで、経営や事業部門と協働する――そんな機会を増やしています」
続いて、法務グループマネージャーの加藤創氏が語る。
「法務部メンバーはフットワークよく、各事業部門に契約交渉や品質保証に関する検討の場に出向きます。そうすることで、現場の社員一人ひとりと良好な人間関係が生まれ、信頼関係が深まり、様々な情報が入ってくる。ゆえに、問題の背景を把握し、過去の対応例を見据えたうえで、将来の展開を予測した判断および提案ができるようになる。そんな仕事の進め方を推奨しています」