Vol.79
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法務部に所属するのは7名で、社歴や契約形態も多様なメンバーが集結。よりよい組織づくりのためのアイデアは即採用、自由闊達に意見を交わせるフラットな風土だ

法務部に所属するのは7名で、社歴や契約形態も多様なメンバーが集結。よりよい組織づくりのためのアイデアは即採用、自由闊達に意見を交わせるフラットな風土だ

THE LEGAL DEPARTMENT

#119

オイシックス・ラ・大地株式会社 経営企画本部 法務部

ビジネス推進で社会課題の解決に貢献!“これからの食づくり”を支える法務

オールラウンダーの気概で取り組む

食品のサブスクリプションサービスを提供する、オイシックス・ラ・大地株式会社。2017年から18年にかけて、オイシックス、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやの3社が経営統合。今、第二創業期と拡大フェーズを同時に迎えている。

同社法務部のメンバーは7名。契約・取引法務、機関法務、社内書類や規程の整備、リスク管理・コンプライアンス遵守のための体制整備など本社法務業務はもちろん、国内外の連結子会社11社・関連会社2社の法務まで全員一丸でサポートする。「なかでも注力するのは上場企業としてのリーガルリテラシー向上のための教育活動」と、同部の岡崎みや氏は言う。

「基本的なところでは、社員からの“よくある相談”をFAQとして整備し、事業に関連する法律の基礎知識を“まとめ記事”にして、定期的に全社員に共有しています。また、私自身が講師を務める動画を作成し、短時間で法律・コンプライアンスについて学べるウェビナーも実施。その目的は、法務を身近に感じてもらい、気軽に法務部メンバーに相談できる風土をつくりたいから。私自身が講師役となって動画に登場しているのも、そのためです」

リーガルリテラシー向上のための教育活動を法務部が主導して発信し、かつ頻度高く行うという取り組みは、岡崎氏が始めたものだ。岡崎氏は統合後の20年3月入社だが、そうした発案・実行を入社直後から積極的に進めてきた。課題を見つけ、解決法を提案し、実行する“自走できる人材”であれば、多くのチャンスが期待できる環境といえるだろう。

「現状はマンパワーが限られているため、プロジェクトごと、事業部ごとの担当制にはできません。『とにかくみんなでやるぞ!』という空気感です(笑)。でも、この環境であらゆる経験を積むことで、各自が“オールラウンダー”となって、事業を加速させる法務プロフェッショナルになるための“筋力”を鍛えていこうと、気持ちを一つにできています」

そのような法務部の、同社におけるミッションとは。

「『“やんちゃ”と“ちゃんと”の両立』が、現在の当社のテーマと言えるかもしれません。全社員がこの両輪を回していくにあたり、私たちは、当社の事業部メンバーがチャレンジしやすくなるための地固めの部分を担います。つまり進化するために“やんちゃ”であることは重要ですが、上場企業の責任として“ちゃんと”することが大事です。その時に必要となる知見を有するプロフェッショナルたること、プロフェッショナルなサービスをいつでも即座に提供できるようになることが法務部のミッション。ゆえに、身近で気軽に相談できる法務部であることが必須条件なのです。たとえば、病院に具合が悪くなってから薬をもらいに行くのではなく、気になることがあったら診察を受けてみる。すると診察や検査で、自分自身では気づけなかった異常に気づけて、早めに改善できることもあるでしょう。法務部は社員にとってそんな存在でありたい。だから気軽に相談してもらえることを第一に考え、顔を覚えてもらう教育活動に力を入れているのです」

オイシックス・ラ・大地株式会社
コロナ下での全社的な在宅勤務推進に合わせ、社内外のオンラインミーティング対応用に専用ブースが多数完備されている。法務部も在宅勤務を基本とするが「オンラインでのコミュニケーションを密にとっています」と岡崎氏

社会課題の解決をビジネスで

同社のEC事業は毎週商品が入れ替わる。Webサイト、チラシ、カタログなどの広告媒体のチェック、商品供給の契約先との契約推進なども通常業務である。この1~2年は新型コロナ禍の影響もあって、各事業の会員数が増加。また、「コロナ下において、どのような商品・サービスをお客さまに提供していくべきか」という観点の新商品・新規事業の開発も活発に行われ、プロジェクト型の案件が増えているという。

「また当社は、『食に関する社会課題をビジネスで解決する』を掲げ、従前よりアップサイクル、フードロス削減に注力しています。たとえば、らでぃっしゅぼーやブランドでは、“見た目はふぞろい。中身はごちそう”というコンセプトで、規格に満たない野菜や海産物などを販売。Oisixでは、捨てられてしまうブロッコリーの茎をチップスにして販売する(Upcycle by Oisix)など、捨てられていたものに付加価値をつけ、アップグレードさせることで、食品ロスを減らす取り組みにつなげています。そうした商品開発の際に法務部も、商標や知的財産、権利化の観点から検討をします。そもそもアップサイクルという言葉自体、日本ではまだまだなじみが薄いもの。その言葉自体を当社としてどう定義するかなども、事業部と一緒に考えるのが法務部の役目です」

21年9月には、米国のフードテック分野で挑戦するスタートアップ企業への投資も実行した。

「フードテックは、法的にも新しい分野です。どの法律が適用され、どんな法的根拠でまとめていかねばならないかなどの検討は、非常にエキサイティング。専門家のアドバイスを求めてこの領域に詳しい弁護士を探していますが、まだまだ継続中です。その一方で、買い物弱者のサポートや高齢者見守り機能を兼ねた移動販売事業(対面型販売)、カタログを見ながら紙の注文書を書き、それを配送員に手渡して注文してもらうといったスタイルの販売事業も、ご年配のお客さまを中心に今も根強く支持されています。フードロス削減やフードテックなど食の最先端事業およびEC事業、対面販売などのレガシー的な事業――その両方の事業に携われること。それも当社法務部の面白さといえます」

法務部がかかわる仕事は、このように守備範囲が広く、お客さまの属性も多様だ。法務相談の際も、担当者の先にいるお客さまの姿を想像しながら対応することを心がける。21年7月に入社した山本祐介氏は、「法務相談は、入社間もない自分が当社事業を知るうえで欠かせない機会であり、大切なコミュニケーションの場」と言う。

「法務相談の種類は多様かつ件数も多い。その分、いろいろな事業部と接点ができます。法務相談に来た社員とは、何度も対話を重ね、その先にいるお客さまのことを思い、どうしたら喜んでいただけるサービスが提供できるか考え、ビジネスを前に進めるための提案をします。仲間と一緒に知恵を絞れる機会は本当に楽しいですね」

  • オイシックス・ラ・大地株式会社
    コロナ下で余剰となった飲食店向け野菜などをミールキットとして活用。フードロス削減に取り組む
  • オイシックス・ラ・大地株式会社
    新型コロナ患者の治療にあたる70万人の医療従事者を食で支援(写真は自治体などからの感謝状)。その活動を発展させ、子どもの貧困とフードロスの課題解決を目指す「WeSupport Family」も開始

新たな組織づくりに注力していく

全員に“オールラウンダー”になることを求める同部だが、当然、それぞれが得意分野を有する。岡崎氏なら調整力や交渉力が必要とされるプロジェクト型案件、山本氏なら契約書レビューや景品表示法周りの法務相談を得意としている。また、二人以外のメンバーも、機関法務、投資法務、知的財産権、特定商取引法を得意とするなど、一人ひとりが個別の得意分野を持っている。岡崎氏は言う。

「私たち法務部のメンバーは、事業部のメンバーとディスカッションをして、お互いのいいところを見つけていく仕事の進め方を心がけています。“相談されたから答える”のではなく、私たちも事業部側でつくっているサービス・商品を販売する、提供する“当事者”であるというマインドで応対する。メンバー全員、オールラウンダーを目指しながら、独自の得意・専門分野を磨き、先のようなマインドを持って切磋琢磨し合える集まり、チームであり続けたいです」

最後に、岡崎氏にこれからの組織づくりについてうかがった。

「食の分野の発展スピードに合わせ、法務部の人員を増やし、全員がオールラウンダーとして活躍できるようになった暁には、たとえば事業ごとに担当制を敷き、ローテーションなども検討していきたい。ある意味、大手企業ができていることを、私たちはこれから構築していくということ。でも、私たちは“これからの食”に携わる企業です。それが“ちゃんと”できる法務部をつくり、食業界における当社のプレゼンスを一層高めるために貢献していきます」

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。